シリーズで少々ご紹介いたしましたいつものオーストラリアの大学ではなく、
カナダ発信の犬の遺伝性疾患の病名翻訳。
トイプードルの遺伝性疾患 http://kotavi2002.seesaa.net/article/454436664.html
ポメラニアンの遺伝性疾患 http://kotavi2002.seesaa.net/article/454523066.html
チワワの遺伝性疾患 http://kotavi2002.seesaa.net/article/454889529.html
マルチーズの遺伝性疾患 http://kotavi2002.seesaa.net/article/455303526.html
シェルティの遺伝性疾患 http://kotavi2002.seesaa.net/article/455395110.html
どの記事でも「繁殖上では可能な限り根絶する努力がなされている」としました原文はこれ。
and where possible, efforts are being made to eradicate them.
(Copyright c 2011 Canine Inherited Disorders Database.)
たぶん直訳だと伝わりにくいと思えたので「繁殖上では」を付け足していまして、
その補足説明を書いてみようと思います。
犬の遺伝病を根絶する努力とは
病気に関わる遺伝子が親犬から子犬に遺伝することにおいて、
遺伝病を発症する犬が生まれない組み合わせの繁殖を繁殖者がすることで、
逆を言えば遺伝病を発症する犬が生まれる組み合わせの繁殖も世の中に存在しているわけです。
「繁殖者が知っているのか知らないで発症する組み合わせを選んだのか」以前に
そういう組み合わせが存在することが事実だ、というお話です。
繁殖者本人が発症する組み合わせを選んでいると気づいていないケースが山ほどあるから、
わりと犬を大事に飼う文化も意識もあるはずの我が国が、
先進国では世界一の犬の遺伝病のデパート大国になっているんですよ。ぶっちぎりで。
主に野犬の抑留と殺処分を行政サービスに組み込んだ制度があるため、
動物愛護後進国だと嘆いて中途半端に問題提起する浅い意見もよく見ますが、
飼育動物への愛情面や飼育技術などが特に遅れているわけではないんですよね。
どちらかと言うと素人レベルの乱繁殖は動物を適正に管理する欧米思考を嫌い、
犬もヒトも等しく尊い命、式の仏教の考え方が元だと感じることがあるくらい。
日本人はいつも同じ過ちを繰り返します。
良かれと思って。知識は持たず。愛情たっぷり知識ちょっぴり。
話を戻します。親犬から継承される遺伝病の場合、
この視点で見ると犬の繁殖は基本的にその2種類しかありません。
当然ながら前者が犬の遺伝病を根絶する努力に相当しまして、
繁殖者の立場や職業や意識や知識などなどの事情で変化したりしない事実です。
誰がどの犬におこなっても繁殖は基本的にその2種類のどちらかに振り分けることができるから。
家族同然の愛犬の自然な恋愛だ結婚だ出産だと愛情の名の下にいくらキレイに言っても、
無配慮な素人繁殖は無配慮な素人繁殖でしかなく、(ついでに重度の擬人化)
安売りの愛と病気や遺伝の正しい知識のどちらを重視するかは言うまでもないのです。
なので飼い主の心情がどうのこうのは別に考える必要があります。
で、ただ単にオス犬とメス犬を掛け合わせて子犬を産ませるだけの素人レベルの繁殖は、
遺伝病を発症する犬が生まれるか生まれないかの2種類に照らし合わせて、
遺伝病なら遺伝病に対してどっちの組み合わせなのかが不明な状態を指す表現なのです。
犬以外でもすべての家畜動物と(動物園など)野生動物でも飼育下なら同じです。
それが世界基準と言いますか、別に世界会議で決まったわけではなく、
生き物の繁殖を操作するならそれがただ単に真実なのです。
繁殖者自身がそもそも組み合わせがあることに気づいていない(レベル1)〜
遺伝子検査を1つだけしてみた(レベル2)〜
ショーに出さないならスタンダードにこだわらなくていい(レベルマイナス10)〜
のような繁殖をまとめて、
ワタクシはわかりやすい言葉として「乱繁殖」と言い表すことが多いです。
重要ポイントは
犬の遺伝病を根絶する努力は1種類の遺伝病に対してそれぞれにおこなう
という点。
遺伝子検査ができる/可能な遺伝病に対しての努力、じゃなくて。
この努力をしない・できない・足りない・知らない繁殖が乱繁殖なのですよ。
子犬を産んでくれる愛犬がどれだけ飼い主家族に愛されているかとか、
臭くない汚くない家庭のリビングで飼われている小規模繁殖な自称ホビーブリーダーは、
TVで見た悪徳業者のように不衛生じゃないからとか何だとか、
そういう次元の話では無いのですが、なかなかわかってもらえないですよねぇ・・。
親犬から子犬に遺伝する犬の遺伝性疾患
の発症する組み合わせの結果はふつう確率の問題なのですが、
って書きかけたけど長いから分けることにします。つづく。
写真がないペットブログって、さすがにつまんない、と今頃気がついてみる