2014年01月27日

繁殖犬のあご溶け病


もしくは多頭崩壊の下あご溶解病とか連続出産の母犬の顎の骨なくなり病とか。
タイトルも含めそんな病名はありませんが、
実際に犬の大規模レスキュー現場に1頭くらい、主に下顎がまるで溶けたような、
口内環境もひどくてお口が半分くらいしかなくなっちゃった感じの犬が時々います。

だいぶん前にこのことについてリクエストをいただいてるので、忘れてたのを今頃思い出した
原因の一つであるとも考えられる遺伝病をご紹介いたします。
ヒトにも同じような原因と経過をたどる疾患がありまして、おそらくその流れで病名は
低カタラーゼ症、または低カタラーゼ血症と呼ぶようです。
Hypocatalasia または hypocatalasemia

カタラーゼとは生き物の体内に存在してる酵素で、ヒトも犬も屁っぴり虫も持っていて、
細胞内の酸化と解毒をちゃちゃっとやっちゃう物質とのこと(化学は苦手)。
とにかく、ヒトならばカタラーゼがきちんと働かないと細胞の元気がなくなるモノみたいです。

参考サイトその1
日本学士院
昭和39年日本学士院賞受賞の高原滋夫岡山大学医学博士(耳鼻科のお医者さんだった方、故人)による
無カタラーゼ血液症の発見とその研究(の受賞審査要旨) (pdfです)
褒め称えてます。ヒトの話です。
http://www.japan-acad.go.jp/pdf/youshi/054/takahara.pdf

上記の文章を拝見すると無カタラーゼ症の代表的な症状は口の中に壊疽が起こるが、
それ以外の箇所にはとくに病変がなく、なんら変わった症状がない、ようです。
(壊疽えそ とは体組織の腐敗に特徴づけられる壊死の合併症、壊死が進行した状態)

こっちは犬の話です。参考サイトその2
東北大学の学術研究成果及び教育成果を収集し広く公開することが目的の
東北大学機関リポジトリ"TOUR:TOhoku University Repository"の学位論文内容要旨(平成13年)
無カタラーゼ血液症ビーグル犬に関する生化学的および分子生物学的研究 (pdfです)
http://ir.library.tohoku.ac.jp/re/bitstream/10097/15222/1/Y2H120435.pdf

論文は平成のものですが研究対象の無カタラーゼ症ビーグルが見られたのは昭和57年で、
症状はヒトとほぼ同じ「高原氏病と非常に類似した口腔内壊疽が認められた」そうです。
犬はもともとカタラーゼが少ない(活性が低い)ので低カタラーゼ症の犬は聞いたことがないと書かれています。

英語の病名で検索しても「Takahara's disease(高原氏病) 歯周囲組織の進行性壊疽性病変」的に、
ごく簡単に説明してあるものしか見当たらなかったのはヒトも犬も日本の研究が主流だからか。
いろいろ読ませていただいた結果、犬の低カタラーゼ症は無カタラーゼ症 Acatalasia
と同じものと言えるとワタクシは思いました。
犬では遺伝性疾患で、18番染色体にあるカタラーゼ遺伝子(CAT)の突然変異(ミスセンス変異)が元だが、
正確にいつどの犬種に発生したのかはわからない。
常染色体遺伝でおそらく劣性。

っと、こんだけ書いてあれですが、顎の骨溶け病は「ただの歯石」が元のほうがたぶん多いです。
歯周病菌→ 歯石→ 歯の生え際の炎症→ 歯根の炎症 と進む頃には、
1本の歯と同じかそれより大きいほどのサイズの歯石がカチカチの緑色系の塊になってるだろうという、
レントゲンで見ると歯根がぼんやり溶けてるだけならふつうのご家庭の犬にもよくありますね。
動物病院のブログなんかで歯周病の例として写真つきであちこちで見ることができます。
だがしかし、ひどい歯周病でも目に見えてあごがなくなってしまうほど骨が溶ける犬は少ない。
なぜなのでしょう。

つづく。





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posted by あきこ at 21:25| Comment(3) | TrackBack(0) | 遺伝性疾患を知ろう | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
今頃ですが…
今年もよろしくお願いします。

下顎がやや溶けている犬の飼い主です。
あご溶け病…謎解きは続きなんですね。
UPお待ちしています。
毛色の話がどうしても頭に入らないのはなぜでしょう…。
この色に関する事って全ての動物に共通することなのでしょうか。
例えばうさぎとか。
うさぎの毛って一本づつがグラデーションになってます。そしていわゆる純血といわれるうさぎでは必ず育たない子どもが生まれるのだとか。
何故なのかずっと疑問なのですが犬ブログでの質問じゃないですね。残念だなぁ。
Posted by いちごまま at 2014年01月28日 14:34
あきこさん

本の紹介ありがとうございます。
本のところに何度の挑戦したのですが
コメントできなくて…
こちらにしました。

早速、アマゾンに注文しました。
のんびり読んで、感想などあればまたコメントしますね。

本が来るのが楽しみです(*^-^*)
Posted by melodyまま at 2014年01月28日 17:54
●いちごままさん●

こちらこそ、今年もよろしくお願いしまーす。

あ、すいません謎解きなんて高度なものじゃなくて。
いちごちゃんは口元が尖り気味(ポメ飼い間で俗に言うキツネ顔)なので歯周病リスクがもともと高いでしょうね。
うちではミッシュのマズルがいちごちゃんと似たタイプなのでよくわかりますよ。
あと、うちのポメたちはみんなそうですが、あごに対して歯が大きくて、
永久歯に生え変わったとたんに隙間なしのギチギチになりました(とくに前歯)。
それって歯並びが良さげに見えますが、おちょぼ口と同様に高リスクです。

うさぎさんの毛色はさっぱりですが、でも犬の毛色話と基本は同じはずですよ。
マウスもハムスターも馬も牛も基本は共通で致死の色素遺伝子は存在するみたい。


●melodyままさん●

すみませんねー、seesaaブログはコメント欄も時々機嫌が悪くなるんですよ。
挑戦していただいたほうのコメントは再読み込みで出現しました!
Posted by あきこ at 2014年01月29日 00:30
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