年末から大阪で『ブリーダー施設崩壊』の話題があり、
気にしておられたかたもいらっしゃることと思います。
ひとつの事件が過ぎたころにほぼ定期的にやってくるこの手の話題。
どうにかしたいのですが、そのためには何をすると良いのでしょうかね。
今回の大阪の件はすでに報道などでご存知のかたもおいででしょうが
ブルセラの大量感染犬が問題視されています。
で、ブルセラってなぁに?
何もイケナイおじさまだけが罹る怪しげな病気ではありません。
ブルマーもセーラー服も無関係なんですよ。
最初にこの菌を発見したひとがブルース先生だったのでこんな名前です。
ブルセラ症について まずですね、混ぜて考えてはいけませんが
犬からうつる(かもしれない)ブルセラはとてつもなく弱っちい菌です。
普通の飼い主さんに感染する機会はとても少ないですし
感染して発症してもすぐに命に関わるようなものでもありません。
99年から今年の1月まで、ブルセラ症に感染した国内の日本人は7人!
そのうち犬が持っているはずのブルセラカニスが原因だ!!
と判明しているものは
ゼロ です。
もしかしたら犬からうつったのかな〜?
でも検査しようとしたけど、よくわからないな〜という例が3例です。
感染動物は犬のほかに牛・豚・羊・やぎ・野ネズミで
動物によりそれぞれ菌の生物型が異なります。(羊は2種類ある)
今回問題のブルセラ・カニスは、ヒトには感染した犬やその排泄物から
犬には感染した犬の尿・流産胎児・悪露により汚染された食べ物や
自然環境から感染します。
とくにやぎと羊からうつるものが危険度が高いです。
世界各地で発生があり、日本では飼い犬と野犬の5%以下
が感染しているのではないかと言われています。
多くの犬は無症状ですが長期間に渡り菌血症が続き
尿中に菌を排泄します。メスは妊娠45〜55日で流産
オスは精巣上体炎やタマタマの萎縮などを起こします。
ヒトは1〜3週間の潜伏期を経て一定の発熱期と
微熱または平熱期を交互に繰り返す波状熱を示し
便秘・頭痛・悪寒・関節痛・筋肉痛・心内膜炎・肺炎・髄膜炎・
リンパ節や脾臓や肝臓の腫脹・精巣炎など。
重症であれば入院治療になりますが
軽症で通院だけであっても、最低6週間かかります。完治はします。
ただし上のリンク先にも書かれていますが、
闘病中で免疫力の弱っているかたは要注意です。
で、これは犬からうつるブルセラカニスではなくって
重くなりがちな羊さん由来のブルセラの症状です。
さてさて、冒頭に書いた“私たちにも出来ること”ですが、
近頃話題になったものといえば発症したら死ぬしかない狂犬病から
この比較的軽症で済むことの多いブルセラ症まで
世の中にはたくさんのヒトと動物の共通感染症があります。
どれも普通の衛生観念を持ち、普通に暮らしている分には
あまり恐れる必要のないものばかりですのでご安心を。
多くの繁殖場崩壊でもおわかりの通り、
やはり数が多ければそれに比例してさまざまな問題点が増えます。
今回の大阪では245頭もの犬が繁殖犬として生かされていました。
詳細は →
wan life活動日誌 衣食住のうち、犬には普通衣は不必要ですがそのほかに人間との密な
コミュニケーションが必須なことは愛犬家なら誰でも知っています。
繁殖場の犬は文字通り、ただ生きているだけです。
発情期ごとに交尾を強要され、子を産まされ、
あっという間に子犬はどこかに持ち去られてしまいます。
その子犬はどこに行くのでしょうか。
競り市場を経由してペットショップの店頭に並んだり
ネットオークションで売られたりして
皆さんのお手元にパートナーとして到着します。
大小様々な病気を持って。
大きいものは無論遺伝性疾患です。
小さいものは寄生虫などでしょうか。
子犬の大量生産は、この上なく間違っているやり方です。
この大阪のように大規模でなくても、数十頭の中規模繁殖場では、
いくら繁殖者本人が良心的ブリーダーを自称しても
現実に多頭の管理に細かく目が行き届かないのですから危険度は同じです。
実は多頭飼いには公衆衛生の知識も必要なんですよ。
感染症にはどんなものがあるのか、その予防法は、治療法は、など。
獣医じゃないから知りませんでしたでは済まされない、
社会に大きく迷惑をかけることに発展する可能性もありますものね。
ですから化製場等に関する法律ってのがあるんです。
自治体によりますが概ね10頭以上の犬の飼育には適用されます。
買う人間が存在するから、犬の大量生産が存在します。
飼い主のかたはどうかこれ以上は生産者不明の子犬を望まないように。
中〜大規模繁殖場の経営者さんたちは、感情論だけで済まさずに。
自称ブリーダーの皆さんにも様々な専門知識の切れ端の吸収を切に希望します。
手始めにこんな施設も見学してみてからブリーダーを名乗ってみては。
動物衛生研究所¥
[タイトル] 新編 家畜比較解剖図説〈上巻〉
[著者] 加藤 嘉太郎山内 昭二
[種類] 単行本
[発売日] 2003-03
[出版社] 養賢堂
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まだゼロですが(^^;
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