2014年02月06日

犬の膝蓋骨脱臼の考察


すまん、いろいろ忙しいので今日のブログはワタクシメモより。
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前十字靭帯(ぜんじゅうじじんたい、Anterior Cruciate Ligament; ACL)は、膝関節の中にあって大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)を結ぶ強靭な紐で、関節を安定に保つ支持機構をいう。脛骨が前方へ変移する(ずれる)ことを防ぐ。 (ウィキ)

パテラ
多因子遺伝+環境要因
*パテラを発症した個体を生んだ親や発症個体の兄弟をキャリアーとは呼ばない

重要
先天性と後天性の両方がたしかに存在しますが、
小型犬あるいは人気犬種の後天性パテラを免罪符にしてはいけません。
だいたい後天性のパテラとは、ふつうに元気に日々暮らしている家庭犬がフローリングごときでそうそう発症するもんじゃないですから。
家庭のフローリングの床材で多少滑った程度でなんでホネが外れるの?
ふつうの犬はホネが外れる前に滑らないように歩くことを勝手に学習しますって。
外傷だけが原因だと固く信じている人もなぜかいるけれど、
犬が自分で転んだだけでなんでホネが外れるの?
よっぽど運の悪いケースはたしかにあるだろうけど、外傷による後天性パテラってのは、
成人(人間)の頭の上から地面に叩きつけられるくらいの力が加わりでもしないと、
折れも外れもしないように頑丈な作りになってるのがひざの関節なのだから。
もともとひざの皿がズレてしまいやすい体を持った犬が後天的(生後数ヶ月〜数年経過後)にパテラを発症、
そしたら原因はフローリングではなく繁殖ですよ。


パテラを起こす病的因子が複数または多種類ある状態が多因子遺伝で、因子を特定するのは非常に困難なので、パテラ以外でも多因子遺伝病というのはどの病気もほとんど全解明はされていません。
ただし、骨格そのものの遺伝にマイナス要素が働いていること、
寛骨と大腿骨と脛骨それぞれの角度や長さのバランスを決めるのは遺伝情報、
ホネを作り上げるために必要なカルシウムなどの体内の運送問題、
外からは触れない内側の筋肉の栄養障害や神経伝達障害、
そしてご存知のとおり靭帯の強度などいくつか別々の要因がパテラを引き起こすとわかっています。

結果的にパテラの症状があっても原因がひとつとは限らないので病気を理解しにくいのかもしれません。
似たようなことはJAHDの膝蓋骨脱臼の詳細のページにもさらっと書いてあるんですが、
こういうことが書いてあると読み取れる繁殖者はまずめったにいません。
http://www.jahd.org/jahdnet_d.html
その他、ホネのカタチや靭帯には一切異常のない内分泌由来の病気でパテラが起きることもあると知られています。

ハッキリと常染色体性の劣性遺伝だと確認されている病気は犬の遺伝病の数パーセントですが、
でもパテラは絶対に単一因子ではないということはわかっています。
そして股関節や肘と同様に膝の関節疾患の多因子とは、優性遺伝の割合が大きい、と思われます。
たとえば骨格そのものの形状の遺伝でパテラを発症する場合、膝の皿には一切関係ない膝関節の一部のホネのカタチの問題であるケースがあります。
正式には脛骨粗面の位置異常と呼ぶそれの場合は親犬の骨格が優性遺伝することでパテラ発症と考えられていて、優性なので親犬のどちらかも原則として同じ症状が出ています。
また、優性遺伝の場合は両親ともが異常な骨格なら子犬のすべても基本的に異常になります。

でも犬のパテラは脛骨粗面の位置異常だけが原因なこともあるけど、
後肢の筋肉の栄養障害(食べ物の栄養失調とはふつう関係ありません)かもしれないし、
両方が原因でパテラを発症する犬ももちろんいます。
パテラの手術をして治る犬と治らない犬がいることの大きな原因がこういうことなんです。
膝の皿の位置だけの問題であるなら執刀医の技術や病院の設備の違いがあったとしても、どの犬も基本的にほぼ100%に近い完治が望めるはずです。

原因となるハッキリした疾患が他にある場合(靭帯の強度とか骨形成不全とか)と、
簡単にはわかりにくいけれど明確な原因が無い場合おもに多因子+環境要因によって発症するもので
たとえば滑車溝(ヒザのミゾ)が浅いとか皿に対してスネの骨がねじれるように曲がっているなら一目で診断がついても、
膝蓋骨の内部組織の栄養不良とか内側広筋の軽い拘縮とか膝関節屈筋の解離とか脛骨粗面の位置の異常など
どこにある筋肉がどんな状態なのか言葉だけでわかる繁殖者はまずいなく、
動物病院で撮るレントゲンに写るものでもないので獣医師もそこまで気にしないこともあり得ます。
とにかく、パテラの全症例がヒザの皿がずれただけという単純なものでないから、
外科手術の方法が骨切り術やミゾ堀術やスジの縫い縮め術など何種類もあるし、
手術をしたのに完治しなかったり再発したりするケースが多く、ヤブ獣医と呼ばれる人が増える(笑)のかもしれません。

そんなわけで、パテラは通常、優性が強い多因子遺伝性疾患と繁殖上は捉え、
パテラを予防するために繁殖ライン上で考えるべきことは、
できるだけ多くの血縁犬のヒザの状態の正しい把握です。
「足を引きずったことが無いから」「動物病院でパテラと言われたことが無いから」「親犬は健康だから」
などはすべて遺伝性疾患の予防・縮小にはならないですから。
せっかくJAHDがあるのに繁殖者はほとんど誰も利用しないことが問題で、
誰かがパテラの犬を産ませたとか買ったらパテラだったとか、
そんなことを言い合っているうちは残念ながらザンネンな繁殖は減りようがありません。
痛く不自由な思いをする犬を殖やさないためには人間同士仲良く正しい情報を共有する、
犬の遺伝病の検査機関とはそのために存在していると、繁殖者ならそう考えるべきです。




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2014年02月01日

国外遺伝子検査


OFAで紹介されている犬の遺伝子検査リストの増加分の簡単説明です。以前の記事はこちら
1.http://kotavi2002.seesaa.net/article/181480222.html
2.http://kotavi2002.seesaa.net/article/182069165.html
3.http://kotavi2002.seesaa.net/article/183382868.html

書かれている犬種は検査対象犬種ですが、対象でないからその犬種はこの遺伝病とは無関係、
ではありません。
犬種によってDNA情報の微妙な違いがあるため、1頭の犬や1つの犬種で原因遺伝子を確認しても、
すべての犬の遺伝子変異部分が同じだとは限らないだけ、みたいです。

検査機関は疾患や犬種によっていろいろですのでご利用になる方はご自身でご確認を。
OFA CURRENTLY AVAILABLE DNA TESTS
http://www.offa.org/index.html


Alaskan Malamute Polyneuropathy (NDRG1) アラスカンマラミュートの多発性神経炎
(両側対称性の)四肢の先のしびれ、悪化すれば歩行困難や呼吸困難に至ることも。
スエーデンの獣医神経学会?のサイトにウンチングスタイルっぽいマラミューさんの写真。
http://www.neurovet.se/forskning/index.html
対象犬種はそりゃまあマラミュートだわな。

Benign Familial Juvenile Epilepsy 良性家族性若年性てんかん
てんかんです。予後は良いめの。
犬種の別名「汚れプードル」(ひどい)。ああウォータードッグだなって感じのサイズと毛質の犬です。
ロマーニョウォータードッグ

Canine Multiple System Degeneration (CMSD) 多発性硬化症
多発性の中枢神経変性で病変箇所によって症状はさまざま。視力低下だったり尿失禁だったり。
アイリッシュレッドアンドホワイトセッター

Cleft Palate 1 (CP1) 1型口蓋裂
えっ?マジ?とまず思いました。
ワタクシが見聞きしたうちでは口蓋裂はそれ単体だけの話でないと考えられるケースが多いので、
ほとんどが短命でした。他の箇所にも1つあるいは複数の異常が同時に起きていて、
たまたま人間の目に付く症状が口蓋の癒合不全なのかしらと漠然と思っていたもので。
いわゆる「犬の奇形症候群」は、礼儀正しく飼い主の感情を思いやる獣医師により「不運な弱い子犬」
と説明されることがたぶんほとんどでしょうが、なんとこの犬種ではシンプルな劣性遺伝も存在してると。
80犬種300頭以上の犬の検査もしたそうだけれどこの変異は犬種独特に近いのかも。
ノバスコシアダックトーリングレトリバー

Craniomandibular Osteopathy 頭蓋下顎骨症 とうがいかがくこつしょう
別名あごオステオパシー、ライオンあご、ウエスティあご、ウエスティ病、下顎骨膜炎。
高リスク犬種はウエスティのほかにスコッチとケアンとボステリもいる。
やわらかめに表現すると口元の骨格のトラブルとでも言うか。痛みが強いらしい。
ウエストハイランドホワイトテリア

Dry Eye Curly Coat Syndrome
名前のとおり涙がちょっとしか出ない体質でドライアイ、必要以上に毛がクルクルするのでカーリーコート。
あと歯の永久的トラブルや脱毛にも悩まされるらしい。
生まれたての巻き毛のキャバ子ちゃんの写真 アメリカのキャバリアヘルス基金のサイトです。
キャバリアって小型愛玩犬の中では群を抜いて真面目に繁殖や飼育に取り組む印象がありますね。
http://www.cavalierhealth.org/curly_coat.htm
キャバリアキングチャールズスパニエル

DVDOB (Dings) ドーベルマンの前庭難聴
早いと生後1〜2週間からバランスが悪かったり頭の傾きが不自然だったりするようですが、
全体的に健康で難聴が進行性なため気づいたときには加齢によるものと思われるケースがありそう。
ドーベルマン

Ectodermal Dysplasia 外胚葉異形成
歯や足先の骨格不全、乳腺の発育不全、爪の異常、皮膚が弱く乾燥し毛がまばらなどが一般的ですが、
どうも症状の個体差が大きいようです。合併症の代表例は口唇口蓋裂や難聴。
(ワタクシのメモより抜粋 未熟児で生まれて毛も生えそろっていず弱く早死にするオスの子犬はこれも疑わしい。社会化期を半分超えるほど育てば生命予後は良い)
チェサピークベイレトリバー

Episodic Falling 発作性転倒
運動や興奮やストレスが発作の引き金になり、四肢を硬直気味に転んでしまう症状。
硬直は子癇よりは緩めな印象(って誰がわかるねんこんな比喩で)。
こないだ買った雑誌を発行してる会社のサイトに動画があったのでご興味のある方はどうぞ。
CAP ON LINE DAMNIT-Vで学ぶ神経病学各論[脊椎・脊髄疾患の各論]の第33回の動画です。
http://www.pet-honpo.com/cap/sinkeikakuron/peji03sekizui.html
これ見たキャバ飼いさんがビタミンAの少ないドッグフードを探すとか短絡思考に走らぬよう祈ります。
キャバリアキングチャールズスパニエル

Familial Enamel Hypoplasia (FEH) エナメル質形成不全
以前書いたので省略します。
イタグレ

Familial Nephropathy 家族性腎症
だいたい生後6ヶ月から2歳までに発症する遺伝性の致命的腎臓病。進行度は個体差がある、
が総じて予後不良。
ほかの犬種では優性遺伝やX連鎖が知られている。
多飲のわりに少尿、嘔吐や下痢、成長遅延と体重減少という代表的な症状と毛吹きの悪さも見られる。
Eコッカー

Gangliosidosis ガングリオシドーシス
これもどこかに書いたような記憶がぼやんとある。ライソゾーム疾患。致命的。


Greyhound Polyneuropathy グレイハウンドの多発性神経障害
ポリニューロパシーは多発性神経炎とも。
生後3ヶ月〜9ヶ月に多くが発症し、筋力低下と運動不耐性、歩様はバニーホッピングなのが主症状。
ウサギ跳びのような歩き方が出るということですね。日本以外では安楽殺が人道的だろうね。
ワタクシ御用達NCBIに罹患犬の写真がありました。2頭の比較写真の四肢の姿勢にご注目。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20582309
お察しのとおり対象犬種はグレイハウンド

Hemophelia B 血友病B
犬の出血性疾患は「血が止まりにくい」よりも「関節内出血による破行(関節炎)」が目立つことも。
「足を引きずるから動物病院で診てもらったら関節の骨格がキレイだと言われたので大丈夫」みたいな。
体型が小型、痩せ型になるほど突然破行しちゃうらしい、だからって太らせろとは言いませんよ。
ブルテリアとラサアプソ

Hereditary Necrotizing Myelopathy (ENM) 遺伝性壊死性ミエロパシー(ミエロパシーは脊髄症)
生後3ヶ月〜1歳の間に発症するケースの多い進行性の後肢麻痺。後肢がもつれたりしびれたり
脊髄の神経が途中で切断されちゃってしかもそれが切れるとマズイ部位で、結果的に細胞が壊死するそう。
(ウォーラー変性ってのが起きるんだって。専門的用語すぎてよくわかんないや)
いろんな犬種で症例があってプードルやコーギーやGシェパでも劣性遺伝と確認されてるけど、
遺伝子検査の対象犬種は今のところコイケルだけみたい。
コイケルってどんな犬だっけ〜な方はhttp://www.kooikerhondjeusa.org/health-concerns/

Hyperuricosuria 高尿酸尿症、高尿酸血症 (以前の記事より)
(血液中の尿酸が多くなる状態、悪化すると通風を引き起こす。通風は数日間の強い痛みのあと
痛みが薄れる期間が最初より長めに続き、また強い痛みの数日間を繰り返す。
高脂血症と合併することが多い。高尿酸尿症下ではシュウ酸カルシウム結石が形成されやすい)
これは以前からダルメシアン特有の病気のように言われていますが対象犬種が増えてました。
アムスタ、オゥシー、ブラックロシアンテリア、ブルドッグ、Gシェパード、Gシュナ、
ジャックラッセル、ラブラドール、Lミュンスターレンダー、パーソンラッセル、ポメ、
アフリカンマスチフ、ワイマラナーと多種。

Ichthyosis 魚鱗癬−ぎょりんせん (これも以前の記事より)
(魚の鱗のように皮膚の表面が硬くなり剥がれ落ちる病気)
ノーフォークテリアのほかにゴールデンレトリバーがOptigen(アメリカ)で検査可能になったみたい。

Juvenile Addison's Disease (JADD) 若年性アジソン病
ドビーのデーブイデーオービー以外ここまで翻訳機能を使わずに病名翻訳してますが合ってるよね?
犬のアジソン病は日本語で解説したものが書籍でもネットでも簡単に知ることができます。
副腎皮質が低形成だったり萎縮したり機能が低下したりするとアジソン病、
反対に過形成だったり機能が亢進(イケイケ状態)するとクッシング病、クッシング症候群。
クッシング症候群に似た症状が出るけど副腎皮質に異常なしなのが偽クッシング病。合ってると思・・う。
ノバスコシア

LAD3 何かと思ったこれ。略称すぎてわかんねっつの。
おそらく、Canine Leukocyte Adhesion Deficiency イヌ白血球粘着不全症のV型とかかなぁ。
それなら前の記事にあるんだけど易感染性の解説を勝手に始めたくなったので始める。
易感染性は「い・かんせんせい」と読み(エキカンセンセイと思ってたワタクシ阿呆)、
「い」は容易の「い」、要は予防に注意してても感染症に罹っちゃうような状態。
リアル競り市経由でペットショップに入荷しましたー、その子犬を買いましたー、パルボに罹りましたー、
あるいは専門ブリーダーから子犬を買いましたー、テンパー発症しましたー、感染症は補償しませんー、
のような、たまに見聞きする話を思い浮かべてくださいってことです。

子犬がうじゃうじゃいる環境の繁殖場ほど伝染病が怖いですから、ワクチンうってる方が多いんです。
(そのワクチン接種を素人スタッフに任せるとかはまた別の話で)
それでも感染して発症すると「子犬だから抵抗力が弱い」とふつう思いますよね。
でもじゃあ、同じ場所にいた似たような月齢や体格の子犬が感染しないのはなぜ?
ったら易感染性体質だったのではなかろうかとワタクシは思うわけで。
すべてのケースとはもちろん言いませんけどね、こういう劣性の遺伝病なら色々と納得がいく。
(易感染性を示す遺伝病は免疫不全などほかにもあります)
動物病院ではパルボに罹ったかどうかはわかるけどCLADかLAD3かは調べられないから。
V型の対象犬種はGシェパード

Lupoid Dermatosis ルポイド皮膚炎
全身性エリテマトーデス(SLE)というメスに多い関節炎やてんかん発作や口内や皮膚のただれや潰瘍、
などの症状が出る遺伝病があって、そのSLE遺伝子に関与する皮膚エリテマトーデスのことのよう。
ジャーマンショートヘアードポインター

Osteochondrodysplasia 骨軟骨異形成
ヌコのスコ(スコティッシュフォールドという猫種)で有名なアレです。犬もほとんど劣性の。
ごく小さいうちはわりと平均的だけど、売り頃買い頃くらいの時期から骨の成長がゆるく止まってしまう。
短肢性低身長症とも言う、骨格の発育異常です。
写真は撮れませんでしたがこれかなっと思わされるティーカップーを見たことがありました。
このサイトは全文読もうとしたらじんましん出そうなので上のほうの写真だけ
http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0051917
(ミニチュア)プードル

P2Y12 Receptor Platelet Disorder P2RY12欠損血小板症
術後出血症とも呼ぶ場合があるように、ふだん血が止まりにくい症状は少ないらしい病気です。
グレータースイスマウンテンドッグ(巨大なバーニーズみたいな犬)(バニよりふた周りくらいデカイ)
(スイス原産の犬って山関係の仕事出身が多いのかな)

Perianal Fistula 肛門周囲瘻 (別名フルンケル症)
ワタクシの解説なぞ不必要な名の知れたこの病気が遺伝子検査が存在する遺伝病なんて驚き。
英語圏でも7歳以上で症例が多くなるそうです。検索して何を見ても「大型犬に多い」とありますが、
ここでワタクシが自信を持って「日本では人気犬種であれば小型犬にも多い」と発言しておきましょう。
だって肛門嚢(のう)炎が悪化すれば肛門瘻(ろう)になりますもん。
肛門腺がたまりやすい犬は要注意。
飲み薬だけで軽快することもよくあるので気になったら早めに動物病院へ。
ジャーマンシェパード

Pituitary Dwarfism
下垂体性小人症
症状のひとつとして極端な小ぶり状態を犬でも小人症と呼び、
その原因が下垂体の成長ホルモン分泌不全にある症例のこと。
ちなみに去勢避妊とは無関係で、子犬のうちから小ぶり、寒がり、乾燥肌や毛吹きがよくない、
成長遅延、あと下痢や便秘などお腹が弱いなど犬の症状はわりとハッキリしてるみたい。
リトアニア語のこのサイトは犬の小人症をネットで調べてると必ずヒットするところ(写真見ただけ)。
http://agiesha.blogas.lt/sunu-liliputizmas-dvarfizmas-2571.html
Genoscoper(フィンランドの検査会社)(たぶん会社)で以下2犬種の検査アリ。
ジャーマンシェパード、チェコスロバキアンウルフドッグ 

Primary Ciliary Dyskinesia (PCD) 原発生繊毛不動症(繊毛ジスキネジア)
湿った咳や膿っぽい鼻汁が主症状で子犬のうちから膿っぽいと予後不良。
長らくウイルス感染と思われていたが、カルタゲナー症候群のように繊毛障害と今世紀に判明。
別名にアイリッシュウルフハウンド鼻炎というのもあるのに検査対象犬種は違うという。
オールドイングリッシュシープドッグ

Primary Open Angle Glaucoma 原発性開放隅角緑内障
頭に難しい用語がくっついてますが緑内障です。いろんなタイプの緑内障のうちの一種。
ビーグル

Spinocerebellar Ataxia *脊髄小脳変性症(の主症状が運動失調なのでAtaxiaかなぁと)
ミズーリ大学の病気研究ページに動画がありました。
見たらわかるけど元気なんですよ。ちょっと傾いてるだけで。
でも、そう言っていいのは何も知らずにその犬と出会った飼い主さんだけ。
繁殖者はプロアマ問わずガッツリとすべての遺伝病を把握しろやゴラ。
http://www.caninegeneticdiseases.net/SCA/
ジャックラッセル、パーソンラッセル


あらやだ。相当がんばってたのに最後だけ本音が漏れちったわ。






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2014年01月28日

おくち


昨日のつづき。
家庭の犬ならばひどい歯周病でも目に見えてあごがなくなってしまうほど骨が溶けることは少ない。
なぜなのでしょう。
1位 臭いから飼い主が気づく
2位 食欲が落ちたり好き嫌いが激しくなったり目立つ症状が現れるから気づく
3位 ケージに閉じ込めっぱなしの繁殖場よりはいろいろな理由で進行が遅い

そんなことかよと思われるかもしれませんがこんなもんです。
動物病院に連れて行ってもらえない犬はたくさんいるでしょうが、
硬いドライフードを嫌がるならふやかしてくれたり半生タイプに替えてくれたりするかも。
「年だから食欲が落ちて」、ドッグフードを小粒タイプや半生タイプに替えたら食べるようになった、
あるいは老犬飼育経験者からふやかしフードなら食べると聞いて与えたらそのとおりだった。
などはワタクシも実際に何例も見聞きしております。

口臭があって食欲が落ちたならまずは口の中を見てみりゃいいだろと、
それで凄そうなら動物病院に連れてきゃいいだろうと考える飼い主さんは大多数でもなく、
家庭の事情で治療費が用意できないとか、そもそも飼い犬の口の中なんて見られない人もいますから。
いろいろですね。

低カタラーゼ症以外の遺伝性疾患や遺伝的な体質が原因で下あご溶け病になりそうなのは、
・あごの骨格と歯のサイズが合ってない(骨格に対して歯が大きい)
・歯並びが悪い(乳歯遺残、アンダーやオーバーなどの咬合不全)
・歯の数が多いまたは少ない(過剰歯、欠歯、部分的無歯症)(過剰歯の根はだいたい短い)
・歯肉肥大症

あたりでしょうかね。
これらは犬の場合ほぼ遺伝=親から受け継いだ(遺伝≠親と同じ、親に似ている)もの。

あ、それと、崩壊繁殖場で下あごを失ってる犬はまず小型犬なのですが、
まずは得意の図で示します。

歯.JPG

無色の多角形は犬の下あごを、赤い三角は歯を、青いのは歯の根を現しています。
別にこんな図で示さなくても実物を見れば一目瞭然で(こんな図って自分で言っちゃった!)、
成犬体重5キロ〜以下程度の小型犬と、中型犬や大型犬ではいろんなところに差が見られるわけで、
口というか口元の大きさが確実に違うのはまあ当然。
それにプラス、極小型犬はたいてい下あごが薄いのです。

だから歯周病菌が歯の根に到達する速度は体型によって変わりなくても、
その歯の根からあごの骨に到達するのは口元が小さく薄っぺらい犬だと早い。
なので繁殖場であごが崩れ落ちてしまった犬はちわわ、マルチーズ、ポメ、ヨーキー、トイプー、
あとミニチュアダックスがほとんどで、オスメスは同じ数くらいいるはず。




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2014年01月27日

繁殖犬のあご溶け病


もしくは多頭崩壊の下あご溶解病とか連続出産の母犬の顎の骨なくなり病とか。
タイトルも含めそんな病名はありませんが、
実際に犬の大規模レスキュー現場に1頭くらい、主に下顎がまるで溶けたような、
口内環境もひどくてお口が半分くらいしかなくなっちゃった感じの犬が時々います。

だいぶん前にこのことについてリクエストをいただいてるので、忘れてたのを今頃思い出した
原因の一つであるとも考えられる遺伝病をご紹介いたします。
ヒトにも同じような原因と経過をたどる疾患がありまして、おそらくその流れで病名は
低カタラーゼ症、または低カタラーゼ血症と呼ぶようです。
Hypocatalasia または hypocatalasemia

カタラーゼとは生き物の体内に存在してる酵素で、ヒトも犬も屁っぴり虫も持っていて、
細胞内の酸化と解毒をちゃちゃっとやっちゃう物質とのこと(化学は苦手)。
とにかく、ヒトならばカタラーゼがきちんと働かないと細胞の元気がなくなるモノみたいです。

参考サイトその1
日本学士院
昭和39年日本学士院賞受賞の高原滋夫岡山大学医学博士(耳鼻科のお医者さんだった方、故人)による
無カタラーゼ血液症の発見とその研究(の受賞審査要旨) (pdfです)
褒め称えてます。ヒトの話です。
http://www.japan-acad.go.jp/pdf/youshi/054/takahara.pdf

上記の文章を拝見すると無カタラーゼ症の代表的な症状は口の中に壊疽が起こるが、
それ以外の箇所にはとくに病変がなく、なんら変わった症状がない、ようです。
(壊疽えそ とは体組織の腐敗に特徴づけられる壊死の合併症、壊死が進行した状態)

こっちは犬の話です。参考サイトその2
東北大学の学術研究成果及び教育成果を収集し広く公開することが目的の
東北大学機関リポジトリ"TOUR:TOhoku University Repository"の学位論文内容要旨(平成13年)
無カタラーゼ血液症ビーグル犬に関する生化学的および分子生物学的研究 (pdfです)
http://ir.library.tohoku.ac.jp/re/bitstream/10097/15222/1/Y2H120435.pdf

論文は平成のものですが研究対象の無カタラーゼ症ビーグルが見られたのは昭和57年で、
症状はヒトとほぼ同じ「高原氏病と非常に類似した口腔内壊疽が認められた」そうです。
犬はもともとカタラーゼが少ない(活性が低い)ので低カタラーゼ症の犬は聞いたことがないと書かれています。

英語の病名で検索しても「Takahara's disease(高原氏病) 歯周囲組織の進行性壊疽性病変」的に、
ごく簡単に説明してあるものしか見当たらなかったのはヒトも犬も日本の研究が主流だからか。
いろいろ読ませていただいた結果、犬の低カタラーゼ症は無カタラーゼ症 Acatalasia
と同じものと言えるとワタクシは思いました。
犬では遺伝性疾患で、18番染色体にあるカタラーゼ遺伝子(CAT)の突然変異(ミスセンス変異)が元だが、
正確にいつどの犬種に発生したのかはわからない。
常染色体遺伝でおそらく劣性。

っと、こんだけ書いてあれですが、顎の骨溶け病は「ただの歯石」が元のほうがたぶん多いです。
歯周病菌→ 歯石→ 歯の生え際の炎症→ 歯根の炎症 と進む頃には、
1本の歯と同じかそれより大きいほどのサイズの歯石がカチカチの緑色系の塊になってるだろうという、
レントゲンで見ると歯根がぼんやり溶けてるだけならふつうのご家庭の犬にもよくありますね。
動物病院のブログなんかで歯周病の例として写真つきであちこちで見ることができます。
だがしかし、ひどい歯周病でも目に見えてあごがなくなってしまうほど骨が溶ける犬は少ない。
なぜなのでしょう。

つづく。





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2014年01月26日

かごしゅ?のポリポー?


Colorectal hamartomatous polyposis and ganglioneuromatosis
*過誤腫性大腸ポリポーシスと神経節神経腫

ちょこっと用語解説。
過誤腫 (hamartoma)
腫瘍と奇形(形態発生異常)の中間的な性格の病変

ポリポーシス (polyposis)
一定部位の粘膜面に無数のポリープが一面に広がって発生する疾患、ポリープ症

神経節神経腫(神経節細胞腫) (ganglioneuroma)
神経節に由来する交感神経や肋間神経などの神経から発生する腫瘍


タイトルは犬の遺伝病であるこの病名を初めて知ったときのワタクシの感想です。
頭が「colorectal」なので大腸の何かなのはいいんだけれど、
次の単語がちんぷんかんぷんで、さらに次の「polyposis」を声に出して読んで、
そのときはポリポーシスという言葉を知らなかったのですが、
「ポリィポシス?ポーリポ・シス?・・?ポリーってなんだっけ・・ポリと言えばポリー・・プ、ああっ」
ハッと思い当たって、ふんぐうううううう!
と大声でうなってしまった3年前のあの秋の朔の日。

驚いてうなったのは「ダックスに多い大腸ポリープ、大腸がん」を思い出したからで、
不妊手術のデメリットと勘違いされることのある糸アレルギー(縫合糸反応性肉芽腫)(無菌性脂肪織炎)
が遺伝的体質が背景にある免疫系のトラブルだと知ったとき以来の衝撃でした。個人的に。
ほら見ろ。また一番の犠牲はダックスだよ・・てな思い。

英語で犬の症例を検索すると以下のようにばらばらで、

診断された月齢・年齢 犬種
5ヶ月 グレートデン
18ヶ月 オーストラリアンテリア
18ヶ月 ドーベルマン
7歳 シーズー
10歳 ボクサー
12歳 ラサアプソ
15歳 ペキニーズ

新生児 馬 (腸閉塞)

検索ワードの頭にダックスと入れて1コヒットしたサイトをチラ見したら「Kagoshima University」。
日本だし(涙


何度も同じことを書いて恐縮ですが、犬の遺伝病はとても誤解しやすい、されやすいです。
テレビやネットで取り上げられる犬の遺伝病とはたいていとてつもなく重い病で、
営利第一の乱雑な繁殖をおこなう業者の姿勢に疑問を抱かせ、
同時にふつうの一般人の飼い主さんの献身的な愛情も魅せる。みたいな。
テレビ番組はともかく、そのような闘病経験がネット上にあることがもちろん悪いわけではないです。
悪くはないのですが、、
我を忘れるほどの激痛を伴って苦しみあえいでなすすべなく死んでゆく遺伝病もあれば、
生涯を通して微妙な症状が出たり気づかなかったりの遺伝病もあり、
そのどちらも私たち人間が犬に背負わせることのない世の中にしましょうと言うだけの話なのです。

そりゃーたくさん痛いよりちょっとだけ痛いほうがマシなことはマシですけどね、
犬に関わる人や犬を飼う人は可能な限り正しく理解しませんか、ってことです。
とくにこの記事のターゲットは犬を診察する動物病院関係者、獣医療従事者さん。
犬の繁殖と遺伝性疾患をふつうにまともに理解して正しい道を示してくれと切に願う。
この病気はヒトのコーデン症候群に似ていて、犬も常染色体遺伝するとほぼ確認されたケースがあり、
交尾の斡旋してる場合じゃないし交配依頼をすげなく断って愛護精神自慢してる場合じゃないっての。

大腸にポリープが固まってたらほとんどの飼い主さんの意識は良性か悪性かに向く、
だから外注検査して正しく診断して治療する、それはいいんだけどもうちょっと勉強するともっといいよ。
パソラボさんのパソラボ情報の第1回と第2回を読むだけじゃ足りないよ。



かごしゅせい大腸ポリポーシスと神経節神経腫の、
・家庭で見られる主な症状
食欲不振
下痢や嘔吐
元気消沈
血便
しぶり腹(排便ポーズを何度もとるがウンチがまともに出ない)
直腸脱

・動物病院でわかる主な症状
大腸以外の消化管トラブル
大腸内の複数〜無数のポリープ
大腸内の炎症
ポリープ状結節を伴うびまん性粘膜
粘膜下肥厚

・診断
レントゲン
直腸診
内視鏡

・確定診断
PCR法でのPTEN変異の確認

・治療
内科的療法
外科的切除(内視鏡下切除、プルスルー術)
両方の併用

・特記事項
早期発見早期治療であるほど生命予後は良い
会陰ヘルニアと間違えるケースがあるかもしれない
無治療で症状が悪化しない犬もいれば肛門から腸がボールのようにはみ出る犬もいる
「ただの良性ポリープで良かった〜」と思うのは個人の自由だが遺伝病


まあ。また3時になっちった。




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2014年01月20日

遺伝病 −ヒトとの違い



犬の遺伝性疾患の多くがそうなのですが、
同じ病気がワタクシたち人間にも発症することがあるため中々気を使います(これでも)。
病名や症状が同じでも、人間と犬の遺伝病の背景には決壊することのない大きく高い壁が存在します。
同じ生き物だろうとか犬の命も尊いだろう、みたいな次元ではなく、
犬を殖やすのが人間だけなんだという話です。

ヒトを対象にした遺伝学者や遺伝科の医師など専門家はよく、
「遺伝病とは遺伝子の異常が原因で病気になることで、親から遺伝したとかしないとかは関係ない」
みたいに説明するもののようです。

これは、もちろん正解ですし当たり前のことです。
遺伝病=親から受け継いだ、親の責任、親のせい、な図式がもともと人間社会では根強く、
ある人が遺伝病を発症した年齢が低いほど、とくにお母さんが自身や周囲に責められる、
そういう時代がかなり長く続いた歴史が根底にあるのではと思われます。

遺伝形式や遺伝子変異の実体など遺伝病の中身が科学的に解明されるにつれ、
おそらくすべての人間が遺伝病の元になる因子を持ち、また、変異の機会は誰にも必ずあると知られ、
さらに専門家は人間が生まれる生殖とは誰かのせいでどうにかなるようなものではないと教えてくれます。
本当にそのとおりなんです。
人間は。

ただ、現在では結婚や妊娠の前後に遺伝カウンセリングを受けることも普通になってきていますが、
医師と遺伝病の話をする機会というものはご本人が当事者である可能性が多いことと、
遺伝病を特殊なものとして無意識のうちに差別するような風潮がこれまた根強いため、
たいへんデリケートに扱ってしかるべき問題だと思われます。
人間は。


と前置きしたうえで、
当ブログ内の「遺伝病」とは「継承の有無に関わらない遺伝子の病気」ではなく、
親から子へ遺伝して伝わる病気、あるいは体質を指しているので、
「遺伝=親から受け継いだ」、「メンデル遺伝病(多因子含む)」です。
犬の遺伝病は決定的な治療法のないものが多いけど、そもそも治療を受けるかどうかの決定権は犬になく、
病状を故意に放置されたり、誤った診断と誤った治療をされたりの悲惨な状況によくなるんですね。
犬だから。
自覚症状を聞かれても意味がわからないし、第一言葉で伝えられないから。

ヒトと違うのは、遺伝子の異常が原因でその病気になったかどうか以前に、
親の代からそっくり受け継ぐ病気を予防できる方法が存在するということ。
運命的に出会った恋人同士の愛が実って結婚するんじゃないんですから、
交尾相手の選定から交尾時期も回数もいつの発情期は休むのかも犬の意思は入らない、
犬の遺伝病は親犬が子犬に継がせました、けど継がせるべき遺伝子を用意するのはすべて人間。






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2014年01月19日

遺伝性の腫瘍


覚書程度、現在OMIAのリストに並んでる腫瘍をさらっと紹介。
OMIA ; http://omia.angis.org.au/home/

・線維上皮腫 柔らかいイボ、主に首に皮膚の色(またはそれより暗い色)の多数のポリープ

・肛門せつ腫 主に肛門の周囲(顔なんかにもできる)に複数の小さな圧痛のあるおでき

・肛門線維腫 肛門周囲部の脱毛、潰瘍、出血、結節状の腫瘍が肛門周囲部に発育(メスは膣線維腫)

・過誤腫性大腸ポリポーシスと神経節神経腫 
  大腸に多数の将来がん化する可能性の高いポリープ、大腸以外の消化管トラブル、若齢期発症

・消化管間質腫瘍 主に小腸に腫瘍、4歳から15歳までに例があり平均発症年齢は10歳

・血管肉腫 初期から中期は食欲不振、嘔吐、下痢など消化器症状、末期に判別できる腫れ、貧血など

・悪性組織球症 悪性組織球腫の転移・再発型。初期は軽い消化器症状、3歳以下発症アリ

・ホジキン病 (ホジキンリンパ腫)1か所または複数のリンパ節の腫れ、かゆみ、体重減少、肝脾腫

・多発性脂肪腫症 脂肪腫(良性の軟部腫瘍)がいくつもできる

・リンパ腫 リンパ系の組織から発生する腫瘍

・非ホジキンリンパ腫 痛みの少ないリンパ節の腫脹、ホジキン病以外のすべての悪性リンパ腫群

・乳腺腫瘍 乳腺の腫瘍、発症年齢や良性悪性に関しても家族性があるようだ

・肥満細胞腫 主に皮膚にできる肥満細胞の腫瘍、腫瘍随伴症候群が重篤になりやすい

・悪性黒色腫 メラノサイト由来の悪性腫瘍。皮膚、眼窩内組織、口腔粘膜上皮などにできる

・菌状息肉腫 悪性度の低い悪性リンパ腫、痛みや痒みの少ない紅斑が体の内側にできる、
進行するとふくらみのある鮮やかな紅色の発疹

・肺腺腫症 咳、息切れ、呼吸困難。肺に線維組織が異常増殖することによる機能低下

・特発性肺腺腫症 同上。慢性間質性肺疾患、実質的な低酸素血症を引き起こす

・つま先の扁平上皮がん 主に肢端、毛色遺伝子MC1R関与型。痛みの強い局所浸潤性

・移行上皮がん 移行上皮組織に由来する癌腫、上皮性の悪性腫瘍
  移行上皮組織(器官の拡張および収縮でその形態を著しく変化させる腎盤、尿管、膀胱、尿道と上気道の上皮)
  に由来する癌腫で、上皮性の悪性腫瘍である。膀胱や尿管などの尿路系の癌が多いことから
  尿路上皮癌(にょうろじょうひがん、英: urothelial carcinoma)とも呼ばれる

・ウィルムス腫瘍 腎臓にできる腫瘍、初期症状は血尿、停留精巣など生殖器や骨格の奇形が合併しやすい





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2013年12月20日

無理な繁殖 vol.2


前の記事の続きです。
さて、一般家庭でおこなう犬の繁殖は「素人繁殖」と呼ばれてしまうのですが、
そうは言ってもプロだって初めは素人じゃないかと思う意見があるわけです。
お説ごもっとも。

だから素人であっても良い繁殖をおこなえるはずで、
まずプロのおこなう繁殖とはどんなものだろうと疑問がわいて調べたくなるようです。
そうしたら、こういう系の情報がネット上に氾濫してるわけで。
・連続出産
・劣悪な環境
・歯がボロボロ、目が白かったり腫れてたり潰れてる、糞尿がこびりついた毛玉
・外見上の奇形がメインの遺伝病
・断尾はもちろん自己流処置

子犬を商品として扱うのがプロだぞと。
おカネになるのは子犬だけだから親犬は交配と出産さえできればどうでもいい飼われ方だぞと。
(余談ですが有名なネット伝説に生きた母犬の腹を無麻酔で切り裂き子犬を取り出して売った、
なんてのがあるけど落ち着いて。ふつうに考えて無理でしょうが。)

そんなことが犬の保護団体のホームページとか一般の人の愛犬ブログとかに書かれていて。
悪い見本があれば自分の場合と比較してまずは安心するんでしょう。
ブリーダーとは血も涙も無い悪徳業者のことで、そんな悪魔がおこなう繁殖よりも、
清潔な環境で動物病院と相談のうえ愛にまみれた出産こそが良い繁殖と思ってしまう。
※ここまでのポイント
「犬の繁殖」を「交配〜出産〜子犬が巣立つまで」だと勘違いすることが「無理な繁殖」の始まり


また余談ですが。
たとえば血統書も純血種も無くなればいい、犬はどの犬も等しく尊いのだから・・と考える人は、
ここの部分で安心しちゃって立ち止まってしまっているように思われます。
(なかなか話を繋げられなくてワタクシこそ立ち止まってますがそのうち書きたいお題)

繁殖に供される犬が幸せかどうかに主眼を置くと、思い違いの元になるような気がします。
パパとママになるオス犬とメス犬が幸せに暮らしているかは当たり前すぎて論外になるくらい。
「繁殖」なんですから交配〜妊娠〜出産時の両親犬の状況よりも、
生み出す子犬たちの幸せを第一に考える、それが「繁殖」。
んで、たとえ素人繁殖でも子犬たちの幸せについて突き詰めていくと、
「無理な繁殖」に対抗できるのは「知識」のようだと行き着くわけで。

またつづく。




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2013年12月17日

めのないいぬ


絵も写真も載せないことをお約束します。
OMIAのリスト(左サイドバーにリンクあり)に今のところ載ってる目ナシ関連。
病名と簡単な症状だけ。


・Microphthalmia 小眼球症  片方か両方の眼球が小さい状態

・Eye defects 眼欠損症   目の一部または全部が欠損している状態

・Coloboma コロボーマ    眼球組織の一部(または全部)の欠損  

・Cyclopia 単眼症   サイクロピア。目が一つ

・Iris defects 虹彩欠損症  虹彩の欠損

・Iris atrophy 虹彩萎縮症  虹彩の萎縮、複数の虹彩

・Ocular melanosis 眼メラノーシス 目の進行性色素沈着  AD

・Oculoskeletal dysplasia 骨格-眼症 重度の眼の欠陥(硝子体形成異常と白内障)  AR

・persistent hyaloid remnants 硝子体動脈遺残 まつげ異常と弱視など。白内障に移行?

・Ectropion 眼瞼外反    眼瞼が外向きになった状態  ADも

・Entropion 眼瞼内反    眼瞼が内向きになった状態

・Retinal dysplasia and persistent primary vitreous 原発性硝子体過形成遺残  目玉がまるでゼリー状AR


絵も写真も用意しませんが、英語病名の画像検索でほぼ一発で状況が飲み込めるものが多いかも。
全部が症状によっては目が無いように感じられるケースがあり得ます。
サイクロピアは重度の奇形症候群の1つとして現れることがたぶんほとんどなのでまず見ません。
それ以外のものは「発症個体の誕生を抑えるべき遺伝性疾患」と言えると思われるのですが、
だーーれもそんなふうに考えてないんじゃないかとワタクシは想像してます。
軽めのコロボーマやアイリスアトロフィなんて気づきもしないこともあろうかと。

で、この中では小眼球症だけがダブルマールとセットになりやすいので、
毛色による遺伝の病気 = (なぜか)劣性の毛色遺伝子は病気が出る、
みたいな勘違いがしょうじることも時にはあるのかもしれませんがとにかく上にあげた全ては、

体のサイズに無関係で、

じゃあ何に関係あるのかと言うと、

それは遺伝子です。






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2013年12月06日

四肢の先を執拗に舐める


肢端舐性皮膚炎(したん-しせい-ひふえん)と診断されるケースの中には、
たぶん間違いなくこの遺伝性疾患があるだろうなーというシロウト的予想の話。

肢端切断症候群 したんせつだんしょうこうぐん Acral mutilation syndrome

切断なんてそんな恐ろしいと思うかもですが、犬飼い人生が長ければたいてい見聞きしたことのある、
手足の先をしょっちゅう舐めて舐め壊してしまうことがクセになっている犬は、
肢端切断症候群という神経の病気かもしれないのです。
肉が見えてしまうほどならば要注意。

主な初期症状は1ヶ所または複数の四肢の先を執拗に舐める、噛む。
別名・つま先無痛症、特発性自傷。

遺伝性感覚神経障害。
末梢神経の異常発達で温度や痛みを感じにくいため、皮膚炎などこれと言った原因が無いのに
異常に四肢の先を舐めるまたは噛むことで二次的な細菌感染から潰瘍になり、
重症例では広がった潰瘍のため自然に切断されたり外科的に切断適応となることからこの名がついたらしい。

最初歩行の問題は無いが四肢をバラバラに動かすように歩くケースもある。
多くは生後3ヶ月〜12ヶ月頃から見られてゆっくり進行する。
同胎兄弟に同じ症状が出やすいのでARが示唆される。
確定診断は筋生検(正常な神経電位が存在しない)か、麻酔下での神経生検(脊髄神経節の小型化は肉眼でOK)。
治療法がないため外国では安楽死対象も多いのに対し日本では1位ストレス2位アトピー・アレルギー(たぶん)。

とくに動物病院や販売元のペットショップやブリーダー(ケッ)らに「ストレス」と診断(助言?)される場合は、
日頃数時間留守番をさせているだとか、
毎日お散歩に行けてない、または犬が満足するほど運動をしてやれてないだとか、
ワクチン未接種あるいは感染症発症などなんらかの理由により室内のみで過ごしているだとか、
同居犬猫やヒトの幼児にも時間(や愛情)を取られるので淋しいのだとか、
とにかく飼い主にうしろめたい事情がほんのちょっとあると「そうなのか」と思ってしまう。

と言うか、すべてにおいて犬の望みのままの暮らしなんてふつう誰だってできないのだから、
どんなに良い飼い主さんでも犬の立場になって探せば後ろ暗い面はいくらでも出てくるもの。
たとえばワタクシは風邪をひいたり腰痛がひどければ犬の散歩はサボるし、
休みの日は昼まで寝てて朝食が昼食になることもしょっちゅう。
小太郎は私が寝込んでいるといつもより気を使って心配そうにくっついてきて、
風邪をひいた時は暖かくて嬉しいんだけどぎっくり腰時の添い寝だけは勘弁願いたい・・

とまあ、そんな感じで何が何でもストレスにあてはめるなよと思う時が多すぎるわけです。
「肢端舐性皮膚炎」でちょっとググってみると「心因性」や「精神的要因」が原因で、
だいたいエリザベスカラーと抗生物質とステロイドの3点セットで「治療」をしてる。
興味深いことに「治る」のは一時的で、「再発」するケースが非常に多いが、
それは薬の量を減らしたからだとか留守番時間が変わらないからと結論付けられ、
根気良く治療してあげましょう的な話ばかりでややうんざりしてきたのが本音。

長時間ひとりぽっち状態が関係ないとはもちろん言いませんけどね、
見るものややる事が他にたくさんあれば、多少手足が気になっていても犬の興味がほかに行くから。
ですがそのことと「原因はストレス」は天と地ほどの違いがあるのでは、ということです。

いいから。
四肢の皮膚病?と思ったら筋電図をぜひとってもらってみてください。




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