2012年02月16日

繁殖引退犬が意味すること

またもや繁殖引退犬の話題。
繁殖引退犬の飼育放棄はサイテーだと何度か書いているのでその理由を解説してみる。
一般飼い主になぜか広まっている出産は5歳まで説は、
おそらく犬の年齢をヒトに換算して誰かが言い出したのが最初かなと思う。
犬はその成長具合や平均寿命から、ヒトの7倍のスピードで犬生を生きていると例えられていて
その計算でいくと犬の5歳はヒトの35歳にあたり、お気付きのようにマルコウ・高齢出産を指している。
そのヒト(個体)が若いうちに比べると妊娠から出産までのリスクが相対的に高まるのだとゆーアレだ。
当然ながら10歳を超えても大丈夫なんでバカスカ産ませろと言うのではないが、
5歳は高齢だから犬も産まずに引退すべきとはいまいち納得しかねる部分が残る。

  ちょっと横道に逸れるがこのテの犬の繁殖に関する都市伝説は他にいくつもある。
  一例を挙げるとオスの体格がメスより大きければ難産となるからダメだというもの。
  とくに成犬体重が5キロ以下の小型犬についてこの説がまかり通っている。
  そんなバナナ。フツー犬というものはメスよりオスのほうが体格デカいだろうが。

ところで繁殖場では実際に5歳頃から受胎・出産率の低下と母子ともになんらか異常が増えることも見られる。
異常とは重い病気を持つという意味ではなく、主に出生頭数の減少と母犬の回復の悪さなどだ。
親犬の年齢が高くなるにつれてリスクが高まるのは当たり前だが、
そもそも最初っからあるゆる面で健全性に欠ける状況を無視することはできない。
そうした事実の他、子犬の売価を目的とした繁殖場では維持費の問題が切実だ。
生後9ヶ月過ぎの発情期から基本的に休むことなくポンポンと子犬を産みつづけ、
出産の結果に関わらず半年おきに発情を繰り返してきたメス犬の産子数が下がり、
子犬の売上と母犬のエサ代など飼養費の収支がトントンにでもなれば生活が脅かされたりする。
(これは繁殖場の規模によらない。家庭的な小規模ブリーダーみたいな触れ込みはとくに誤解しやすい)

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               こ、こたちゃん、ホネに夢中で割り込んじゃったのかな、ママ今マジメなお話してるんだけど



収入源でなくなった犬自身のその後の犬生を、豊かにしてやりたいと考える人は多い。
子犬の売価をあてにした繁殖をやり続けている繁殖業者の中にもそう思う人はいる。
維持費の件を置いても、「この子に穏やかな余生を」と願うことは悪いことではないのだ。
気持ちの上ではそうでも実際は手が回らず飼い殺し状態になる、
それくらいなら新しい飼い主を募り託すことが最善だと思う・・・・・のが繁殖屋のあさはかさ。

自分のおこなった繁殖に関わったすべての犬の一生を見届けないでなにがブリーダーかと思う。
飼育放棄した引退メスの半数が8歳でPRAを発症する確率がゼロで無い繁殖しかしていないのに
10頭全部が10歳で心臓病と腎臓病を同時に発症するかもしれないのに
当たり前に散歩に行けるようになって初めて骨関節の異常が見つかるかもしれないのに
治療費を補償しろという問題ではない(ワタクシならそう言うが)、繁殖の責任の話だ。
犬のブリーディングで最も大事なこととは自分で産ませた犬だけでなく、
自分がした繁殖の血縁犬の診断されない遺伝形質を含む普段の状態・死亡年齢と死因をできるだけ多く把握して、
また自分で繁殖するしないに関わらず次世代の血の中身を推理することだから。

つまり、繁殖引退犬を不特定多数に託すことは乱繁殖にしかならない。
「いろんなブリーダーさんがいるから」では済まないくらいの無知で愚かな乱繁殖。




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宇宙より愛を込めて

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posted by あきこ at 16:51 | Comment(0) | TrackBack(0) | 犬の繁殖・乱繁殖 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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