2013年12月04日

異所性尿管 −尿漏れ


毎度ご紹介いたしておりますシドニー大学の犬の遺伝的体質と遺伝性疾患のリストに最近くわわった、
いしょせいにょうかんと言う先天異常のお話。

まずはこちらの図をごらんください。
あいもかわらぬほとばしる才能にめまいを起こしたらごめんなさいよ。
ひにょ.JPG

説明書きのとおり犬の腎臓と膀胱と尿管を示しています。
半分線路のマークのようなものは背骨で、犬の腎臓はヒトと同じように背中側に位置します。
ちょっとかっこいい言い方をすると犬の左右の腎臓は腰椎下部筋肉直下に位置します、です。

腎臓でろ過された血液は尿となり、左右の尿管(「〜」みたいな線)を通って膀胱にたまり、
いっぱいになったらオスは青い線・メスは赤い短い線の尿道からオシッコとして外に出ていくのですが、
尿管が膀胱につながっている部分(開口部)が異なると異所性尿管となり、
ほんの少しずれているだけ、両側とも外れてる、尿管が無駄に巻いて開口部が狭くなっている、
膀胱を通らないで尿道に直接つながっている、、など状況は個体差が大きいようです。

と言うことは症状の現れ方にも個体差があるけれど尿失禁・尿漏れが主症状なのですが、
単なるうれションやびびりション、またはトイレのシツケの失敗と考えられたり、
反対に年齢が上がるとともに尿漏れが多くなるケースでは不妊手術のせいだとか老化だと諦めてしまわれることもあり得ます。
軽い尿漏れを見過ごしていて、他の病気のための検査で発見されることもよくあるようです。

余談ですがワタクシが直接聞いた例では、子犬の頃からうれションが治らないメス犬で、
ただでさえ漏らすので避妊手術なんかしたら尿漏れが重度になるから未不妊でいるという話がありました。

なにをバカなことを・・

失礼かもしれませんが、と前置きしてそう発言させていただきましたが。
その後どうなったのかはわかりません。
その飼い主さんはうれションは子犬らしさを失わない証拠なので我慢するのが愛情とか、
だから卵巣子宮を取っちゃうとさらに子犬らしさが強化されるとも仰られていて、
矛盾してるしマジで意味不明、と返すと人それぞれ考え方が違うから・・で終了しちゃいました。
いまだに意味不明です。

そんなわけで犬の異所性尿管は多因子遺伝する遺伝性疾患のひとつ、みたいです。
病気自体はかなり昔から知られている犬や馬の先天奇形と言われています。
犬も大変だけど馬の尿漏れってとんでもない量になりそうだなおい。


参考サイト
エントレブッハーマウンテンドッグ(毛の短い小柄なバーニーズ柄のスイスの犬種)の遺伝性異所性尿管(英語)
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jbg.12055/abstract;jsessionid=5BE398C6FE02840B011263905C85F8CA.f04t02?systemMessage=Wiley+Online+Library+will+be+disrupted+on+7+December+from+10%3A00-15%3A00+BST+%2805%3A00-10%3A00+EDT%29+for+essential+maintenance

OMIA 犬の異所性尿管(英語)
http://omia.angis.org.au/OMIA001891/9615/

滋賀県米原市 みなみ動物病院さん 超音波検査で「水腎症」を疑った症例(日本語)
http://d.hatena.ne.jp/minami-animal-hospital/20120121/1327130081

岡山県小田郡 井笠動物医療センターさん 子宮蓄膿症で来院した犬に発見された異所性尿管の1例(PDF)(日本語)
http://ikasa-amc.com/veterinarian/images/case_report/Case2007_01.pdf




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posted by あきこ at 23:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | 遺伝性疾患を知ろう | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年11月30日

病状を見逃したと思う時


IMG_8090.JPG

※写真はイメージです。(ちわわと○○○○○○○のF1だそう。フリーサイトから拝借)

4歳の小型犬の調子がなんとなくおかしいと感じたのは2週間前だったとその人は言いました。
ふだんと違う点は「たんを吐く」「お腹が出てきた」だったそうです。
もう、この2つを聞いただけで「・・・・・!」と身構えてしまいましたが。

結果は心臓病で拡張型心筋症と診断されたそうです。
犬は通常カーッペッと「たんを吐く」ことはしないのですが、
咳をたん吐きと勘違いしてしまうことはよくあるようです。
犬の咳を音で表すならゴホンゴホンとはやらず、顔を下に向けてカハッとかグハァ、
グハァとともにヨダレが飛んだり合間にしきりに舌ペロペロをするのでたん吐きに思えるのでしょう。
とくに何度か咳をした後に何事もなかった顔をされたり、
ものを食べている最中の咳の後、ケロッとして食事を再開したりするので、
まさか重大なことが起きているとは今でも思えなく信じられないと言いました。

犬種はただでさえ小さなちわわで、他より小柄な犬だったそうです。
「たんを吐く」ことは1〜2ヶ月前から見られていたようですが、
ふだんはとても活発で明るく物怖じをしないちわわらしい子。
子犬の頃は体の小ささが少し心配だったので、
フィラリアの予防薬を毎月買うがてら動物病院で健康診断をしていたそうです。

冬期の3ヶ月間以外は毎月欠かさず聴診器をあてて診てもらっていたのに、
ある日突然心臓病と診断されその後1週間持たずあっという間に亡くなってしまったことで、
動物病院に診断ミスを認識させなければと考えられたようで、
縁があって直接ご事情をお聞きすることになりました。
その人の言い分は診察料を支払って毎月診察しているのに病気を見逃されて愛犬が不憫だ、
病状がわかってから積極的治療をせずに諦めモードだった、他の治療法は無かったのか、です。
診察料金の返還や慰謝料の請求などは一切求めず獣医師からの謝罪を願っていました。


犬の追加情報
生後2ヶ月でちわわ専門ブリーダーから購入
血統書をつけないなら生体価格は定価の30%オフと言われコピーのみもらった。コピーは紛失
散歩嫌いなのでふつうの散歩はナシ
キャリーバッグやスリングでのお出かけは好き
夜寝る場所はリビングのケージ内(飼い主は別室)

さあ。あなたならなんとお答えしますか?

ちなみにワタクシのお返事一部要約は、
同じ病気のヒトの場合の自覚症状はだるさ、運動や体勢が影響する息苦しさ、動悸
(散歩させてないとわかるものもわからなくなる)
同じ病気のヒトの場合の診断方法の手始めはレントゲンや心臓専門医による心エコー
(10秒ほどの聴診器でわかるわけない)



「お腹が出てきた」の「お腹」とは胸の方ですか?と聞いたら「全体的に」とのこと。
胸水と腹水の両方だったそう。
あはれなちわわ。いと寒し。



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posted by あきこ at 02:34 | Comment(6) | TrackBack(0) | 遺伝性疾患を知ろう | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年11月16日

犬の遺伝性の心臓病


http://omia.angis.org.au/home/
The University of SydneyのONLINE MENDELIAN INHERITANCE IN ANIMALSのリストは、
時々サイトごと進化するけど遺伝性疾患は分類別に整理されていない、と思います。
思います、と言うのはワタクシが英語をちゃんと読めないからであって、
もしかしたらどっかのページにあるのかもしれませんが・・(まるで自信がない)。

ま、いいんです。がんばって翻訳して調べれば苦労しただけ覚えられ・・そうで(ないよ自信なんて)。
それでは犬の遺伝性の心臓の病気、心臓病の症状がある病気の病名のみ羅列。ABC順

Aortic aneurysm, familial thoracic
家族性胸部大動脈瘤

Aortic stenosis, subvalvular
大動脈弁下狭窄症

Arrhythmogenic right ventricular cardiomyopathy
催不整脈性右室心筋症

Atherosclerosis
アテローム性動脈硬化症

Atrial fibrillation
心房細動

Atrial septal defect
心房中隔欠損症(ASD)

Cardiomyopathy
心筋症

Cardiomyopathy, dilated
拡張型心筋症

Cardiomyopathy, hypertrophic
肥大型心筋症

Cardiovascular malformations
心血管奇形

Chronic valvular disease
慢性弁膜疾患

Conotruncal heart malformations
* 円錐動脈幹の心奇形

Cor triatriatum Dexter
*右房性三心房心

Endocardial fibroelastosis
心内膜線維弾性症

Heart defect, congenital
先天性心疾患

Heart defect, hypertrophic
肥大性心疾患

Mitral stenosis
僧帽弁狭窄症

Mitral valve disease
僧帽弁膜症

Patent ductus arteriosus
動脈管開存

Pentalogy of Fallot
ファロー五徴(ごちょう)症

Persistent right aortic arch
右大動脈弓遺残

Persistent right aortic arch, with subclavian artery and ligamentum arteriosum
*鎖骨下動脈と動脈管索を伴う右大動脈弓遺残

Persistent truncus arteriosus
総動脈幹遺残

Pulmonary stenosis
肺動脈狭窄症

Subaortic stenosis
大動脈弁下狭窄症

Tachycardia
頻拍症、頻脈症

Tetralogy of fallot
ファロー四徴(しちょう)症

Tricuspid valve dysplasia
*三尖弁(右房室弁)形成不全

Valvular pulmonic stenosis
肺動脈弁狭窄症

Ventricular arrhythmias and sudden death
*心室性不整脈による突然死

Ventricular septal defect
心室中隔欠損症、VSD


*印がついているものは翻訳がイマイチのものです。正確な情報をどうぞお寄せください。
高血圧症群は除きました。

これらの病気だと診断された犬とお暮らしの方は、犬種にかかわらず(雑種でも)、
繁殖によって遺伝して伝わった可能性の極めて高い疾患であることをまず知ってください。
犬が年をとってから発症したのであってもです。
そしてできるだけ、親犬や兄弟犬をはじめ、血縁犬の飼い主さんやそれぞれの繁殖者に知らせてあげてください。
知らせを受けた繁殖者は疑ったりキレたりしないで真相を科学的に解明して可能なら公表してください。
上記の中で遺伝形式が一部でも判明しているものは以下の通りごく少ないのですから。

・家族性胸部大動脈瘤、主に常染色体優性遺伝、常染色体劣性遺伝の例もあり
・催不整脈性右室心筋症、常染色体性不完全優性
・拡張型心筋症、常染色体劣性遺伝
・円錐動脈幹の心奇形、多因子または単一因子
・僧帽弁膜症、多因子
・鎖骨下動脈と動脈管索を伴う右大動脈弓遺残、おそらく多因子
・大動脈弁下狭窄症、常染色体優性遺伝の例あり

このように1つだけの遺伝子の変異、のような単純な遺伝形式でないものがほとんどですから、
両親犬とも心臓病じゃないから遺伝ではないかも?は通用しません。
たとえ親犬の心臓に毛が生えていたとしたも因子は誰の目にも見えない、
だけど繁殖をするなら見えない因子を見なければならないのです。
その方法は繁殖の組み合わせを決める前に血縁犬・一族郎党を「知ること」のみです。

犬の繁殖のアドバイスが飛び交う場で「血統書を読む」という言葉が出ることがあります。
たまに物知りっぽい人が「近親交配の有無や先祖の毛色を読め」など恥ずかしいことを言いますが、
近親の交配はこの場合たいした役に立たない情報ですし、毛色なんてどうだっていいです。
血統書を読むことの意味はその血統書に登場する犬をはじめ、記されていないさらに前の先祖犬と
それぞれが産んだ子の因子を読み取れってことなんです。

犬の心臓病の治療なんて現実的には療法食を食べさせて運動を制限し続けるくらいしかないのだから。

何代先まで把握できれば良い・悪いという話ではないけれど、
本当にまともなブリーダーとは読み取る努力を怠らない人です。
だから読み取れない段階ならブリーダーを自称して繁殖なんかしてはいけません。
どうしてもやらなきゃないなら繁殖に向かないペット用途のみだと明言してください。

常時売り物の子犬がいる犬舎・ブリーダー(ケッ)・繁殖所・ペットショップなどなどは、
血統書を読み取る作業を省いている確率が非常に高いものです。
いくら人柄が良くても立派な施設でもナニカの受賞歴が多くても。
出身犬の繁殖のために飼い主さんが遺伝的な問題の情報を求めた通りに得られないのは、
そもそもそうやって必要な手順をあっさり省略した繁殖によって生まれた犬、だからなのです。




お目直し。写真は本文とは関係ありません。「ぎゅっ」
SH3J0181.JPG




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posted by あきこ at 00:06 | Comment(0) | TrackBack(0) | 遺伝性疾患を知ろう | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年10月30日

ヒート出血期間は個体差?


それも個性だのヘンな所が飼い主に似てぇ〜だのの前にできるだけ詳しい血液凝固検査をお勧め。
今どきの動物病院では簡単なものならたいていどこでもできる(専用の装置がある)。

犬の生理の出血量や出血期間
(と書くのは不本意だが検索ワード・・がまんがまんがまん・・)
は、
犬種に関わらず平均的に、犬自身が舐めとって片付く範囲の量しか出ないのが普通で、
出血期間が2週間を超えることはとても少ない。あちこちが正常ならば。
しかも犬の発情出血はヒトの生理とはまったく違いちょろっと染み出た分なので、薄く水っぽいのが正常だ。(リアル表現ですまんが女性の多くが知ってる「レバーみたいの」とかは出ないんだ)

犬の遺伝性疾患には血液凝固障害に関わる病気があり、それらは発情出血延長の原因にもなる。
一度出た血が止まりにくい病気の代表的なものと言えば血友病で、
血友病はヒトと同じように犬でもX連鎖劣性遺伝(伴性遺伝・伴性劣性遺伝)するので
メスには通常あまり影響がない。(通常じゃないケースももちろんある)
しかし、いくつかの犬種で遺伝子検査が確立されているフォンウィルブランド病を含め、
発症にオスメスの性差が見られない血液の病気はフツーに存在するし犬の遺伝病として現れているのだ。
大きめの怪我をした時や外科手術の際に血が止まりにくいという主症状の他、犬では

・死産、新生児(新生仔)死亡
・出生時の臍の緒の乾きが鈍い
・乳歯が抜けたときの出血が目に付く
・犬には非常に稀な鼻血が見られる
・爪切りの小さな失敗の際の流血量が多め
・目からの出血もある(流血せず充血で済むことも多い)
・口の中や外性器(粘膜)から原因不明の少量出血がある
・出血するほど打撲や怪我が思い当たらない時も体のどこかから血が出ている
・たまに血尿・血便(タール便)・嘔吐物に血が混じる
・皮膚にあざができたり消えたり(内出血) 、そして
・ワクチン接種で数日〜十数日ほど腫れやしこりが残る
・ヒート時出血の量や期間の増大

といったあたりが目立つというか飼い主が気づくことのできる症状の一例。
止血障害の状態によっては全身に痒みや発疹が出たり関節炎に進んだりもする。当然貧血も。
また反対に、出血症状は無いのに検査結果が異常なため発覚することも。

犬の遺伝性血液凝固障害の一部を以下に書くが動物病院でこう確定診断されることはほとんどない。
苦労して突き止めても以後の治療に役立てにくく診断に手間暇がかかり客である飼い主に喜ばれない。

Afibrinogenemia -- 第 T 因子欠乏症(無フィブリノーゲン血症) 
Factor VII deficiency -- 第 Z 因子欠乏症(安定因子欠乏症)
Haemophilia A -- 第 VIII 因子欠乏症(血友病A)
Haemophilia B -- 第 IX 因子欠乏症(クリスマス病、血友病B)
Factor X deficiency -- 第 X 因子欠乏症(スチュアート-プラウアー因子欠乏症)
Factor XI deficiency -- 第 ]T 因子欠乏症(血漿トロンボプラスチン前駆物質(PTA)欠乏症)
Factor XII deficiency -- 第 ]U 因子欠乏症(ハーゲマン因子欠乏症)
(※数字部分はギリシャ数字)

7と9と10番凝固因子の欠乏に関わってくる栄養素の名称が入った遺伝性疾患もある。
Vitamin-K-dependent blood coagulation factors deficiency 
 -- ビタミンK依存型血液凝固因子欠乏症
(こういうのを見ると、いわゆる手作り食が心配になる勉強家の飼い主さんがいるかもしれないが、
この病気に限らずとも栄養分のナニカが不足してとんでもない病態を引き起こすものなんて、
たとえば5年間ミカンしか与えてない、みたくよっぽど偏りすぎたことがなければ、
まずだいたい元からそういう体質(合成不全や吸収低下)なのだから気に病んだりしないでほしい。)

血小板症、血小板減少症、血小板無力症、まるで血小板の三段活用かのような病気も、
かなりおとなしいことだけが主症状になる古くから知られるダイアモンド-ブラックファン貧血も、
赤血球のカタチがほんのちょっと他と違うなんちゃら状赤血球症も発情出血に影響が出ることもある。

少なくとも繁殖をさせる犬には、
交配相手ぶりぃだぁやショップの人や獣医師が勧めなくても、
当たり前に必要な最低限の検査の一つが血液凝固検査だ。
繁殖者がプロでも素人でも関係なく。





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posted by あきこ at 17:44 | Comment(9) | TrackBack(0) | 遺伝性疾患を知ろう | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年10月29日

犬の遺伝病ウソホント


犬の遺伝性疾患を調べようとすると、「目の病気が多い」とか「劣性遺伝の病気が一番多い」
的な真面目ふうな記述をネットでたまに見ますが、んなこたありません
100パー間違いでもないんですが、どっちもあんまり正解だと言えないのが本当です。

シドニー大学発信の犬の遺伝形質および遺伝性疾患のリストによると
http://omia.angis.org.au/home/
本日ただ今632種類の形質と病気(9割以上が病気のこと)が犬において確認されており、
そのうち631種類のものについてのワタクシ的分類をさっき更新したんでお知らせすると、
一番多いのは脳神経系の病気で631のうち95、2位が631分の79を占める内分泌系、それから70の筋骨格系。
てんかんとか脊髄空洞症とか睡眠発作とか馬尾症候群ら脳神経系の中で劣性遺伝形式は20に満たないほど、
79の内分泌系はCL症やガングリオシドーシスらライソゾーム疾患類があるためか約4分の1程度が劣性、
しかし筋骨格結合組織系はご想像のとおり10個あるかないか(これは特にたいてい単純ではないもの)。

つまり「犬の遺伝性疾患の中で最も多いのは劣性遺伝をする病気」ってのはたぶん勘違いで、
劣性が多いと思いこんじゃった人はとりあえず上で紹介したサイトの「Mendelian trait/disorder」を覗いてみて。
(最近の翻訳機能はなかなか頼りになるので半分近くは翻訳ボタンを押すだけでけっこう雰囲気がわかるし)
メンデル遺伝すると確証のある形質と病気が632分の248。
248をクリックすると1ページめは血液型に関することと毛の色の遺伝の項目が半分以上占めてたりするが。

ついでに、ここのリストにある目の遺伝病の数は61だが亜型の類をまとめると20から30くらいなので、
犬の遺伝性疾患は目の病気が多いとは言えない。のではないだろうかと。
研究がそこそこ進んでいる現在でも一番多いのは遺伝形式不明、または多因子のような気がするのだがさて。




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2013年10月25日

人気犬種のかかりやすい病気


ワタクシの手元にこの本がございます。
ラブリースイートうちの小太郎が生まれた2002年モノです。
下戸なのでお酒の年代物には興味がないけれど意味があるようで皆無なヴィンテージ物がわりと好きです。


もっともくわしいイヌの病気百科―イヌの病気・ケガの知識と治療 [単行本(ソフトカバー)] / 矢沢サイエンスオフィス (編集); 学習研究社 (刊)


11年前に発行されたこの本から、現在の人気犬種の犬種別かかりやすい病気を引用します。
この人気犬種の基準は、2003年から2012年間のJKCの登録頭数ワンツースリー独占中の3犬種とします。

プードル(今の基準に照らし合わせるとミニとトイと俗称ティーカップ相当)
・低血糖症
・睾丸停滞
・気管虚脱
・過敏性皮膚炎
・てんかん
・白内障
・膝蓋骨の脱臼
・眼瞼内反症
・クッシング症候群
・軟骨形成不全
・がん

ちわわ
・水頭症
・肩関節およびひざ関節の脱臼
・気管虚脱
・乾性角膜炎(ドライアイ)
・低血糖症

ダックスフント(大と小)
・口蓋裂、口唇裂、睾丸停滞
・眼瞼内反症
・緑内障、進行性網膜萎縮
・乾性角結膜炎
・小眼球症、白内障
・椎間板ヘルニア
・骨石化症
・糖尿病、膀胱結石
・てんかん

麻布大学動物病院の助教授(当時)の監修なので、それなりの頭数を見てのまとめと思われます。
白内障は緑内障のグループのほうがいいんじゃ?とかなぜ糖尿と結石を並べるのか、
ワタクシではわからない専門的な理由があるのかもしれませんが病名引用は以上です。

見事にほぼすべて遺伝性疾患、または遺伝性が考えられる前例が存在する、です。
これら3犬種に共通する誰でも眼で確認しやすいよくある病気の、
停留精巣のほか乳歯遺残、臍・鼠径ヘルニア、流涙管狭窄か閉鎖、なんかも遺伝病の仲間。
かかりやすい病気 = ほぼ遺伝性疾患 と覚えてもなんら問題はないほどです。
で、犬の遺伝性疾患をストップさせようとかなくそうなんて言葉をたまに見聞きしますが、
逆に言うとそれって遺伝性疾患はストップさせたりなくしたりできる(可能性がある)ものだよと。
なくすったってまさか、何かの遺伝病を持ってる犬を人為的に失くすわけじゃなく、
発症する遺伝病を遺伝子に刻みつけて誕生する犬がいるならば、
遺伝子に痛い病気や苦しい病気が書かれていない子犬を誕生させよう、なのです。

ということは生後1ヵ月半でタマが両方間違いなく降りる、と遺伝子に書くことが可能なわけで
文字(じゃないけど)を書くにはノートとペンが必要で、それは両方とも犬が元々持っています。
白内障のペンで白内障のノートに書かれた時、その犬は白内障を発症する。
複数の遺伝子と環境要因も関って発症する糖尿病のノートはページが5枚あり、
5ページのうち3ページまで書き込んだあと、決まった棚の上に置いておけば糖尿病を発症する。
そういう感じです。

犬の遺伝病をなくすのではなく、重症発症個体の誕生を限りなく少なくするのがブリーディング。
遺伝病の予防法はほとんどの場合繁殖にのみ存在する、としか考えられないのです。
なぜなら犬が持つノートとペンの組み合わせを決めるのが人間だからです。
「無理な繁殖で遺伝病が蔓延する」的なわかったようでわかってない言い回しがネット上に溢れています。
あまりにもボロボロで気の毒な犬の写真なんかを見た経験があったりして、
「悪徳業者の実態」とか「無知な交配による遺伝の病気」みたいな言葉に触れたりすると、
最初は連続出産・高齢出産や不衛生な環境や母体のサイズの小ささやレアな毛色が一因、
のようになぜか感じてしまいがちです。それらは当然ノートとペンには無関係なんですが。

世界のどこかで研究途中のものも含めると、今現在の犬の遺伝性疾患の数はおそらく一千を軽く越します。
ただの一般飼い主であるワタクシでさえ、遺伝形質と遺伝性疾患合わせて600ほど知りました。
勉強が好きだから知ったのではなく、犬種ごとにかかりやすい病気の意味に疑問を持ったからです。

水頭症は遺伝病、パテラは遺伝病、逆さまつげも遺伝病

遺伝病だからどうしたって思う人も多いです。
遺伝病だと知れたらその犬が大事にされないと心配する人もいます。
遺伝病だとわかっても治療法が変わるわけじゃないから無駄と思う人も、
遺伝病だけを悪く言うけど後天性の病気はどうなんだって腹を立てる人も、
ブリーダーサンも獣医師もショップ店員も先生も、みんなが遺伝性かどうかわからないと言うのに、
なぜワタクシがここでこんなにしつこくするのでしょう。

答えは簡単。
プードル、チワワ、ダックス、って言うか小型犬は、
パテラの犬が多い パテラに罹りやすい よくあること

が普通になってきているからです。
とくに獣医師。動物病院関係者。犬の遺伝病についてキミらの責任も重大だ。

まったくもって普通じゃねーよ
フローリングで滑ったの歩いてて挫いたの階段昇降だのジャンプさせてしまっただのetc
後天性もあるからしようがないなんていろんなプロが言うけど違ぇよ。
その犬のノートにパテラになる・なりやすいと書かれているんであって、
犬自身が好きなように歩いて走って飛んで跳ねて動く衝撃に耐えるシステムが関節なのに
ごく普通の自由な動きを制限しなければ健康に過ごせないのならそれは不健康。
もし「小型犬はパテラでも特別異常ではない」ならばパテラでない同じ犬種は一体なんだと言うのか。



愛犬の繁殖をしたこともする気もないから関係ないと思う人もいるでしょう。
ペットショップやブリーダーにクレームをつけろと勧めているのではなく、
現時点で確立された方法で膝関節の具合を見て結果を繁殖に生かせば、
パテラ(単体)に患わされない小型犬を世に送り出す確率が高まるから、
(他のいろんな病気の合併症として膝関節に不具合が出ることもありすぎるほどある)
可能な範囲で犬の遺伝病を知ってほしい。知るだけでいい。犬の飼い主さんたちに。です。




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posted by あきこ at 05:46 | Comment(2) | TrackBack(0) | 遺伝性疾患を知ろう | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年10月17日

蛋白喪失性腎症


Protein-losing nephropathy 蛋白喪失性のネフロパシー という遺伝性疾患。
腸症のほうはなんでか知らんけど犬の病気としてわりあい知名度がありますが、それの腎臓版(?)。
病名から想像できるとおりなんらかの原因によるたんぱく尿が症状のひとつですが、
それで腎臓の機能が低下するとかよりも腎臓そばの静脈や肺の動脈に血栓ができやすくなり、
呼吸不全にいたってしまうそう。

2000年頃、ソフトコーテッドウィートンテリアの家族性の症状がアメリカで研究され、
多くが2歳から6歳の間の年齢のメスに発症が見られ(11歳発症もアリ)(オスの発症もアリ)、
家族内に蛋白喪失性腸症に罹患した犬、また腸症と腎症の両方を併発した犬もいるそう。
他はラブラドール、ゴールデン、バーニーズもリスクが高いとのこと。
関連サイト AKCの犬の健康ページも合わせてどうぞ。こーゆー情報はぜひJKCも真似してほしい。
http://www.akcchf.org/canine-health/your-dogs-health/disease-information/protein-losing-nephropathy.html

この病気の症状で家庭で気づくことのできるものとしては、
食欲不振や嘔吐や下痢が第一で、食物アレルギー持ちなケースもあるんだそうで。
病状が進むとむくみが出たり呼吸が辛そう、みたいな症状も見られるようだけど、
食が細くてウンチが緩めで時々吐いちゃうアレルギーっぽい体質。
全国各地にこれでもかっっ!ってほどいるねそういう犬は。

どこにでもあるようなありふれた小さなトラブルを抱えている普段は元気でカワイイ愛犬が、
ある日突然調子が落ちてあわてて動物病院に連れて行ったら手の施しようがないほど全身状態が悪化してて。
そうしたら飼い主さんは3日前にドッグランで走り回りすぎたからだとか、
ここんとこ暑くて熱中症になってたのに気づかなかったんだとか、
いつもの動物病院が休診だったからウチの犬に不慣れな獣医師の手際が悪かったんだとか、
最近仕事が忙しくて構ってやれる時間が足りなかったからだとか、
愛犬が亡くなると同時に闘病中だった家族の誰かが快復したから身代わりになってくれたとか。

どうにかして理由をつけたがる人々が世の中には大勢いて。
しかもこう言っちゃなんだけど自分が納得できる理由を探す。たいてい。
人間誰だって好きな思想を持って自由に生きればいいと思うよ。だけど。
こういう個人的な事情にしか思えないものが、犬の遺伝病を容認しちゃう面はゼロじゃないんだ。

ちなみに腎症テリアの研究によると食物アレルギーの抗原に鶏肉もあるんですと。
犬のアレルギーの遺伝ってほとんど解明されていないし簡単に行かないのはほんとにわかるんだけど、
トリ肉食えない犬を作るなよまったくもう。
犬の遺伝性疾患に全力で挑んでよ自称だろうとブリーダーならば。



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2013年10月07日

減る遺伝病検査機関


、そしていつまでも抑え方がわからん遺伝病、ってか。

独自の検査項目もあってとても便利に思われていたオーストラリアの犬の遺伝子検査機関、
GTG社が日本の市場から撤退する、とついこないだ聞きまして。
それを思い出したのでブログ記事にするにあたり正確な日付はいつだったかしらと、
友人からのメールを探しましたらば、なんと6月のことでした。
「ついこの間」が4か月前ってどうよ。ご年配か。

それはさて置き、ほんの4年くらいで複数社が去って行ったニッポンの犬の遺伝子検査機関。
それぞれ事情がおありでしょうが、シロウトでもわかることは思うより利益が出なかったんでしょう、ということ。
作った犬、産ませた犬、売った犬、譲った犬に遺伝病が出たら、
誤魔化したり内密にと願ったり脅したりすかしたり泣き落としたりetc...
がフツーなニッポンの犬業界だもの。そりゃこぞって検査なんか誰もしないわね。

今現在複数の遺伝子検査をおこなっているのは
日本畜犬遺伝性疾患協会 IDIDA JAPANさん 

IDIDA JAPAN

と三菱化学メディエンス(←こちらは自力で検索してください)さんくらいになっちゃいました。

有限会社カホテクノさんではリンパ(系)腫と乳腺腫瘍のマイクロサテライト解析なども展開されていて、
日本人が受け入れやすいタイプの遺伝子検査はこれからも発展していくでしょう、めでたし。
だってニッポンのギョーカイだもの。
親犬が悪いとか繁殖者が無知だったとかそーゆーのはキライだもの。
けど、乳腺腫瘍が良性か悪性か?がわかっちゃう方面なら遺伝子検査バッチ来いだもの。
やれやれ。

こちらは遺伝子じゃないけど遺伝性疾患の診断、データベース構築、科学的な研究、情報提供をする
日本動物遺伝病ネットワーク:JAHD Network

jahd.jpg


とりあえず犬の遺伝性疾患にある種の興味があって辛い思いをする犬が1頭でも少なくあれと願っていて、
自分所有の犬を飼っているならばどうぞご協力をお願い申し上げそーろー。
どれもこれもギョーシャじゃない一般の方でも検査は可能です。



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2013年09月19日

持っているかもしれパンツ

写真素材足成・Kazuya Inohさんの撮影


※写真は本文とは関係ありません※
水つながり(怒られそうだが)
※※フリーの写真素材屋さん、写真素材 足成さんよりお借りしました※※

グーグルさんの迷翻訳話題を絡めつつなお話です。
毎度お世話になっときながら文句を言うんじゃねぇよと叱られそうですが、
ちょっとこれは一人じめしちゃいけないかな、なんて。

犬の遺伝性疾患って、フツーに犬と暮らしてるだけではわけわかんない分野なので、
わかんないからこそとんでもなく怖いことのように思えちゃいますよね。
ネットでは気の毒極まりない遺伝病話題がいっぱいだし時々マスコミも煽るしね。
命に別状のない遺伝性疾患は実は思うより多くあるんですが。といったん安心させると見せかけて、
今日は Hydrops foetalis がメインです。
いわゆる致死的なものなので苦手な方はご注意を。
それと毎回きっちり書いていませんが当ブログ記事はすべて in Canis lupus familiaris に限った話ですのでよろしく。

この遺伝性疾患は、なんとワタクシが生まれる前から犬を含む家畜動物に見られ研究されているようで、
実際に目で見た経験の無いワタクシはおもにカンザス大学の故ライポルト博士の研究結果から学ばせていただきました。
ブルドッグと牛や羊の症例報告みたいな文書や画像を根性で探して根性で読んでみたり。
(根性の一例 ; 病名の後に canis とか pdf をつけて検索)
そんでもってシドニー大学のいつもの紹介ページの一文です。

There are usually heart abnormalities associated with the condition and pups will be lethargic, will pant easily after movement and may have a rapid, irregular pulse.

エイーゴが上手でないワタクシは、これだけじゃ所々しかわからんわけです。
なのでグーグルさんに手伝ってもらうんですが、↓

条件と子犬に関連付けられた心臓の異常が無気力になり、通常あり、意志簡単に移動後、迅速な、不整脈を持っているかもしれパンツ。

かもしれパンツ。持っているかもしれパンツて。パンツはどこから。pant?
笑いはしなかったんですけどね、こういう、どよーんとしちゃう方面の調べモノをしている時にね、
持っているかもしれパンツで腕を組んで首を傾けてんんんー??っと唸るとね、
なんというか、まあ、気分転換になりました。

Hydrops foetalis の訳と病状 ----- 胎児水腫
胎児水腫とは胎児がさまざまな原因で、いわゆる「水ぶくれ」状態になっている。
具体的には胎児の皮膚がむくみ、さらにおなかや胸のなか、あるいは心臓の周囲に液体がたまっている状態。
ほとんどの胎児水腫の胎児は心不全状態なため予後不良。多くは子宮内で死亡するか、生後早期に死亡。
以上、gooヘルスケアさんhttp://health.goo.ne.jp/medical/search/10392100.htmlより抜粋引用

アメリカ他ではパピヨン、アメコカ、ボステリあたりがリスクを持つ犬種と認識されているようです。
口蓋裂や咽頭の低形成または機能不全の合併も見られている、です。
たぶん一部分っていうか部分的に症状が出る場合もあると考えられます。
通常の新生児より小さい状態での死産はこの状態かどうか見極めが難しいだろうし、
出産に至る前に死亡すると犬ではよく「吸収される」ので見極めどころじゃない。
交尾後3〜4週目の超音波画像診断と実際の出生頭数の不一致や産子数が平均より下回る場合なんかは、
実は死産そのものよりも大きなサインが現れていることもある。のに。



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2013年07月09日

エナメル質形成不全症

写真素材足成・はらおちさんの撮影

※写真は本文とは関係ありません※
歯の話なのでまったく関係ないでもないですが(この子良い歯だし)
※※フリーの写真素材屋さん、写真素材 足成さんよりお借りしました。これからもお世話になりそうなのでよろしく※※

エナメル質とはわりと聞き覚えのある言葉ですがウィキによると
歯の歯冠の最表層にある生体で最も硬い硬組織なんだそうで、歯の表面の物質っていうか「歯」です。
ついでにウィキの犬のエナメル質についての解説では、このようになっとりました。
唾液中のpHが8.0 - 9.0と非常に高く、歯の脱灰を防ぎ再石灰化を促進させるので、人間に比べて虫歯になりにくい。
その一方、歯牙破折はしばしば認められ、特にガム、骨、チュウトイなどが原因で裂肉歯にてエナメル質と象牙質が剥がれるように破折することが多い。
(中略)
また、人間同様エナメル質形成不全が発生する可能性もある。


これ編集してしまおうかと思ったんですがその前にブログのネタになるではないか!と思い直しての久々の記事でございます。
Amelogenesis imperfecta − エナメル質形成不全症 −
2009年にスエーデンの獣医歯科学会誌にスタンダードプードルのエナメル質欠損の記事があったそうですが、
ワタクシは残念ながら購読しておりませんでしたので見逃しました。スエーデン語とか知らんし。
そして本年2013年5月にアメリカはカリフォルニア大学の獣医学部教授ピーターゼンさんらにより、
イタリアングレーハウンドのエナメル質形成不全が単純な劣性遺伝だったぜと発表されたもよう。

 ★重要なのででか文字で書きますが、だからってイタグレ以外の犬種のエナメル質が足りない状態=遺伝じゃない、ではないです。


エナメル質形成不全はエナメリン(ENAM)遺伝子のエクソン10における5-bpの欠失と関連していたそうで、
場所は13番染色体だそう。このへんはようわからんので聞かんでください。

症状はどんな感じかと言いますと、
・歯がうっすらと白濁している〜茶色がかっている
・歯の色がまだらに見え、表面が粗い
・1本の歯の一部分に色変わりがある、または重症の場合は1本の歯全体が色づいているかも
・エナメル質が低形成な歯のサイズは小さい、またはその部分の歯が生えないこともある
・何本の歯が影響を受けるかはそれぞれだが、一般的に乳歯・永久歯ともに低形成
・歯以外の組織・器官は影響を受けない(エナメル質形成不全だけであれば同時に歯茎も病気だとかアゴの骨がもろく折れやすいなんてことにはならない)
・エナメル質形成不全だけならば歯周病とは別モノ、エナメル質が無いから歯周病にもなったということにはならない(ケア不足の問題)

といったあたりだそうです。

(この遺伝性疾患だけの話ではないんですけど、だからたいていの犬種のスタンダードに、
歯に関する項目があるわけで、それは健全性と密接なつながりが犬種基準(犬種標準)にありますよ、っと。
欠歯が欠点とか失格とかは美醜ではなく健康に関すること、歩き方や走り方もそうです)

これは一般家庭の飼い犬ならば獣医師と連携のうえ、歯磨きを好きになるよう教育することが大事で、
飼い主以外も口の中を見たり触ったりできるよう(嫌がらないよう)に犬に教えてあげてください。
もしもエナメル質の足りない歯に歯石がたまったりなどのトラブルがあれば、
いつでも適切な処置に挑めるように、といった意味です。

そして、本当なら一般飼い主の仕事ではないのですが、他の犬種でも劣性遺伝な可能性があるので、
親犬の飼い主(繁殖者、業者)、血のつながった兄弟姉妹や親戚さん、販売店などなどに、
できるだけ知らせてあげてほしいです。
こういう「○○という病気にかかり、遺伝病みたいなので連絡しました」的なお知らせは、
知らせ方を間違っても間違わなくても繁殖者がキレるケースが多いので、
メール文の下書きや電話での会話の台本など、もしよかったらワタクシもご一緒に考えますのでご一報ください。

保護活動家さんは、歯の状態の悪い犬を保護する場合もあるかと思います。
その際に口内環境がひどすぎる=劣悪な環境から来たのだ!と、見た目だけで判断する前に、
遺伝性疾患は元の飼い主の力だけではどうにもならないこともあるとお心にお留め置きください。

獣医師をはじめとする獣医療関係者さんは、保護犬の年齢推定を歯をもとに判断されることなんかもあると思います。
重度のエナメル質形成不全症の犬の歯は上記症状のとおりアテにならないケースがあるようです。
また、ドッグフードを食べさせないから歯がこんなにボロボロなんだと飼い主さんに注意されるケースもたまに聞きます。
「人間用の味付けと栄養配分」そのままを犬に与えると良くないのであって、
「人間用の食べ物」が悪いわけじゃないことをそろそろお認めになられてもよろしい頃かと思います。

繁殖者さんへは、ワタクシこう見えてもいきなり噛みついたり説教をはじめたりへんに脅したりなどしませんので、
必要であればご質問なりご意見なりご相談なりお気軽にお申し付けください。
一つだけこの場で言わせていただきたいのは、遺伝病を出すなとは言いません、何が遺伝病なのかを知りましょう、です。



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