2013年12月05日

犬の肺マック症


先日友人と犬コクシジウム症の感染の話をしていて、コクシジウムはたしか原虫で、
感染後発症まで潜伏期間は2週間くらいで、有効な薬剤は・・と考えた時、
記憶があやふやだったためとりあえずググってみたんです。
そしたら、コクシジウムはアピコンプレックス門に属する原生生物という文章を読んで、
アピなんちゃらコンプレックスって名称の調べ物をした記憶がよみがえってきてしまいました。
そんな流れで今日の記事はそのなんちゃらについて当時調べたことの覚え書き。
つまんない内容なのでほんとに覚え書きです。

1年半ほど前の情報ですが結核に似た症状が出る(が結核とはちょっと違う)肺マック症という病気は、
マイコバクテリウムアビウムコンプレックスMycobacterium Avium Complex
という名前の菌が原因になる(ただしヒトからヒトへの感染は無い)まではヒトと同じだけど、
犬では単純な常染色体劣性遺伝のようだ、というウワサを聞きました。
inフェイスブックの英語が飛び交う場(ここ泣く所)での話題でした。


Mycobacterium Avium Infection --- 非結核性抗酸菌症感染

●マイコバクテリウム属 Mycobacterium
グラム陽性細菌に分類される真正細菌の一属。
顕微鏡で調べるときに菌を染色して観察するが、
一旦染色されると酸などで脱色されにくいので抗酸菌(acid fast bacteria)とも呼ばれる。
(由来は上記の通りだが実際に酸に強く、普通の菌は死滅する胃酸の中でも生きていられるらしい)

○代表的な菌種
о結核菌群
 ・ヒト型結核菌(Mycobacterium tuberculosis)---ヒトに対して結核を引き起こす菌
 ・ウシ型結核菌(Mycobacterium bovis)---ヒトのBCGワクチンの元
  ※どちらもヒトの結核の原因となる。実は多くが無症候性、潜伏感染。

о癩菌群
 ・ライ菌(Mycobacteriumleprae)---ライ病(ハンセン氏病)を引き起こす菌
  ※伝染性が低い

о非結核性抗酸菌群
 ・Mycobacterium avium (ヒト肺非結核性抗酸菌症を起こす菌の代表)
 ・Mycobacterium intracellulare
 ・Mycobacterium kansasii
 ・ヨーネ菌 (M. avium subsp. paratuberculosis):ヨーネ病を引き起こす菌
  ※ヨーネ病とは慢性肉芽腫性腸炎で反芻動物の法定伝染病、1年以内に死亡。
 ・Mycobacterium ulcerans(人に対してブルーリ潰瘍を引き起こす)
  ※ブルーリ病とは痛みのない虫刺されのような潰瘍が増える病気で重症化では断脚も普通。
ここまでウィキペディアから引用転載。
    
Disseminated Mycobacterium Avium Complex

Mycobacterium Avium Complexは日本でもヒトにわりと見られる病気で(90年〜2001年の調査では年間新規感染数8千人程度)、いくつか呼び名がある。
肺非結核性抗酸菌症、非結核性抗酸菌症、非定型抗酸菌症、肺マック症など。
日本人の場合は中高年の女性の発症が多く、健康診断の胸部レントゲンで異常を指摘され
気付くケースがよくあるが、再検査時に初期だと菌が出ず見過ごされることもある。
無治療でも進行は遅いが5年10年というスケールで悪化していく例がほとんどだとか。

Disseminate=播種性とはウイルス感染し体内のどこかで一次増殖をした後、
リンパ管や血管から全身に種を撒くように広がること。
全身散布性とも言う。播種性MACは1990年代に末期のエイズ患者に発病することが多く、
それが致命的だったために仕組みや効果のある薬剤などがずいぶん研究された。
エイズ末期では細胞の活性化を増強させる「ヘルパーT細胞」が減少しているらしい。

犬の主な症状
リンパ節の腫脹のほか、嗜眠、嘔吐、食欲不振、発熱、跛行、血便、下痢、薄い粘膜、腹部膨満、眼または鼻汁とまれに肉芽腫性皮膚病変

simple autosomal recessive mode of inheritance

単純な劣性遺伝とは、病気を起こす遺伝子が1種類だけだとわかっている状態。
autosomal recessive(AR)であるなら「MAに弱い遺伝子」が劣性、「MAに対して通常に作用する遺伝子」が優性となる。
確認のためにAR遺伝病のおさらい。
MAに関する遺伝子は、MAC症の発症の有無にかかわらず、どの犬も2つ持っている。
受精した時に1つずつ両親犬から受け継ぐので2つで、2つ持つ犬は子にそのうちの1つを受け渡す。

仮に「MAに弱い遺伝子」をm、「MAに対して通常に作用する遺伝子」をMとする。
父犬が持つMA関連遺伝子がMとMであればMしか渡さない。子が1頭でも100頭でも。
母犬がMとMを持っていても同じ。この組み合わせから生まれる子はすべてノーマル。
また、両親犬ともアフェクテッドであっても確率は同じで、mとmしかもらえないのだから子は全頭アフェクテッド。

父犬がMとmを持つキャリアーであれば50%の子にMを渡し、残り50%の子にmを渡す。
このキャリアーMmを父とし、MとMを持つノーマルの母犬から生まれる子は
父犬のMと母犬のMを継ぐ子が50%
父犬のmと母犬のMを継ぐ子が50%となり
子はノーマルとキャリアーが半々の割合で誕生することになる。
逆に言うと本犬がキャリアーであれば片親がアフェクテッドまたはキャリアーか、両親ともキャリアーかのどちらかになる。

シンプルARはノーマル、キャリアー、アフェクテッドの3種類しかない。
片親がアフェクテッドで別の片親がキャリアーという危なげな組み合わせでも、
確率はMm(キャリアー)とmm(アフェクテッド)が50%ずつになるので半数の犬にMAC症と無縁な生涯が約束される。
キャリアー(発症しない)のシンプルARの病因因子は、悪さをせずにおとなしく代々受け継がれていく。
DNA検査で明確にできない因子がどの犬に受け継がれたかがわからない段階では、
できるだけ回避したいのでリスクを予想することになる。

MAC症を発症する組み合わせ(アフェクテッド同士の交配)では、子の発症リスクは100%、
発症した(する)のだからキャリアーリスクはゼロでも100でもどっちの呼び方でもいい。
フェイスブックの議論では発症リスクとキャリアーリスクを混同してる人がいるかも。

キャリアー同士の繁殖はノーマルが25%、キャリアーが50%、アフェクテッドが25%生まれる確率。
発症リスクは25%、キャリアーリスクは厳密には50%だが、この場合は正常かヤバイかを論じているだろうから、
親犬が両方キャリアーの血統書を持つ犬のヤバさは75%と考えても間違いではない。
ここで生まれる25%の確率で存在するノーマルの個体もリストではリスク50%もしくは75%と記される。
「数値が大きければ大きいほどヤバイわけじゃない」。
もちろん50%もしくは75%のリスクが発生する組み合わせで誕生したのは間違いないが、
ノーマルMMを排除する必要がどこにある?という意見があるのは理解できる。

もう一度別の言い方で書いてみる。
ある1代目のアフェクテッドのオス犬がノーマルのメス犬との間に子を設ける。
2代目の子は全頭キャリアーだから発症はしないが、子自身がMを子孫に受け継ぐ確率が50%、
mも50%なので、1代目の系統のキャリアーリスク(子孫のMAC症リスク)を50%とする。
その2代目がノーマルの配偶者との間に3代目を作ってようやく本流にノーマルが発生する。
2代目からmを継いだキャリアーMmとノーマルMMでは、MMが50%Mmも50%だが
2代目からMを継いだノーマルとノーマルでは当然100%がノーマルだ。
実際にはキャリアー個体だけが次世代にMAC症をもたらすのだからMmの3代目だけがリスクを持ち続け、
MMの3代目の子孫のリスクはゼロになる。

DNA検査が確立していなければどの犬がキャリアーかがわからない。
確かなのは片親がアフェクテッドなら1代目の子は必ずキャリアーであるということ。
しかしその1代目キャリアー犬の2代目の子がキャリアーかノーマルかはわからない。
つまり3代目のリスクとは、キャリアーの子はキャリアーとノーマルが半々の確率という遺伝の法則に従い、
MAC症を発症した犬が血縁内のどの位置にいるかで確率を計算しているに過ぎない。

1頭の1代目だけがアフェクテッドで、配偶相手が常にノーマルなら、
直系の子孫は当然ながら代を経るごとにリスクが減少していく。
アフェクテッドがリッター(同胎)内にいると、本犬は発症していなくても、少しリスクが上がる。
リッターがアフェクテッドだと本犬のキャリアーリスクは3分の2、66.7%になる。
親犬はキャリアーだけど祖父母犬以前の直系数代にも発症が見られない健康な犬は、
たった1頭の同胎兄弟がMAC症に罹っただけでキャリアーリスクが66.7%と極めて高い数値になる。

66.7%の本犬がノーマルとの間に生んだ子のキャリアーリスクは半分の33.3%となる。
が、確率は単に目安でしかない。
数字が多い方がリスクは高いが、リスクの低い数値はすべてMMとイコールではない。
66.7%の系統にノーマルをかけ続けると5代目でリスクが1%台になるが、
キャリアーリスク1%の犬と66.7%がどちらもキャリアーであるならMAC症を発症しない。
MAC症の話だけに限定すると66.7%も1%も健康ということだから。

ワタクシはやっぱり騒ぐほどのことじゃないと思う。(当時フェイスブックでは大騒ぎだった)
キャリアーリスクが下がる繁殖を犬種ごとの繁殖者みんなで進めるのが最善で、
数値の高い個体をツマハジキにするのは犬種に対して間違いを犯すことと思える。
繁殖者個人が自分のブリーディングはキャリアーリスク5%以下を守る、とかで済む問題。
たとえばリスク50%以上の個体を繁殖禁止としたって、
リスク1%の個体がキャリアーである確率が1%ある=ゼロではない=排除しきれないんだから。

Dr. Gigerと関係者が一日も早くDNAテストの方法を見つけてくれますように。

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コクシジウムについては再度勉強し直します。つい横道に逸れるんだ。すまん。




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posted by あきこ at 22:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 遺伝性疾患を知ろう | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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