2013年11月17日

かなりマズイ8週齢規制


平成24年9月5日に議員立法による改正動物愛護管理法が公布され平成25年9月1日より施行された
わけですが気にするポイントを見誤っている意見が多い印象。
なんのことなのか、まずは環境省の発表を見てみましょう。引用はじめ

http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/1_law/revise_h24.html
動物愛護管理法 >平成24年に行われた法改正の内容

(1)犬猫等販売業に係る特例の創設

[4]犬猫等の繁殖業者による出生後56日を経過しない犬猫の販売のための引渡し(販売業者等に対するものを含む。)・展示の禁止(第22条の5関係)
 なお、「56日」について、施行後3年間は「45日」と、その後別に法律で定める日までの間は「49日」と読み替える(附則第7条関係)。

引用おわり。

なんでこういう決まりを作ることになったかと言うと、犬猫を売るのが目的であるケースにおいて、
子犬(と子ネコ)を早い段階で親兄弟から引き離すことで適切な社会化が阻害され、
代表的なところで吠え癖や噛み癖が飼い主にとって問題行動となり、飼育放棄を増やしてしまうのだ。
それを防止するためには社会性動物の成長の視点から、
最低でも生後2ヶ月くらいまでは親犬や兄弟犬と過ごさせて同種の愛情や噛む加減を覚えさせようじゃないか、
そしたら社会化の不足により飼い難い犬(やネコ)が飼育初心者をわずらわせることが少なくなり、
結果的に飼い主による放棄や殺処分が減少することにつながるだろう、、、

な感じの流れです。動物愛護団体やパブコメの意見も取り入れて中環審で決まりましたね。
んで、こういう問題に明るい弁護士先生や議員先生や各界有識者らは、
結局56日規制が実現されると決定してないんだから改正法に意味がないと嘆く愛護の人々に対し、
「時間がかかっても規制を目標にした流れだからご安心」的なことを仰っておられますね。

とまあ、この流れに喜んだりガッカリしたりさらに希望を持った人はたくさんいる気がしますが、
冒頭に書いた見誤っているポイントとは、
ふつうの繁殖場は8週が10週だろうと20週だろうと社会化の手伝いなんかしない
ということを見落としてるだろと思う点です。

子犬を生産して出荷することで生計をたてている繁殖場での「母子兄弟同居期間」は、
想像以上に短−−−−−−−−−−−−−−−−いのが普通ですから。
とくに母犬にダラダラと乳をやらせてたらスタミナは減るわ次の発情が遅れるわ掃除に手間はかかるわで、
さっさと分けて母犬は出産場所から元の小屋に戻しますし、
子犬は子犬だけで固めておく方が熱源も最小で済むし餌やりと掃除の手間も軽減されるんです。
それから、親犬(たいてい母犬だけ)の社会性がなされていないのが普通どころか、
子をガリっと噛みすぎちゃうから最初から人工哺乳しているケースも山ほどだし、
当然シツケもされてないんでギャン吠えするわ尻癖は悪いわついでに性質も健全性もあったもんじゃない。

良き家庭犬の下地を作る環境そのものがなにも無い、かえって時間とともに悪影響を及ぼす場所に、
長く置けば置くほど早すぎる巣立ちより良くない結果が待ってますよ。
そんな所出身でもヒトには慣れるんですけどね。

審議会の議事録はけっこう見てますが全部覚えてないんでもしかしたら勘違いかもですが、
動物愛護部会の方全員で犬を生産している場所を最低でも10ヶ所は見て回ってくださいよ。
なるべく頭数の多い所を。
見てないよね?300頭とか400頭とかひしめいてる繁殖場が全国にあるのに。

じゃないとこの8週齢規制は無駄。もっと問題を増やす。
ワタクシのパブコメ意見が見向きもされないから不貞腐れてるんじゃないですよ(笑
(生後56日を過ぎなければ店頭展示も出荷も禁止という案に大反対でした。今も)
放棄したくなるほどの問題行動や気質難・不健全性を持たされた犬はね、
ほとんど大多数がテキトーな繁殖と幼齢期のテキトーな育成で誕生させられてるんです。
科学的なデータを用意できないから「飼い主次第だ」と言いきる業者には負けますけどね★




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posted by あきこ at 14:07 | Comment(5) | TrackBack(0) | 動物愛護論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
この8週齢の話、前の改正の時には業界の大反対で流れてしまったので今回のこ8週という事だけが強調されましたね〜。ALIVEの顧問にでもなれると発言力が持てるのでしょうか…。
何でも聞いていいとの事でまた質問です(。・o・。)ノ
犬の歯についてなのですが、よく繁殖引退犬で度重なる出産により歯が抜け落ち下顎の骨が溶けた…と書かれているのを見かけますがあれってほんとに出産だけが原因なのでしょうか?
いちごは繁殖犬ではなかったけれど保護された時から上下の前歯と犬歯が1本欠損してました。
その後重度の歯周病という事で二度抜歯しています。
下顎の骨も溶けて後退しています。
お産の有無は謎ですけどあったとしても繁殖場の犬程ではなかったと思う事を考えると出産だけが原因とも思えないのですがどうなんでしょう。。。
よろしくお願いしますm(_ _)m
Posted by いちごまま at 2013年11月17日 17:06
初めまして、毛色の遺伝子について検索していてこのブログと出会いました。

今度の動物愛護法の改定は詳しくはわかりませんが販売の規制より、ドイツなどのヨーロッパの国々の様にブリーディングの1頭一生何回の出産とか繁殖者の意識向上の法律を作った方がいい気がしますけど‥
日本じゃ‥無理ですよね。
西欧より100年遅れてると言いますが‥もっとのような‥

初めての訪問でずうずうしいのですが‥
犬のカラーの遺伝に興味があり勉強したいと思って色々探してみましたが、本など探せなくて困っていました。
あきこさんのお話はとても勉強になります。
ありがとうございます。
勉強できる本など紹介していただけるとうれしいのですが‥

当方、プードル2匹飼いですが繁殖の予定はありません。
ただ、へっぽこトリマーでして毛色の遺伝子に興味を持った次第です。
よろしくお願いいたします。
Posted by melodyまま at 2013年11月17日 17:22
●いちごままさん●

そういうわけで8週反対とどこかで言ったら(mixiだったと思うが忘れた)業者扱いされましたよ(笑
野上さんのことは私は高い評価だったのですが(何様だ)、
あの方亡き後どうなってゆくのやら。これだから愛護は・・とはならないよう祈るしかありません。

>出産で歯が抜け落ち下顎の骨が溶けた

原因は歯並びと歯周病しかないだろうと思ってます。
出産が引き金になることは皆無ではないだろうが、まずないことだろうとも。

ポメも多いしあとヨーキーやちわわ、チャイクレも「広島」のとき不名誉な看板犬になっちゃってましたよね。
口先が小さな犬、歯とアゴの骨格のバランスの狂い、未出産の犬にも症例がある、
など記事にするほど理解しているわけではないけど、ちょっとなんか探してみますね。

※ダブっちゃった分だけ操作しました


●melodyままさん●

はじめまして、ようこそ!コメントとリクエストとてもうれしいです!

西欧より100年遅れてる、について、独自の路線に進みすぎたみたいな線もあるみたいですよ。
「黄金の犬」という本を読まれたことはおありですか?
この本は犬の繁殖がカネ(黄金)になったかの史実に基づいた話なんですが、
昭和40年前後、先進諸外国のどこも考え付かなかった路線の物語でもあります。
ここまで書いてこの本もネタになると気付きました!ありがとう(笑

毛色の本はですね、あったらこんなに苦労しなかったですよ。
私が探せないだけかもしれませんが、見たことないです。
このブログの左サイドバー「犬 お役立ちサイト」にリンクがあるここ。
http://homepage.usask.ca/~schmutz/dogcolors.html
今現在、犬の毛色の因子全般について根拠のある正しい説を公開してくれているサイトはここくらいかなと思います。
カナダの大学教授監修ですから当然英語ですが、文章の説明より画像と因子の記号をメインに参考にしてもイイ感じです。

あともちろん、私でわかることなら喜んでお返事します。
どうぞご遠慮なくコメントくださいね。
繁殖の予定が無いと仰る方にはとくに、特別サービスしますから(笑
Posted by あきこ at 2013年11月17日 19:09
本の紹介ありがとうございます。
図書館にあったので今週中にも行って見ます。

遺伝子の本はやはりないのですね。
残念です。
英語は難しく‥教えていただいたサイトで少しづつ翻訳ソフトに入れてみます。

正しいサイトって探すのも大変ですよね。
チャイニーズクレステッドもへアレスが優勢のところもあれば劣勢のところもあり???です。
ほんとのところどっちですか?


Posted by melodyまま at 2013年11月18日 18:19
●melodyままさん●

「黄金の犬」はまったく楽しい物語ではないですが、
イギリスを筆頭にヨーロッパの国々では「日本には犬を売らない」という意見が今も根強いのですが、
その理由が書かれていたりします。私の読後の感想は驚きと腹立ちと納得ってとこで。

>ほんとのところ

どっちもアリです。犬種によって違うようです。

ヘアレスドッグの無毛は、古くからいる犬種はすべて優性遺伝なんですよ。
チャイニーズクレステッドドッグ
メキシカンヘアレスドッグ
ペルービアンへアレスドッグ
それとペルービアンから500年くらい前に派生したと言われているボリビアン(別名カーラ)

それに対し、つい最近(1972年)1頭の犬に起こった突然変異から、
数を増やしたアメリカンヘアレステリアだけ無毛が劣性遺伝で子に伝わります。

優性遺伝のヘアレスは、毛色のハルクインと似た感じの働きをしてしまうため、
両親から優性ヘアレス因子を2つ受け取った子どもはお腹の中で死んでしまうそう。
パウダーパフとかコーテッドなどと呼ぶ毛のある個体が必ず犬種内に存在しています。
なので生きてるヘアレスドッグはみんな優性の無毛因子1つと有毛の因子1つを持っていると言えます。
アメリカンヘアレステリアだけは無毛因子を2つ持たないと、普通のラットテリアになっちゃいます。
Posted by あきこ at 2013年11月18日 21:12
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