2018年07月27日

日本の獣医とUSのVET

わかりやすい例をできるだけ簡潔にご紹介。
我が国に犬の遺伝病が異常に多く、しかもいつまでも減らない理由の一端。

シーズーやペキニーズ、フレンチブルドッグやパグやボストンテリア。
鼻ぺちゃ度の高い犬種、短頭種っと呼ぶグループの犬たちが、

罹りやすい病気

の一つ、短頭種気道閉塞症候群。
その病名でグーグル検索をしてみると最初にヒットするのは動物病院でした。

参考;この記事作成時点のグーグル検索SS
japanese.jpg

※このSSでは1位のアトム動物病院さんのサイトの病名が「短頭種気道症候群」でして、
検索ワードの「短頭種気道閉塞症候群」とは「閉塞」の部分が違いますが、
病名はこういうことがしょっちゅうありまして、この程度なら「同一」の範囲内です。


参考 その2;病名を英語に訳して以下同文
english.jpg

「学術記事」の3行を飛ばすとこの時の1位は VCA Animal Hospital のサイトです。


次に中身を見ます。書いてある説明を読ませていただきましょう。
日本の方は病院名からして誰が見ても「専門家」「プロ中のプロ」という印象を受けます。

東京都板橋区 アトム動物病院 動物呼吸器病センター 短頭種気道症候群
http://www.atom-ah.com/respiratorydivision2

最初の段落はこの病気の背景と症状の要点のまとめのようです。
ところどころ専門用語があるけれどざっとした意味は充分掴めます。
ただ、この病気は遺伝性疾患なのですが、そのことの説明箇所は↓だけみたいですよね。
『典型例では、生後間もなくより(遺伝的素因)発現し』

それと「予防」に関する箇所が一番下にあるのですが、、、、、、以下引用します。
『予防
発症が1歳未満であるならば、病態の複合化を防ぐためにも早期に外科的な治療を行うことが望ましいと言えます。高温多湿で症状が急激に悪化するため、夏期の外出制限、湿度気温の調整を心がけましょう。また、異常な興奮を避け、適正体重の維持に努めるべきです。』

引用おわり。
次を紹介します。

VCA Brachycephalic Airway Syndrome in Dogs
https://vcahospitals.com/know-your-pet/brachycephalic-airway-syndrome-in-dogs

私たちがよく見かけるタイプのふつうの個人開業の動物病院とは違って、
これは人間のホームドクターの制度に近いと考えるのがいいのでしょうかね?
アメリカの43州とカナダの5州の動物病院750以上と、4,700人以上の一次診療獣医師の協会、
のような団体(と呼んでいいのか?)のサイトです。このページ作成担当は獣医さん。

文字数が違うのも一目でわかるとおり、VCAの方が読む人に有益な情報量が多いのと、
内容がとてもわかりやすいです。このケースではアトム動物病院さんと比べると。
どちらのサイトもこのページを見るのは同業者(獣医療関係者)や勉強中の学生などではなく、
その病気に関係する犬の飼い主さん、つまり専門知識を持たない一般人ですよね、たぶん。
まあホームページが動物病院のすべてではないから、
アトムさんの方はインフォームドコンセントが五つ星かもしれません。

で。
最後に一つだけ決定的な差が大きい部分。この記事のサビ部分(笑)です。
上記と同じURLですhttps://vcahospitals.com/know-your-pet/brachycephalic-airway-syndrome-in-dogs
『Is there any other advice?
(中略)
"...dogs that require surgery to correct airway obstruction should not be used for breeding."

This syndrome is directly related to the conformation or breed standard for brachycephalic dogs.
Dogs with pronounced breathing difficulty or dogs that require surgery to correct airway obstruction should not be used for breeding.
It is usually recommended that these dogs be neutered at the same time that the surgical correction is performed.』


あっちゃー。
やっぱり書きますよね、それ。だって当たり前に必要な情報ですもんね。

大雑把な傾向では英語のほか、スペイン語ドイツ語フランス語ロシア語とかも基本は同じです。
読めないけどスエーデン語もオランダ語もギリシャ語もアラビア語も同じと思います。
上記のような「犬の遺伝病の原因や予防に関して最も重要な情報」は常にオープンです。
子犬の売り上げに響くから伏せておこう、的な発想はほとんどありません。パピーミルでさえ。
この部分を知らなければこの病気の情報としては不十分。
それを皆が知ってるんですよ。皆って、日本以外の皆です。

ふだん英語を読まない人もこれだけは自力で頑張って読んでほしい短文ですが、
ワタクシの素直じゃない和訳ファンシャーは以下をどうぞ。

その他の注意事項は?

(中略)

“この病気で外科手術適応になる犬は、繁殖は適応外です”

この症候群は短頭種の(頭骨の)立体的構造と犬種標準(スタンダード)に直結します。
呼吸困難症状のある犬や気道閉塞の矯正が必要なクラスの犬を繁殖に供してはなりません。
それらの犬は通常、外科手術時の全身麻酔の機会に同時に避妊去勢手術が推奨されます。







知りもしないくせに「ショーに出さないならスタンダードは関係ない」って言っちゃう無責任獣医にこれみたいな遺伝病伝えるとカルチャーショック受けるよ

posted by あきこ at 11:00 | Comment(0) | 遺伝性疾患を知ろう | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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