2019年04月11日

犬の遺伝病、いつからあるの?

みなさんこんにちは。ワタクシはまだ生きてました。
先日来、考えて考えて考えて考えて、ようやく答えが見えた気がする話題をお送りいたします。

「犬の遺伝病の数が増えている」
のは事実で間違いありません。
ただ、理解の過程で付け足す情報が人それぞれ違っている。
どの部分が違っているのか、あまり気づかれていないようだ。というお話。

繁殖や遺伝性疾患などについてネット検索で調べるとき、
読んだ文章は自分の頭の中だけで補足しながら理解し記憶していってません?
例をあげると、

「犬の遺伝病の数が増えている」


「5歳過ぎに出産させる悪徳業者の犬の遺伝病の数が増えている」
とか、
「近親犬の劣性遺伝病の数が増えている」
あるいは、
「遺伝子検査をしないから犬の遺伝病の数が増えている」

と、こういうことなのか!と感じたのです。

3才のアメリカンコッカーです。
右目が、先天性のドライアイだとネオベッツVRセンターの眼科で診断されました。

血統書の中の父方の曽祖父と母方の祖父が同じです。
ブリーダーさんに、問い合わせたところアウトラインだから、それは大丈夫だとのことです。
私的には、父方と母方の血液の交流があるので、遠い親戚になるのじゃないかなって、思うのです。

お考えを、聞かせていただけますか?
よろしくお願いいたします。

Posted by 竹内 佳子 at 2018年09月10日 17:24


アウトラインだから大丈夫?とは?何のこと???
と悩みながらいろんなことを考えていました。
竹内 佳子さん、ノロマな返事でごめんねー。
その生産者に「近親犬の劣性遺伝病の数が増えている」系の思考かを確認してみてください。


「犬の遺伝病の数が増えている」
正確には
「科学の進歩により犬の遺伝病の正体がわかってきた数が増えている」
それと
「個体が必ず持つ複数の負の遺伝子を、乱雑に組み合わせて繁殖された犬の遺伝病の発症数が増えている」

遺伝性疾患の存在自体は昔からだったはず。
昔っていつ?たぶんイエイヌが誕生した頃だから、数万年前から。
全部じゃないですよ当然。でも多くがそうでしょう。
この先、「○○病の原因遺伝子△△は?千年前頃どこ地方のナントカ犬に発生した可能性が・・」
みたいな発見がポンポン出るかもしれないけど、今はまだ推測。






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posted by あきこ at 19:00 | Comment(2) | 遺伝性疾患を知ろう | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月13日

事例)犬の口内炎

最近別の話題で紹介したばかりですが同じ本から第2弾

初版が1978年なんですよ、この本は元々。
犬の行動学 (中公文庫)
犬の行動学 (中公文庫)


1頭の種オスと3頭のメス(うち1頭はオスの姉妹犬)から4,000頭の犬を繁殖させたビーグルの犬舎で、近親繁殖からの繁殖業の初期の頃に発生した“不快な歯茎の病気”に関する話です。
(何十年も前の外国の出来事なので繁殖方法など詳細はツッコミ禁止ですよー)
第五章 純血種としての犬 より一部引用

『主として、下顎の歯槽が腐り、海綿状になった骨の腫瘍が発現する、というものです。
このような犬たちにおいて、歯肉の壊死、化膿、口内出血が認められました。

二人は最初、この病気は餌からくるものと考えましたが、この病気に罹った犬たちの血統を調べたところ、この疾患は複数因子による遺伝病であることをつきとめました。
というのは、この病気はある特定の血筋にしか発生していなかったからです。
したがって、速やかにこの血筋は繁殖から遠ざけられました。

このようにして、この遺伝性疾患は除去され、四千匹の内、たったの二一匹がこの病気に罹っただけですみました。
原因が判り、繁殖家としての旧態依然とした誇りや不正直、あるいは、際限のない金銭欲を捨て去れば、物事はこのように簡単に運ぶのです。』
引用おわり。
際限のない金銭欲、ってまた上手いこと言いますね(笑

で、現在の情報に照らし合わせれば、これは低カタラーゼ症にほぼ当てはまります。
そうであれば今では単一遺伝子のARと判明していますが、遺伝子検査は今もどこの国にもなかったと思います。必要性もないだろうし。
現代の犬の遺伝子検査の有無と遺伝病の発症コントロールは、だから別物なのです。
遺伝子検査をしていれば良い繁殖者だ、って考えのおかしさがここでもよくわかります。


救いようがない変なタイトルですが低カタラーゼ症紹介の過去記事
2014年01月27日 繁殖犬のあご溶け病
http://kotavi2002.seesaa.net/article/386200283.html


“不快な歯茎の病気”という表現を読み返してみて、思い当たったことがありまして、
上記の例のようにビーグルや、あととにかく国内の人気犬種に絶対現れているはず、
だけど動物病院で低カタラーゼ症と診断された犬の話は聞いたことがない・・・
ってことで“犬 口内炎”で検索してみました。

わぁ。予想はしてたけど、ヒットの連発だぁ。
治りにくい口内炎とか潰瘍性の口内炎とか腫瘍ではないから安心だとか、
ステロイドと抗生物質とストレス除去の毎度おなじみ3種の神治療だらけー。
ほーらごらん、小型の人気犬種が次々に・・・・・・。

遺伝のいの字もカタラーゼのカの字もない。知名度があがるまではいつもこう。
SA皮脂腺炎もポメはげも糸アレルギーもパテラやHDですらそうだった。
犬の遺伝病の知名度があがるのはどんなときだと思いますか?

誰かは気付いてるだろうけど一般の飼い主さんに情報が行き渡るまでが遠すぎる。
ってわかってるから、原因をつかみきれずにいる人を見かけたら情報提供してるんですけどね。
獣医なら人医の文献も探せるから低カタラーゼ症の可能性がゼロかどうかくらい調べてみる価値があるかもしれませんよ、的に。

最後になりましたが以下が事例です。
なんか医療従事者みたいだから通じるかと思ったら甘かった。
即効でコメント削除されました。
https://ameblo.jp/cocoreo526821/entry-12222492428.html






遺伝病に負けた?いいえ〜世間に〜負けた〜〜〜〜  犬ランキング

posted by あきこ at 22:40 | Comment(4) | 遺伝性疾患を知ろう | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年07月27日

日本の獣医とUSのVET

わかりやすい例をできるだけ簡潔にご紹介。
我が国に犬の遺伝病が異常に多く、しかもいつまでも減らない理由の一端。

シーズーやペキニーズ、フレンチブルドッグやパグやボストンテリア。
鼻ぺちゃ度の高い犬種、短頭種っと呼ぶグループの犬たちが、

罹りやすい病気

の一つ、短頭種気道閉塞症候群。
その病名でグーグル検索をしてみると最初にヒットするのは動物病院でした。

参考;この記事作成時点のグーグル検索SS
japanese.jpg

※このSSでは1位のアトム動物病院さんのサイトの病名が「短頭種気道症候群」でして、
検索ワードの「短頭種気道閉塞症候群」とは「閉塞」の部分が違いますが、
病名はこういうことがしょっちゅうありまして、この程度なら「同一」の範囲内です。


参考 その2;病名を英語に訳して以下同文
english.jpg

「学術記事」の3行を飛ばすとこの時の1位は VCA Animal Hospital のサイトです。


次に中身を見ます。書いてある説明を読ませていただきましょう。
日本の方は病院名からして誰が見ても「専門家」「プロ中のプロ」という印象を受けます。

東京都板橋区 アトム動物病院 動物呼吸器病センター 短頭種気道症候群
http://www.atom-ah.com/respiratorydivision2

最初の段落はこの病気の背景と症状の要点のまとめのようです。
ところどころ専門用語があるけれどざっとした意味は充分掴めます。
ただ、この病気は遺伝性疾患なのですが、そのことの説明箇所は↓だけみたいですよね。
『典型例では、生後間もなくより(遺伝的素因)発現し』

それと「予防」に関する箇所が一番下にあるのですが、、、、、、以下引用します。
『予防
発症が1歳未満であるならば、病態の複合化を防ぐためにも早期に外科的な治療を行うことが望ましいと言えます。高温多湿で症状が急激に悪化するため、夏期の外出制限、湿度気温の調整を心がけましょう。また、異常な興奮を避け、適正体重の維持に努めるべきです。』

引用おわり。
次を紹介します。

VCA Brachycephalic Airway Syndrome in Dogs
https://vcahospitals.com/know-your-pet/brachycephalic-airway-syndrome-in-dogs

私たちがよく見かけるタイプのふつうの個人開業の動物病院とは違って、
これは人間のホームドクターの制度に近いと考えるのがいいのでしょうかね?
アメリカの43州とカナダの5州の動物病院750以上と、4,700人以上の一次診療獣医師の協会、
のような団体(と呼んでいいのか?)のサイトです。このページ作成担当は獣医さん。

文字数が違うのも一目でわかるとおり、VCAの方が読む人に有益な情報量が多いのと、
内容がとてもわかりやすいです。このケースではアトム動物病院さんと比べると。
どちらのサイトもこのページを見るのは同業者(獣医療関係者)や勉強中の学生などではなく、
その病気に関係する犬の飼い主さん、つまり専門知識を持たない一般人ですよね、たぶん。
まあホームページが動物病院のすべてではないから、
アトムさんの方はインフォームドコンセントが五つ星かもしれません。

で。
最後に一つだけ決定的な差が大きい部分。この記事のサビ部分(笑)です。
上記と同じURLですhttps://vcahospitals.com/know-your-pet/brachycephalic-airway-syndrome-in-dogs
『Is there any other advice?
(中略)
"...dogs that require surgery to correct airway obstruction should not be used for breeding."

This syndrome is directly related to the conformation or breed standard for brachycephalic dogs.
Dogs with pronounced breathing difficulty or dogs that require surgery to correct airway obstruction should not be used for breeding.
It is usually recommended that these dogs be neutered at the same time that the surgical correction is performed.』


あっちゃー。
やっぱり書きますよね、それ。だって当たり前に必要な情報ですもんね。

大雑把な傾向では英語のほか、スペイン語ドイツ語フランス語ロシア語とかも基本は同じです。
読めないけどスエーデン語もオランダ語もギリシャ語もアラビア語も同じと思います。
上記のような「犬の遺伝病の原因や予防に関して最も重要な情報」は常にオープンです。
子犬の売り上げに響くから伏せておこう、的な発想はほとんどありません。パピーミルでさえ。
この部分を知らなければこの病気の情報としては不十分。
それを皆が知ってるんですよ。皆って、日本以外の皆です。

ふだん英語を読まない人もこれだけは自力で頑張って読んでほしい短文ですが、
ワタクシの素直じゃない和訳ファンシャーは以下をどうぞ。

その他の注意事項は?

(中略)

“この病気で外科手術適応になる犬は、繁殖は適応外です”

この症候群は短頭種の(頭骨の)立体的構造と犬種標準(スタンダード)に直結します。
呼吸困難症状のある犬や気道閉塞の矯正が必要なクラスの犬を繁殖に供してはなりません。
それらの犬は通常、外科手術時の全身麻酔の機会に同時に避妊去勢手術が推奨されます。







知りもしないくせに「ショーに出さないならスタンダードは関係ない」って言っちゃう無責任獣医にこれみたいな遺伝病伝えるとカルチャーショック受けるよ

posted by あきこ at 11:00 | Comment(0) | 遺伝性疾患を知ろう | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年07月18日

獣医は引っ込んどけ

公益社団法人 埼玉県獣医師会
トピックス コラム・豆知識 犬の遺伝性疾患について 2016年11月29日

より一部引用

 シドニー大学がインターネット上に公開している様々な動物の遺伝に関する情報サイトOMIAによると、現在、遺伝子異常が明らかな犬の疾患や形質(毛の色などの特徴)は211あり、そのうち約50の病気で遺伝子診断が可能と言われています。
引用おわり

>シドニー大学がインターネット上に公開している様々な動物の遺伝に関する情報サイトOMIA

当ブログでもおなじみのここのこと http://omia.org/home/

>遺伝子異常が明らかな犬の疾患や形質(毛の色などの特徴)は211

遺伝子の正体がきっちり明らかな犬の遺伝病と遺伝的形質の総数が2016年11月は211だったってことなんですが、どう考えても誤解を招くでしょうよ。
munouvets.jpg
上図出典;http://omia.org/home/

赤丸で囲った部分わかります?
この記事作成時のいま現在は『243』になってる部分です。
でもそんな数字を埼玉県獣医師会がそこに載せて何になるんでしょう?
一部のヲタク以外は犬の遺伝病と遺伝的な形質の総数だと誤解するのがふつうでしょ。
OMIAの名称は出してるけどリンクがないんだからそこをさらっと読んだ人(自称ブリーダー含む)は誰だってそう思ってしまうと思います。(まさかこれもSEO対策なのか!?)(カテゴリ間違ったか??)
japanesevetfool.jpg
上図出典;http://omia.org/home/

いま現在で719、2016年11月時点ではおそらく600台後半の数字だったはず。

犬の遺伝病と形質は現在700種以上が知られています。
200いくつじゃないです。

途中にもツッコミどころしかない記述があるけどわかりやすいところだけもう1点ツッコミます。
公益社団法人 埼玉県獣医師会
トピックス コラム・豆知識 犬の遺伝性疾患について 2016年11月29日

より一部引用

遺伝性疾患を少なくするためには、可能な限り親犬の遺伝子検査を実施して、疾患原因遺伝子を持っている犬を繁殖に使わないことがとても重要となります。

 ただし、現在利用できる犬の遺伝子検査はごく一部に限られていますので、遺伝性疾患が指摘されている病気を発症している犬は、できるだけ繁殖計画から除外することが望ましいと言えます。
引用おわり

>可能な限り親犬の遺伝子検査を実施して、疾患原因遺伝子を持っている犬を繁殖に使わないことがとても重要

そんなものは重要でもなんでもありません。バカか。
後手後手。遅いんだってそれじゃ。だから犬の遺伝病のデパート国だといい加減理解しろや。
それを重要だとするのは当ブログふうの分類上で言えばちょっとマシなパピーミル、バックヤード鰤、職業鰤、一般家庭の素人繁殖、レベルに過ぎません。
ということは言葉の本来の意味ではブリーディングじゃない、単なる生産。

犬の繁殖における遺伝子検査とは科学的な確認以外の何ものでもありません。
遺伝子検査が確立している(存在している)ほどのポピュラーきわまりない遺伝病くらい、
Aの系統は持っていてBには現れていないとか、この個体はキャリアーの可能性があるなどを、
充分予測できているのが当たり前の育種です。
検査しないとわからない段階を獣医師もトップブリーダーも当然だと考えること自体が、
遺伝病で苦しむ犬を減らしてやることができない最大の原因なのですよ。
繁殖の観点では驚くほどレベルが低いのに大多数のプロが気づいていないことが、
我が国が異常な乱繁殖天国である理由。
どう言えば理解してくれるのやら・・・・・・・・・・。もう百回以上書いてるぜよ。


>ただし、現在利用できる犬の遺伝子検査はごく一部に限られていますので

だったら200分の50の遺伝病で検査可能、みたいな誤解を招く表現控えなさいよ。


>遺伝性疾患が指摘されている病気を発症している犬は、できるだけ繁殖計画から除外することが望ましいと言えます

だったら遺伝性疾患が指摘されている病気を公表してくんない?
(遺伝性が示唆されている疾患(または病気)、っと言いたいのだとは思うけど)
ワタクシのような一般人じゃ無理なのよこの問題はどうしても。

んで、発症する「前」は?繁殖「後」に発症したら?
発症犬の血縁はどうするの?考慮しなくていいみたいな印象だよその書き方。
世の中には遺伝じゃないかもしれないって言う獣医師会所属の獣医もいるよね?
とくに遺伝だとか聞かれなきゃ言わない獣医さんは埼玉県獣医師会にいないの?
ってかさ、本当の本当に700以上の遺伝病のこと知ってんの???開業獣医さんが?

遺伝だろうがそうじゃなかろうが犬の病気のプロは獣医師なんだから、
中途半端な情報を公益法人なんつー特大サイズの看板背負いながら中途半端に流さないでほしい。
そして獣医師は犬の繁殖に関する知識は獣医療分野以外一般人となんら変わらないんだから、
わかったような助言とか指導なんかほんと控えてほしい。


この記事は「あなたがブログで700と言い張る犬の遺伝病は実際は211ですよ?」(大意)
といった読者のメール投稿がきっかけとなっております。



獣医学的視野を持たない一般人が時々挫けるけど頑張る遺伝病情報
犬の遺伝性疾患一覧 はコチラ↓ PC閲覧推奨
w190.jpg




こたくんに触れないから辛い辛い。けどがんばるさー。
posted by あきこ at 15:42 | Comment(0) | 遺伝性疾患を知ろう | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月21日

可能な限り根絶する努力/前編

今日は忙しくてこんな時間になっちゃいました。

シリーズで少々ご紹介いたしましたいつものオーストラリアの大学ではなく、
カナダ発信の犬の遺伝性疾患の病名翻訳。

トイプードルの遺伝性疾患 http://kotavi2002.seesaa.net/article/454436664.html
ポメラニアンの遺伝性疾患 http://kotavi2002.seesaa.net/article/454523066.html
チワワの遺伝性疾患    http://kotavi2002.seesaa.net/article/454889529.html
マルチーズの遺伝性疾患  http://kotavi2002.seesaa.net/article/455303526.html
シェルティの遺伝性疾患  http://kotavi2002.seesaa.net/article/455395110.html

どの記事でも「繁殖上では可能な限り根絶する努力がなされている」としました原文はこれ。
and where possible, efforts are being made to eradicate them.
  (Copyright c 2011 Canine Inherited Disorders Database.)

たぶん直訳だと伝わりにくいと思えたので「繁殖上では」を付け足していまして、
その補足説明を書いてみようと思います。


犬の遺伝病を根絶する努力とは
病気に関わる遺伝子が親犬から子犬に遺伝することにおいて、
遺伝病を発症する犬が生まれない組み合わせの繁殖を繁殖者がすることで、
逆を言えば遺伝病を発症する犬が生まれる組み合わせの繁殖も世の中に存在しているわけです。
「繁殖者が知っているのか知らないで発症する組み合わせを選んだのか」以前に
そういう組み合わせが存在することが事実だ、というお話です。

繁殖者本人が発症する組み合わせを選んでいると気づいていないケースが山ほどあるから、
わりと犬を大事に飼う文化も意識もあるはずの我が国が、
先進国では世界一の犬の遺伝病のデパート大国になっているんですよ。ぶっちぎりで。
主に野犬の抑留と殺処分を行政サービスに組み込んだ制度があるため、
動物愛護後進国だと嘆いて中途半端に問題提起する浅い意見もよく見ますが、
飼育動物への愛情面や飼育技術などが特に遅れているわけではないんですよね。
どちらかと言うと素人レベルの乱繁殖は動物を適正に管理する欧米思考を嫌い、
犬もヒトも等しく尊い命、式の仏教の考え方が元だと感じることがあるくらい。
日本人はいつも同じ過ちを繰り返します。
良かれと思って。知識は持たず。愛情たっぷり知識ちょっぴり。

話を戻します。親犬から継承される遺伝病の場合、
この視点で見ると犬の繁殖は基本的にその2種類しかありません。
当然ながら前者が犬の遺伝病を根絶する努力に相当しまして、
繁殖者の立場や職業や意識や知識などなどの事情で変化したりしない事実です。
誰がどの犬におこなっても繁殖は基本的にその2種類のどちらかに振り分けることができるから。

家族同然の愛犬の自然な恋愛だ結婚だ出産だと愛情の名の下にいくらキレイに言っても、
無配慮な素人繁殖は無配慮な素人繁殖でしかなく、(ついでに重度の擬人化)
安売りの愛と病気や遺伝の正しい知識のどちらを重視するかは言うまでもないのです。
なので飼い主の心情がどうのこうのは別に考える必要があります。

で、ただ単にオス犬とメス犬を掛け合わせて子犬を産ませるだけの素人レベルの繁殖は、
遺伝病を発症する犬が生まれるか生まれないかの2種類に照らし合わせて、
遺伝病なら遺伝病に対してどっちの組み合わせなのかが不明な状態を指す表現なのです。
犬以外でもすべての家畜動物と(動物園など)野生動物でも飼育下なら同じです。

それが世界基準と言いますか、別に世界会議で決まったわけではなく、
生き物の繁殖を操作するならそれがただ単に真実なのです。

繁殖者自身がそもそも組み合わせがあることに気づいていない(レベル1)〜
遺伝子検査を1つだけしてみた(レベル2)〜
ショーに出さないならスタンダードにこだわらなくていい(レベルマイナス10)〜
のような繁殖をまとめて、
ワタクシはわかりやすい言葉として「乱繁殖」と言い表すことが多いです。

重要ポイントは
犬の遺伝病を根絶する努力は1種類の遺伝病に対してそれぞれにおこなう
という点。
遺伝子検査ができる/可能な遺伝病に対しての努力、じゃなくて。
この努力をしない・できない・足りない・知らない繁殖が乱繁殖なのですよ。
子犬を産んでくれる愛犬がどれだけ飼い主家族に愛されているかとか、
臭くない汚くない家庭のリビングで飼われている小規模繁殖な自称ホビーブリーダーは、
TVで見た悪徳業者のように不衛生じゃないからとか何だとか、
そういう次元の話では無いのですが、なかなかわかってもらえないですよねぇ・・。


親犬から子犬に遺伝する犬の遺伝性疾患
の発症する組み合わせの結果はふつう確率の問題なのですが、

って書きかけたけど長いから分けることにします。つづく。




写真がないペットブログって、さすがにつまんない、と今頃気がついてみる
posted by あきこ at 22:00 | Comment(0) | 遺伝性疾患を知ろう | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月07日

シェルティの遺伝性疾患

シリーズ第5弾
トイプードルの遺伝性疾患 http://kotavi2002.seesaa.net/article/454436664.html
ポメラニアンの遺伝性疾患 http://kotavi2002.seesaa.net/article/454523066.html
チワワの遺伝性疾患    http://kotavi2002.seesaa.net/article/454889529.html
マルチーズの遺伝性疾患  http://kotavi2002.seesaa.net/article/455303526.html

CIDD
Canine Inherited Disorders Databas
カナダの獣医師会&獣医大学発信の犬の遺伝病のデータベース情報の翻訳です。
日本国内の犬は多くの犬種でアメリカから輸入された血統が入り込んでいますし、
純血種の犬籍は大雑把にはアメリカとカナダはイコールで結べますので、
我が国の犬たちに基本的には直結すると考えていいと思います。

ただし日本では素人レベルの乱繁殖が大多数なのでカナダもアメリカも凌駕しています。
独自に悪化し続ける理由は
「飼い犬の繁殖については飼い主が決定するもの」という、
未熟でお粗末な遅れた考えを正しいと思う人々が多いからです。


心の友に日頃の感謝と敬意を表して今日はシェルティ。
http://discoveryspace.upei.ca/cidd/breed/shetland-sheepdog

最重要疾患
この遺伝病は外科的な治療の必要がありあなたの愛犬の健康に重大な影響を及ぼす
シェルティに比較的一般的な遺伝性疾患といえる
繁殖上では可能な限り根絶する努力がなされている


コリーアイ
難聴
皮膚筋炎および潰瘍性皮膚病
動脈管開存症
フォンビルブランド病

※遺伝子検査ができる・できない・しない・できない・できるの順に並んでます。
遺伝形式は(基本的に)上からAR、色素関連ならADとARで関連ナシなら多因子と不明とAR、AD、X連鎖、AIDとAR


発生率が増加している遺伝病
カナダとアメリカではさほど致命的でもない  ※日本では超深刻!!

白内障
カラーミュータント脱毛症
角膜ジストロフィー
停留精巣
まつ毛異常
股関節形成不全
微小眼瞼 ←!
進行性網膜萎縮症
進行性網膜萎縮症 ←大事なことだから2回書きましたかな?(単にミスだとは思いますがw


シェルティの遺伝病として入り込む可能性がある遺伝病  ※日本ではすでに出まくり
特発性てんかん ←「突発(的)」と混同しがちなので注意
血友病     ←複数の凝固障害を含んで説明されています
甲状腺機能低下症
円盤状皮膚エリテマトーデス


参考
シェルティレスキューさん「皆様に知っておいて欲しいこと」(皮膚筋炎)
http://www.help-sheltie.net/top_oyakudachi.html

イリノイ州(アメリカ)のシェルティレスキューさん 皮膚筋炎写真など
(※たぶんエリテマトーデスのコが混じってるような) (英語
http://www.illinoissheltierescue.com/dm.html




微小眼瞼を日本語でググってみたら無関係なサイトしかヒットしない(このブログが2ページめに出てくるくらいだもの。書いてないはずなのに)。はーぁ。

posted by あきこ at 20:00 | Comment(5) | 遺伝性疾患を知ろう | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月05日

遺伝子検査/親犬?子犬?

先日書いた記事にご質問をいただきました。
2017年11月24日 優良ブリーダー 見分け方
http://kotavi2002.seesaa.net/article/455105551.html

遺伝病への取り組みはどうかという視点でブリーダーを見分けたいなら、
その犬種が検査可能な遺伝子検査を全部済ませているのが最低中の最低ラインです。
と書いたら、「検査を済ませた子犬を求めるのが良いのか?」的に。

わーあ!仰るとおりですね!そういうふうにも感じられる書き方だ!
なんとも紛らわしい表現ですみませんでした。

検査を済ませるのは繁殖をする犬、つまり両親犬です。
ブリーダーの考え方によって変わるようなことはなく、どこも同じです。世界共通で。
これはですね、遺伝子検査ができる遺伝性疾患の遺伝形式が、
基本的に常染色体潜性遺伝だから、とも言えます。

遺伝の話は興味がない人には難しく感じるものみたいですが、
基本部分は中学校で習う誰だって理解できることですから、
あやふやな部分まで知ったかぶって背伸びをする必要なんか本来ないんですよ。
犬だろうが猫だろうが爬虫類だろうが魚類だろうが動物の繁殖に関わるなら、
構えすぎないで当たり前の事実を素直に学び直すといいんじゃないでしょうかね。
犬関連でわからない点は聞いてくれれば知ってることは答えますし。ワタクシでよければ。
偏見を捨てて素直に情報を入れるようにしないと「遺伝病(の犬や猫)が出た=乱繁殖」とか
「珍毛色が出た=突然変異」みたいな辻褄の合わない裏庭鰤思考に行っちゃいそうです。

さて。
そんなこんなで実際に遺伝形式はどうなのか。
確認分は1つ前の記事をご覧ください。
2017年12月04日 検査可能な遺伝病の遺伝形式 
http://kotavi2002.seesaa.net/article/455326506.html

見ておわかりかと思いますが「あ行」の一番上から20個くらいチェックしてみると、
見事なくらいARばかりという結果でした。
ですので遺伝子検査ができる遺伝病はほとんどがARだ、と言うことができますね。
そうしましたら次はARの性質を思い出してください。

ちなみに当ブログ過去記事からARの性質に関する短い説明の記事
2006年01月17日 犬 遺伝 警鐘 2
http://kotavi2002.seesaa.net/article/11838171.html

同、これでもかってほど長くクドい説明の記事
2013年12月05日 犬の肺マック症 (後半2/3あたりから)
http://kotavi2002.seesaa.net/article/381977145.html

※2つめは今自分で読み返してみて爆笑するほどクドかった(笑

つまりARの性質を簡単に書くと
PRAなどARの遺伝病は「シンプルに」1つの遺伝子変異に原因があるので、
どの犬も「PRAに関する遺伝子」を必ず2つ(1対)持っているのだけど、
因子の種類は「シンプル」だから3種類でその組み合わせは以下の6通りになる、ということ。
1.【PRA発症】【PRA発症】
2.【PRA発症】【PRA因子運び屋】
3.【PRA発症】【PRAに罹らない】
4.【PRA因子運び屋】【PRA因子運び屋】
5.【PRA因子運び屋】【PRAに罹らない】
6.【PRAに罹らない】【PRAに罹らない】

6通りのうちのどれか1つが1頭1頭の犬に必ず当てはまるのが遺伝性疾患であり、
ある犬の組み合わせが「1.」なのか「5.」なのかがわかるのが遺伝子検査。
ここまで来たら最後はメンデルの法則だけ。

ふつうは「6.」の犬だけを繁殖させるので、その掛け合わせなら何頭生まれても
生まれる子はすべて「6.【PRAに罹らない】【PRAに罹らない】」だから。
というのが通常の繁殖でなされているはずなのです。
子犬を調べる必要がないわけですね。わかりきっていることなので。
そのような理由で遺伝子検査済みの子犬を売るといったやり方を誰もしないわけです。

注意しておく方がいいのは、これはARのみに通用する話だという点です。
たとえば、パテラとか白内障とかアレルギーなんかだと、
「遺伝子検査が無いから」ではなくて「ARじゃないから」複雑になっていきます。
どっちにしてももっともっと単純に親犬は元気だからそれは遺伝病じゃない!
とか言っちゃうぶりぃだぁだらけですから、我が国のレベルはいまだ。はーぁ。





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2017年12月04日

検査可能な遺伝病の遺伝形式

明日UP予定の記事の前半戦です。
書いてたら長くなってしまったので資料部分を切り離しました。

犬の遺伝子検査ができる遺伝性疾患の種類がずいぶん増えてきましたねー。
とても良いことです。
病気が増えたわけじゃなく正体不明だったものがバレる数が増えてるんですからね。
それで、「検査ができる遺伝性疾患の遺伝形式は基本的に常染色体潜性遺伝」
っという記事を仕上げる予定でして、遺伝形式をちょっと確認してみようぜと書いた部分。
例にしたのはどーこーにーしーよーうーかーなー
っと適当に選んだオリベットさんです。

オリベットさんの「犬種別検査リスト」の「あ行」を例にします。
下記の図は http://www.orivet.jp/testlists/A.php からの引用です。
A A.jpg

A A2.jpg


↑より病名だけピックアップ↓

びっくり病/過剰驚愕症
イヌ白血球粘着不全症
球様細胞白質ジストロフィー/クラッベ病
神経セロイドリポフスチン症(CL症)
進行性網膜委縮症 rcd1 PRA
進行性網膜委縮症 rcd4 PRA
変性ミエロパチー/変性性脊髄症 (DM)
進行性網膜桿体-錐体変性症 (prcd PRA)
原発性水晶体脱臼 (PLL)
常染色体劣性遺伝腎症(家族性腎症)(FN)
運動誘発性虚脱 (EIC)
ホスホフルクトキナーゼ欠損症
小脳性運動失調
高尿酸尿症/高尿酸血症
黒色毛胞形成異常症
イヌ多発性網膜症
第7因子欠乏症
錐体変性症
ポリニューロパシー/多発性神経症 (NDRG1)
常染色体劣性遺伝腎症/家族性腎症
腎形成異常
進行性網膜桿状体-錐状体異形成タイプ(prcd)
運動誘発性虚脱
多剤耐性遺伝子MDR1

こんなもんでしょうか。色素遺伝子は今はいらないので除外しています。
それとダブり部分だけ消したつもりですが消えてなかったらごめんなさい。
次に遺伝形式の確認。
本当は同じサイト内に各遺伝病についての個別説明があると親切ですが、
(オリベットさん、ぜひご検討ください)
なかったのでワタクシは自分のデータベースを確認。
必要な方はどうぞお使いくださいね。
http://www.geocities.jp/kotavi2002/00new/Index-disease.html

確認すると、Iウルフハウンドのびっくり病から最後のイベルメクチン不耐まで、
全部が全部常染色体潜性遺伝で間違いありませんでした。
autosomal recessive です。

どっちを書いても長いんでワタクシはいつも「AR」と略しています。

尚、「検査可能な遺伝病の遺伝形式はARが多い」ことを、
犬の遺伝病はARが多いと読み間違う人が世の中にわりといるのでどうぞご注意ください。
ぜんぜんそんなこたありません。
それとこれとは別モノですから。




ジングルベール
posted by あきこ at 20:00 | Comment(0) | 遺伝性疾患を知ろう | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月03日

マルチーズの遺伝性疾患

シリーズ第4弾
トイプードルの遺伝性疾患 http://kotavi2002.seesaa.net/article/454436664.html
ポメラニアンの遺伝性疾患 http://kotavi2002.seesaa.net/article/454523066.html
チワワの遺伝性疾患    http://kotavi2002.seesaa.net/article/454889529.html

CIDD
Canine Inherited Disorders Databas
カナダの獣医師会と獣医大学発信の犬の遺伝病のデータベース情報の翻訳です。
日本国内の犬は多くの犬種でアメリカから輸入された血統が入り込んでいますし、
純血種の犬籍は大雑把にはアメリカとカナダはイコールで結べますので、
我が国の犬たちに基本的には直結すると考えていいと思います。人気犬種はとくに。
おじいさん犬はアメリカチャンピオン!とかって聞いたことあるでしょ?それです。

ただし日本では素人レベルの乱繁殖が大多数なので独自に悪化し続けていますが。
いわゆる素人繁殖はもちろんそうですし、
ブリーダーを名乗って子犬をなんじゅっぴきも生産販売している人とかも、
ワタクシのこれまでの経験から推測すると犬の繁殖者の半数以上(の割合)は、
素人レベルの乱繁殖しかできていないんですよ。プロっぽく見えても。
だから日本が犬の遺伝病のデパート状態のままなんです。


今までもその素人レベルの乱繁殖の見分けかたみたいなことをお伝えしておりますが、
ワタクシのアタマもマズイせいでなかなかすんなりと皆さんに伝わりません。
ま、がんばりますけどね。
判断が難しければ犬舎のHPがあれば見所や見分けポイントをより具体的に説明できますので、
どちら様でもお気軽にコメントくださいねー。

さて、マルチーズのページ
http://discoveryspace.upei.ca/cidd/breed/maltese-terrier

最重要疾患
この遺伝病は外科的な治療の必要がありあなたの愛犬の健康に重大な影響を及ぼす
マルチーズに比較的一般的な遺伝性疾患といえる
繁殖上では可能な限り根絶する努力がなされている

・動脈管開存症


心臓のすぐそばの血管の奇形のような病気です。心臓病です。
ググればいくらでも情報が出てきますがイイ感じのわかりやすいサイト、
東京都大田区の池上アクア動物病院さん「動脈管開存症の開胸手術」
http://www.ikegami-aqua.jp/blog/cat6/post-47.html


発生率が増加している遺伝病
カナダとアメリカではさほど致命的でもない  ※日本では超深刻!!

停留精巣
水頭症
門脈シャント
ホワイトドッグシェイカー症候群


マルの遺伝病として入り込む可能性がある遺伝病  ※日本ではたぶんすでに出まくり
難聴
緑内障
僧帽弁形成不全
進行性網膜萎縮症
網膜形成不全
皮脂腺炎

翻訳は以上。
マルチーズは単体でも人気犬種のままだけどF1雑種の片親としても依然人気は高し。
掛け合わされる相手犬種が同じ遺伝病を持っていれば、
雑種強勢神話がそこでストップ!なのが世の中に伝わるといいなぁ。

それから。ある程度年をとってからじゃないと気づかない遺伝病ってたくさんあるんです。
犬の遺伝病は先天性疾患とまあ同じ意味だけど、
先天性疾患がすべて生まれつき症状が出てるかったらそうとは限らない。
生まれつきその遺伝病を持っているけど10歳過ぎてから症状が悪くなってきてはじめてわかった、
みたいなことはいくらでも存在します。
だから繁殖引退犬をポンポンとサトゴニダス=飼育放棄しちゃう自称ブリーダーは、
その部分だけでもロクな繁殖をしていないのが丸わかりになるわけです。

「ぶりぃだぁさんのおうちは他にもたくさん犬がいるから、
大事にされてることはされてるけど、
1頭だけでたっぷり愛情をかけてもらったほうがワンチャンも幸せなはずー」
とかなんとかって結構皆さんそう思ってるでしょ?
それは別に間違いではないけれど、「ブリーディングの観点」からはボツな話だってことです。
ブリーダーが繁殖に使った全犬の高齢時の様子を把握しないでどこがブリーディングだっつの。


参考
クロアチア?のラボ 遺伝性の目の病気についてイイ感じ説明のサイト(英語)
AnimaLabs「Inherited Canine Eye Disorders」
http://www.animalabs.com/inherited-canine-eye-disorders/

アメリカマルチーズ協会の遺伝性難聴の説明ページ(英語)
https://www.americanmaltese.org/ama-health-information/canine-inherited-deafness

ホワイトドッグシェイカー症候群のマルチーズ ※振戦に注目





クーリスマスが今年もやって来る
posted by あきこ at 20:00 | Comment(0) | 遺伝性疾患を知ろう | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月17日

チワワの遺伝性疾患 検査

1つ前の記事のつづきです。
2017年11月15日 チワワの遺伝性疾患 http://kotavi2002.seesaa.net/article/454889529.html

さらっとお伝えしたように、我が国の多くの犬たちが、
メイドインアメリカの血脈を持っていることは周知の事実です。
どういうことかと言いますと、
誰かが数頭単位で輸入した犬種が、ひとたび人気の兆しを見せると、
猫も杓子もツテを頼って代行させたり自ら買い付けに飛んだりなどで、
とにかく親犬を揃えるわけです。その勢いはだいたい年単位で続きます。

ちわわで言うなら99年頃スタートのロングコートの人気着火時あたりから、
個人的な印象を語るとそれまでの他犬種のAMCH重視方式でもなく、
クリームや白勝ちなど淡い色の毛色主体みたいなケネル入舎をずいぶん見た気がします。
(トイ)プードルにもワタクシは同じような印象を抱いていまして(色モノ・赤系)、
だから2犬種ともダックスほどの桁外れな量産は免れているわりに遺伝病が勢いよく拡がっており、
小型犬だから骨が細いだ華奢だ折れてハズれて当然だという風評が一人歩きし、
本当に謎ですがいくら専門知識を持たずとも一般の飼い主さんはことごとく信じ込み、

パテラちわわが巷にあふれる地獄絵図

いつも似た表現になってしまって恐縮ですが、
パテラの検査をしないで繁殖を繰り返すバカは、未検査繁殖の子犬が売れる限り消えません。
だって売れるんですもん。でしょ?

と言うことはショップでも業者直販でも買ったちわわがパテラを発症したorするなら、
買った人が未検査繁殖を応援していることにしかならないんですよ。
縁の下の力持ち状態ですよ。遺伝病で苦しむ犬のための。


かわいそうに思わないもんなんですかね?
小型犬は外科手術での整復をせずともパテラだけが原因で寝たきりにまではならないとは言え、
ただ歩くだけで違和感や痛みがある状態が一生続くことを。
ギャンギャン泣き叫んで血がダラダラでもないと重大なことだと思えないもん?
ワタクシにはただただ理解不能です。
パテラ未検査繁殖の奨励が。



さて。
パテラの他に世の中に存在するちわわの遺伝病の遺伝子検査をご紹介(これが本題)。
OFA EmbarkとVetGenの2箇所
Macrothrombocytopenia 巨大血小板性血小板減少症のことです。
だけ。

国内
有限会社カホテクノさん
PRA
株式会社VEQTA(ベクタ)さん
PRA
vWD
だけ。



おまけ。すこーしだけ。資料。

2002年
浜崎あゆみ写真集
 チワワ
2002年〜2006年
CMアイフル
 チワワ
2004年頃
パリス・ヒルトンが愛犬をキャリーバッグに入れて連れ歩く報道
 チワワ
2005年
めざましテレビ、ほか
ニューヨークでデザイナー犬(F1雑種)が人気
 小型のF1雑種の乱繁殖ブーム始まり



犬の繁殖では遺伝子検査は単に確認のため、なんだけどね

posted by あきこ at 20:00 | Comment(4) | 遺伝性疾患を知ろう | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする