2013年10月22日

犬の不妊手術 手術はしないのご意見 第2弾の4

短期連載そのよん。
このシリーズの今までの記事
犬の不妊手術 手術はしないのご意見 第2弾の1
犬の不妊手術 手術はしないのご意見 第2弾の2
犬の不妊手術 手術はしないのご意見 第2弾の3

本日は麻酔の事故が怖い の2つのコメントに見解を。

なにがどう怖いの?
外科手術以外に道がなくその手術で助かる、みたいな状態でも怖いから悩んだり止めちゃったりすんの?
と、いつも聞いてみたくなります。

・もともと大人しい子でマウンティング行為もなかったので…

そうですか、そりゃよかった。

と返せば丸く収まるのかもしれないが氾濫する情報により全身麻酔を無駄に恐れるならばこれほど愚かなこともない。
たとえば麻酔の事故だけは避けたい、と思うワタクシは麻酔について気の済むまで調べる。
ヒトの麻酔事故よりも手術の理由に関らず犬のソレはかなり多発しているようだから。
このことで考える際、医学的根拠の薄い噂レベルの話はなんの参考にもならない。
曰く「麻酔で多くの犬が死んでいる」やら「犬の麻酔は死亡率が高い」だの。
死亡したと言い張る犬の詳細どころか一切の数値も場所も日付も何もかも明らかにされない怪情報を、
信じたがるのは個人の自由だが去勢もしてもらえずに本能に沿った行動を残念がられ叱られシツケられる犬が不憫でしようがない。

犬がヒトや犬やその他生物あるいは無機物にマウンティングするのは別にジャイアンな性格だからではなく
また、交尾したい気持ちの表れでもないこと多し。
おとなしいことの理由がシャイ系でも無気力系でもカラダの不調系などどれでも、
飼い主さんの目に映る問題行動が見えないから未不妊のままでおっけー、であるならば、
犬が生殖本能にどう苦労してるか想像がつかない段階の初心者飼い主さんにこそもう一度考えてほしい。

参考までにワタクシなりの調査の結果、犬の不妊手術話題で麻酔を怖がる人の傾向はこんな感じ。
・術前血液検査の意味はなんとなくわかるが肝機能のほかに腎機能も把握する必要性があやふや
・麻酔導入や気管挿管や酸素吸入の順番も手順も目的も不明
・体重が麻酔量を決めることはなんとなくわかるがそれとは別に小型犬は危険だと思っている
・だからちわわに麻酔は禁物とか短頭種に麻酔をかけられないと思っている
・麻酔プロトコルは言葉自体初耳
・呼吸モニターは想像できても循環モニター、血圧モニターは犬に使わない気がしている


・病気は愛犬を毎日こまめに観察し、定期的に動物病院に通えば早期治療が可能になり死亡のリスクは減るけれど、麻酔の事故は飼い主が気を付けて防ぐ事が不可能だから。

仰るとおりだ。早期発見早期治療が何より。
つまり避妊去勢を性ホルモン由来の病気予防の手段だっと考えている方の意見だと思われ。
何度でも同じことを書くけど病気予防はあくまでもメリットの一つ。でしかない。
ついでにメスの卵巣子宮摘出はオスの去勢に対して避妊手術と呼ぶのが一般的なだけで、
ヒトの家族計画のように妊娠を避けるためじゃなく成立しなくする(=不妊)ことが目的。
この文を読むのも考えるのも人間だけだからつい人間の事情に置き換えてしまいがちなので要注意。
とにかく病気予防に主眼を置いて犬の不妊処置を話すならば去勢や避妊とは言わんでほしい。
「愛犬の会陰ヘルニア及び前立腺疾患予防手術をする気はない、なぜなら罹らない可能性がゼロではないし普段から健康管理に留意しているから」
じゃね?

ところで麻酔の事故は飼い主が気を付けて防ぐことが十分可能ですョ
じゃなきゃ不妊手術でもっと死んでるじゃん。
獣医療なんてわかんないし下手に口出して飼い主への印象が悪くなると愛犬の扱いが心配、
など人によっていろいろお悩みがあることなのは確かだが、動物病院で愛犬にいつどの段階で、
どんな作用のあるなんていう薬剤を、どうしてその理由で、どう投与するのか。
みたいな日本人の得意な5W1H変形バージョンを駆使するのも飼い主の大切な役目。
シロウト的見解を獣医療に混ぜ込めと言ってるのではない。犬はこの件に立ち入れない存在だという話。

不妊手術のために全身麻酔をかけることは当然犬に対する侵襲であるから、
一般的に言うところの手術が成功した場合でもダメージは必ず発生する。
ワタクシ自身とうちの犬たちに見られた全身麻酔の副作用は、
・吐き気(目覚めた直後からしばらく後まで。ワタクシはこれで相当苦しんだ)
・ふるえ(元から震戦持ちなため一時的に悪化)
・声のかすれ(我が家では割合的に半分の例に出ている)
・目玉や咽の違和感(目玉の奥がむず痒い感覚ってあの時が初めてだった)(咽は猫の七)
あたりで、これらはヒトの全身麻酔の軽めの副作用の一種としてよく知られたものだ。
うちの犬ではないがよく会うから普段の状態をワタクシ自身がある程度把握している犬で
体のどこかがなめらかに動かずギクシャクするような神経障害(痺れとかなのだが)が現れたケースもあった。

こういったことですらも自分が未体験な症状を見聞きすると麻酔が悪い麻酔は怖い的感情に結び付くだろう。
また、上記のものを含む麻酔の副作用あるいは副作用に違いないと思える経験があったりすると、
前の犬にそういう症状が出て、カワイソウだったからやっぱり健康な体にメスを入れることに反対だ、
と思う人がいることを否定しているのではない。
ただ、ネットで拾った情報や自分のでも他人の所有でも別の犬の状態を参考にする際は注意がいるのだ。

このサイトの下の方に「図19 イヌの腫瘍」の円グラフがあるので興味のある方はどうぞ。
東京大学大学院農学生命科学研究科獣医病理学研究室 中山裕之教授による老化の比較生物学 ― 「老化の進化学」の提案
http://www.vm.a.u-tokyo.ac.jp/byouri/vphome/web-rouka/rouka/di2zhang_dong_wuno_zhong_yang.html
この図から犬の腫瘍発生状況を引用。天下の東大だし国内に限った症例だし最近のものっぽいから。
乳腺腫瘍
肛門周囲腺腫瘍
肥満細胞腫
皮脂腺腫瘍
血管外膜細胞腫
扁平上皮癌
基底細胞腫瘍
脂肪組織腫瘍
リンパ腫症
精細胞腫
その他
(その他以外見事に全部遺伝性疾患のリストにあるか遺伝性疾患の一つとして研究されている)
(OMIA以外はアメリカの動物愛護協会獣医師会(ワタクシ訳)のpdfリストなど参照。ここはより一般的な病名を多用していてワタクシ的にはとても面白い)

ああしまったっ、遺伝性疾患を知ろうカテゴリに使えるネタまで盛り込んでしまった・・。なんと大長編。

それから前に当ブログ内のどこかに書いたような気がしないでもない「悪性高熱症」は、
おそらく何千頭に1頭くらいの確率で保因犬がいるだろなとワタクシは妄想しているけど、
このコメントをくださった方はそのことを言ってるわけじゃなく感じられたり・・まあいいか。

つか全身麻酔付き手術ナシで点滴や投薬なんかでの早期治療プランでもあるんだろうか。
早期治療で死亡のリスクが減るっと一見すごい正論みたいだけどね、
健康な時と比べりゃ何らかの病気を発症している時の方が死亡リスク高いよ。
麻酔しなくてもそうなんだから全麻なんかだと死亡リスクが格段にあがりそうだね?

どう考えても。
精巣や乳腺の腫瘍を軟膏かなんかで治す予定なのかね。

って。さんざん吠えたが怖い気持ちがわからんでもないんだ。
医龍の、「俺が必ず連れ戻す・・・!」
「・・・いちゅーちゅ、むーっちゅ、にゃにゃーつ。  はい落ちたー。朝田呼んでこーい」
の荒ちゃん先生みたいな人があちこちの動物病院にいるといいのにね。



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posted by あきこ at 23:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 不妊処置−避妊と去勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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