2017年11月06日

毛色のブラック&タン

犬の毛色を決めるのは色素遺伝子でして、
犬の色素遺伝子は基本的に全犬種共通です。
「基本的に」と言うのは、別の因子の作用で同じ因子を持っているはずでも、
犬種によって何の因子を持っているかが違うから結果も違って見えることと、
グレデンのハルクインやサルアフのグリズルのような犬種独特の因子が稀にあるからです。

たとえば先日記事にしたラブラドールはAシリーズが不明な犬種でした。
Aシリーズとはユーメラニンとフェオメラニンの分布域と分量を司っておりまして、
ay  アグーチイエロー 言うなれば「茶色」、ほぼフェオメラニン
aw アグーチワイルド 毛の1本ずつに分布域、基本的に根元がフェオで毛先がユー
at  アグーチタンポイント ブラック&タンのタン
a  レセッシブアグーチ フェオなし、ほぼユーメラニン

っということが現時点ではわかっていますが、
ラブはKシリーズが顕性のKB固定の犬種なので、Aシリーズが何であっても、
顕性に働く黒一色で塗りつぶしてしまうから不明なのであります。

黒ラブもチョコラブも黄ラブも、まずは「黒一色で塗りつぶし」てるんですよ。
ちょっと不思議かもしれませんが、この部分を越えたら未来は明るいからがんばって。
塗りつぶした黒を黒のままにするかチョコにするかをBシリーズで決めて、
黒かチョコのユーのままかフェオで再度塗って黄色にするかをEシリーズが決めるのです。
明るい未来って犬の?いいえ、毛色を学びたいアナタのです(笑

Kシリーズは
KB  ドミナンブラック
kbr  ブリンドル
ky  ノンブラック

の3種類で、世界のあちこちで全犬種対象のKシリーズ遺伝子検査があるんですが、
どこのラボでも結果はKB/KBとKB/kyとky/kyしかわからないという、
わかるようでわかりにくい不思議な事態になっております。
ブリンドル因子が間違いなくココにあるのに存在の検出方法を誰も知らないという。
まあ方法がわかったとしても別にノーベル賞とかもらえないですから、
のんびり調べてるうちに新説とか出てくるかもしれませんね。

で、ブラック&タンの&タンです。
ブラックの部分はレバー(チョコ)、ブルー、イザベラの場合がありますが、
ブラックが数的に一番多いだろうから例にあげています。
タンの部分も同じくゴールドやイエローやクリームの場合がありますが、
ブラック部分同様、「それ以外の色は無い」点にご注目ください。

ブラック&タン以外でも色が2色以上ある場合は分量の多い方を先に書く、
のが犬の毛色表記の決まりです。
だからタン(この場合は茶色系という意味)&ブラックはふつうありません。
なぜならそんな毛色の犬はいないから。
なぜいないのかったらそんな配色になる色素遺伝子が存在しないからです。
クリーム&チョコの犬っていないでしょう?タン&ブルーも。

ついでに、&タンのタンポイント(タンマーキング)は、
上に書いたとおりユーメラニンとフェオメラニンの分量を決定する因子なので、
それ以上に別のユーまたはフェオが入り込む隙がないんですよ。
つまりブラック&タン&ブルーとかイザベラ&クリーム&タンなんかが存在しないわけ。
SシリーズやMやRシリーズはそういう意味では「上書き」の性質ってことですね。


追記1
別件で、ネタ探しの途中でお見かけしたブログ
自分用コメントの覚書
http://inunopoti2.tenkomori.tv/e402186.html

追記2
ヒルズさん、たぶんそれ間違い。ガッツリ間違ってるように思える。
http://www.hills.co.jp/dog/dachshund/type/index.html
hills.jpg
間違い1箇所どこかわかるかなー?





11月のバナーがアルパカな意味が何年経ってもわからない

posted by あきこ at 20:00 | Comment(4) | 毛色の遺伝 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月20日

チワワの色素遺伝子

[毛色遺伝子] ブログ村キーワード


チワワだけは遺伝の仕方が違うというブリーダー(全体的に大爆笑)がいますが、
チワワもちゃんと遺伝の法則にしたがって生まれてます。

file000996208976.jpg


対立遺伝子の種類が多いからチワワはいろんな毛色があるんですよ。
頭数が多めで知名度の高い犬種では最多でしたっけ?毛色の数。
久々なのでいろんな意味であやふやです。
間違っている箇所があれば都度直しますので賢いかたはご協力ください。
以下はあくまでも基本です。

チワワの色素遺伝を知りたい人のための入門編

Aシリーズ ユーメラニンとフェオメラニンの分布域
ay  ay/ayというホモ接合でレッド
aw  ホモ接合とヘテロ接合上位でバンデッド、ヘテロ接合下位ではブランケット
at  ホモ接合とヘテロ接合上位で「&タン」、ヘテロ接合下位ではシェード、グリズルの条件その1
a   ホモ接合のみユーメラニン100%

awがフォーンの基本かもしれない。でもあまり真剣に考えたことがない。

Bシリーズ ユーメラニン
B   黒
b   レバー(あるいはチョコと呼ぶ)

Cシリーズ フェオメラニン(の濃淡か?)  ※このシリーズは遺伝子未確定
C   作用せず
cch  ホモ接合時のみクリーム
ca   ホモ接合時のみアルビノ

※アルビノも含め暫定的というか仮のものですこの座。

Dシリーズ ユーメラニンの希釈
D   希釈しない、作用せず  
d   ホモ接合時のみ希釈する、ブラックをブルーに、レバーをイザベラに

※フェオメラニンには作用しないのでブルーフォーンのようなわかりにくい毛色になる。

Eシリーズ メラニンの分布域と分量 色素ポイントに影響大
EM  ブラックマスク
EG  条件が揃った時のみグリズル
E   ユーメラニンの拡張
e   ホモ接合時のみユーメラニンを制限しフェオメラニンにしてしまう

Kシリーズ ユーメラニンの分布域と分量
KB  Aシリーズに対して顕性でフェオメラニンはすべてユーメラニンへ
kbr  ホモ接合かヘテロ接合上位のみブリンドル
ky  ホモ接合時のみ作用せず、グリズルの条件その2

Mシリーズ 両メラニンの色素を抜く
M   メラニンをランダムに切り継ぎ、両メラニンともに作用
m   ホモ接合時のみ作用せず

Sシリーズ メラニンの別なく白斑が覆う
S   不完全顕性の可能性。一応ソリッド因子
si  ホモ接合とヘテロ上位接合時アイリッシュマーク配分
sp  ホモ接合とヘテロ上位接合時パーティーカラー配分  
sw  ホモ接合時は全身の毛がほぼ真っ白

アイリッシュマークとパーティーカラー配分は因子1つだけだと胸や四肢の先に小範囲に白。
swもおそらく同じように出ると思われる。

-----
リクエストくださったかたへ
現時点でワタクシが把握できている分なので間違いがあるかもしれません。
が、ミスがあったとしても大筋は変わらないはずです。はず。

このほか「Gシリーズ」「R(T)シリーズ」はワタクシがよくわからないので外しています。
「退色」と「ローン柄(ティッキング)」シリーズなので後回しでもなんとかなるし。
また、上記のうちCシリーズとSシリーズの遺伝子の正体が現在ではまだ不明です。
なので今後外国の研究者さんたちによって内容が変わる可能性があります。
が、他の因子もそうだったように大まかな考えかたはそんなに間違いがないと思われます。

というわけで上記にあげた各遺伝子座の対立遺伝子はこういうのがあるという紹介ではなく、
「チワワという犬種内に存在していると考えられるもの」です。
ね?ラブと比べたらその違いがよりわかるでしょ?
チワワのリクエストを出したらラブを書かれて内心困ってませんでしたか?(笑
比較のためだったのでした。

このようにチワワは対立遺伝子の種類が多いので、毛色が豊富な犬種なのです。
ただし1頭のチワワが対立遺伝子をたくさん持っているのかと言うと、
当たり前ですがそういうことはなく、他のすべての犬種や雑種と同じように、
1つのシリーズにつき因子を2個持っていて、その組み合わせで表現型が決まっています。

書かれていたように「ダックスは毛色遺伝がよく知られているけどチワワは不明」とは、
「そのチワワ鰤さんの認識」が不明になっているだけです。つまり知らないだけ。
自分がわからないからチワワは他と違うから難しいとかって言ってるだけ。
チワワもちゃんと遺伝の法則にしたがって生まれてますよ(笑
それにしても「なに色でも許される」をはきちがえた馬鹿者ばかりなので、
マールを早めに非公認毛色にしたのは唯一GJでしたねJKC。




病気がちじゃない2キロ未満のちわわってあのウルウルのCM以降なんびきいるんでしょねー?
posted by あきこ at 20:00 | Comment(4) | 毛色の遺伝 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月19日

ラブラドールの色素遺伝子

[毛色遺伝子] ブログ村キーワード


リクエストをいただきました。ネタ提供ありがとうございます。

ラブラドールレトリーバーはご存知毛色が3色の犬種で、
犬の毛色の遺伝そのものを考える際の入門編として知られています。
チョコラブの配列は「bb EE」か「bb Ee」ってやつです。

2800858_1124461838_90large.jpg

参考写真;いわゆるダッドリーイエロー b/b,e/e
かなり前に毛色説明時用に使用許可をいただいた写真なのでこのコももうお空の上かな。


BシリーズとEシリーズの組み合わせ図を使った説明を長く公開されておいではこちらさま。
C.K.Beck犬舎さんのチョコラブのコートカラーのページ
http://www.eonet.ne.jp/~ckbeck/chocolate1.html

そして文字だけですが非常に丁寧な説明のサイトはこちら。
http://mixi.jp/view_bbs.pl?comm_id=4312220&id=44162750
超お勧めなのは身内びいきだけでもないんですよ。
このヒトは犬の色素遺伝子を学びだすのにダックスから始めたんです。
いきなり上級編というか最終研究段階とでもいうべき究極の犬種(笑
(って笑ってるのはワタクシも同じだからです。笑うしかないよね)
だからこそつまづきやすそうなポイントが考慮されているので読めば読むほど親切なんですよ。

そんなこんなで、入門編は上記mixiや他の図説サイトで納得し終わったら、
BシリーズとEシリーズ以外の遺伝子座も一緒に頭に詰め込んでください。
ではどうぞ。


Aシリーズ 
両メラニンの分布域と分量を決定する座で対立遺伝子は4種類(全部潜性)。
ラブはどの因子があってどれはないのかが不明な犬種。
1種類だけなのか4種類すべてあるのかまったく不明。

Bシリーズ
体表のすべてのユーメラニンがブラックなのかレバー(チョコ)なのかを決める。
B 顕性因子なのでホモ接合でもヘテロ接合でもユーメラニンは黒のみ。
b 潜性因子なのでホモ接合時のみユーメラニンはレバーになる。

※Bシリーズは必ずどちらか一方のみが表現される。
「ブラック&チョコ」的な配色の犬が存在しない理由。

Cシリーズ
現時点ではフェオメラニンの補完と考えられる座で、
そうであるならラブは潜性のcch固定ではとワタクシは考えている。
ラブならばどのラブもcch/cchのホモ接合。

C座については遺伝子検査はまだできないので想像のみ。

Dシリーズ
ユーメラニンの希釈の座なのでラブは代々D/D固定の犬種。
ブルーラブ、イザベララブが存在しない理由。

Eシリーズ
対立遺伝子は4種類あるが、その中の2種類が犬種内に継がれている。
顕性のEと潜性のeの2種類。
EE 顕性ホモ接合。他シリーズで決定された両メラニンを後押しするような働き。
Ee ヘテロ接合。働きはEEと同じ。
ee 潜性ホモ接合。他シリーズで決定されたユーメラニンをフェオメラニンに変えてしまう。

ブラックマスクのラブがいない理由。

Kシリーズ
ラブの毛色は3色あるが柄や模様のないソリッドカラーのみ。
ということは顕性のKB固定という証明になる。KB/KBのみ。
ブリンドルやブラックタンがいない理由。
片親がラブの雑種は相手の犬種が何であってもKB/*を持って生まれるので基本ソリッドが多くなる。
片親がラブの雑種にブラックタンが出にくい理由。
たとえば黄ラブ×ゴールデンレトリーバーで黒が生まれる理由。

不思議に黒毛の雑種が目に付く感じの検索ヒント
Popular Labrador Retriever Mixes で画像検索。ポピュラーは無くてもそんなに変わらないかも。

Mシリーズ
犬種内にマールを持たないほかのすべての犬種と同様にラブはm/m固定の犬種。
マールがいない・マール柄のラブが生まれないということは、
マール(の遺伝子座)が無いのではなくて、
代々非マールの潜性(劣性)因子だけを子に伝えているから。

このことはマールの犬との間に簡単にマール柄のラブ雑種が何頭でも生まれるからそれが証明になる。
そして遺伝の法則を知っていればテストをしなくても充分正しい予測がつく。
毛色だけではなく性質や体質にも同じようにあてはまる。
それが育種。ブリーディング。ブリーダーがしていること。
増産業者や工場式裏庭生産とはそこが違うのにブリーダーならひとくくりに同じと広く思われている。

Sシリーズ
これも考えかたはマールなどと同じ。
ラブはSシリーズは代々S/S固定、だから白斑のラブがいない。ソリッドのみ。
ラブの祖先犬種セントジョンズウォータードッグが四肢の先などが白い犬で、
その血がメダル(胸の白斑)となって時折現れるとされているが、
その祖先は500年も前の話なので、かなり苦しい言い訳に聞こえる。

S座の顕性因子は、不完全顕性か、あるいは不完全顕性ちっくに働くので、
たくさんの犬種に胸や四肢の先の少量のミスマークが存在している、
のかもしれない。ラブもそれと同じ。祖先の血は無関係なくらい薄れてるはず。

-----
以上、毛色の因子の話以外のラブについての諸情報はお手軽ネット検索を基にしています。
ので、もし間違っている部分があったらご存知のかたは教えてくださいね。



明日はチワワでこれやります

posted by あきこ at 20:00 | Comment(2) | 毛色の遺伝 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月16日

チワワの毛色遺伝のデマについて

[毛色] ブログ村キーワード

チワワの毛色遺伝の詳細サイトがそのうち誕生するかと思っていましたが。
やっぱ無理なのか。

・ブラックとブラックタンはまったくの別モノですよ

混同して説明しちゃってる鰤がーと情報をいただいたので。
ちわわのBLKとBLK&TNで考えられる配列

ソリッドブラック@ KB/* Aシリーズは全ての組み合わせ
ソリッドブラックA ky/ky a/a 
ブラックタン    ky/ky at/at のみです。

ソリッドブラックの@とAはおそらく見た目では判別できません。
因子が違うので呼びかたは@は顕性(優性)ブラック、Aは潜性(劣性)ブラックですが、
Aが潜性だから@より薄いとか白っぽいということにはならないはず。

「黒毛」が標準に存在する犬種は、たぶんどちらか一方が基本なんだと思います。
おそらく顕性(優性)ブラックだけ持つほうが多いとも思います。
潜性(劣性)ブラックの有名どころはGシェパとシェルティのバイカラー(黒白の2色)。
(シッパーキ、アメリカンエスキモー、プーリーもっと御用達に書かれていますが、
ワタクシにとってはそれらはモデルさんが側にいないのでよくわかりません)
ポメもそうだけどちわわはポメよりさらにもう1段階許されしカラーが多い犬種なので、
顕潜どちらも犬種内に存在してるっと前から思っております。ワタクシは。

で、それぞれの親犬や子から因子が予想が確定に変わることはありますが、
それを知るために必要なのは実際の犬の情報だけですから、
ブリーダー歴がどうとかはまったく関係ありません。
ちわわの鰤ってほんっと独特な人が湧きますよね。ロングが流行りだして以来ずっと。


・色素遺伝子は常染色体遺伝しかしないはずです

ネコじゃないんだし。
○○色の子が欲しけりゃ父犬が▽▽色で母犬が○○色を選べとか、
ひどいのは「そうじゃないと生まれない」的に書いてありますね。
母犬が▽▽色で父犬が○○色だと子は▽▽色になる〜だって。バカじゃねーの。

たまたまそういうケースが続くことはそりゃあるでしょうが、
常染色体が何なのかをふつうに把握すれば誰にだってわかりそうですが。
カラー遺伝子に相性がある???競馬ゲームのやりすぎだっつの。


て感じで少し事情があって、その流れで他も見てみたくなりまして。ちょっとご紹介。
「チワワの毛色 遺伝」とグーグル先生に聞きました。Q&Aサイト以外です。

ブリーダーのお店CanCanさん
(※URLが長すぎるので表示させずリンクさせています)
あらららら。全体的に無理しすぎです。
合っている箇所はありますが、頓珍漢な箇所が足を引っ張っているのでは。

☆【犬】毛色☆研究会コミュの【研究】チワワの毛色
http://mixi.jp/view_bbs.pl?comm_id=4312220&id=48617263
トピ主は知り合い(笑)です。
今となっては更新すべき情報もありますが書き込めば答えてくれますよ。
よかったらどちらさまもどうぞご利用ください。

チワワ専門ブリーダー マダム辻岡さん
なんじゃこりゃ(笑
URLも長い。
マールに関する情報は、残念なことに、間違ってしまわれていますから、あー。気をつけて。
毛色が非公認になったのは疾患のせい(笑)じゃありません。
原産国が雑種疑惑を宣言したからでしょ。

☆La.Noirさん
http://lanoir.web.fc2.com/keiro.htm
上記のマダムを「あほちゃうか?と思える記事」と書かれていてワタクシを笑かします(笑
内容は非常に正しいですしわかりやすいのですがちわわオンリーではないです。

☆Qoon [くーん]さんのちわわの毛色ページの一部
https://qoon.jp/I0002374?page=3
出たなまとめサイト系。
それよりもイイ感じの出だしなのにマダムの意見を参考にしちゃってます。残念。

☆ワンニャンホンポの生体入荷情報!!さんのブログ記事
https://ameblo.jp/air-0309/entry-11472012826.html
たまに引用してくださってますよね。今後もよろしくどうぞ。

☆パス。ってかデタラメひどし。自分の願望を事実と言い張るのは血なんでしょうね。

☆nuthouseさん「レアカラー」
http://www.nuthouse.jp/pg8.html
だからどうしてちわわ鰤はそんなにテキトーなの???なんだその強弱の法則(笑




天界のちわわんたち、力不足でほんとすまん。

posted by あきこ at 20:00 | Comment(0) | 毛色の遺伝 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月28日

劣性カラーを持たない犬は健全か?

というタイトルどおりの調べ物をして当ブログにお越しくださったかたが、
もしかしたらいたかもしんない雰囲気。

まず「劣性カラーを持たない」だと言葉がちょっと足りない可能性があるかもです。
おそらく劣性カラーの因子を持たない犬、と言いたいのではないかと感じられました。
自慢じゃないけどワタクシはその答えを知っている数少ない日本人ですから、
お悩み中のかたのお役に立てるよう張り切ってお答えします。

いません。

存在しません。


なぜなら犬の色素遺伝子はこのカテゴリの過去記事でも複数紹介していますが、
基本的に全犬種に共通のものでして、対立遺伝子に優性因子がない遺伝子座があるからです。
アグーチルーカス Agouti locus Aシリーズですね。ASIP アグーチシグナルプロテイン。
ワタクシ自身が世界中の犬を知っているわけではもちろんありませんが、
現時点では、すべての犬は24番染色体にAシリーズを持っており、
そのAシリーズの4種類の対立遺伝子はすべて劣性因子、と考えています。
※NCBI(英語)染色体地図など https://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/492296

英語だけど表見るだけでも参考になるサイトを紹介しておきます。
アメリカとイギリスの両方にラボを持つ犬の遺伝子検査の老舗 Animal Genetics社
A-Locusのページ
http://www.animalgenetics.us/Canine/Canine-color/ALocus.asp


そんなこんなで劣性カラーが気になるアナタはひょっとしたら、
さては「劣性」を「よくないもの」と捉えてしまっていませんか?
そう単純に言い切ることはできないのです。

たとえばAシリーズの他はMシリーズが優性Mだとマールで劣性mが非マールなので、
個体の健全性と色素遺伝子の関係の話では劣性因子の非マールのほうが「良い」と言えます。
ほかの座では多くは優性因子が野生型で劣性因子は変異型だから、
優性因子のほうが当然のように色濃いんですがね。

マールに限っては優性ホモ接合MMだとダブルマールなので、
ほとんどの場合とんでもなく不健全な犬になってしまうんですよ。

参考画像
450px-Aussie_double_merle.jpg

オゥシーのダブルマールちゃん。見た目はキレイな白っぽい犬だけど視聴覚障害アリ


CatahoulaRedWhitePair_wb.jpg

ダブルマールメイティングがよくあるわりに不健全なダブルが出ない?
よくわからない(ワタクシがわからないだけ)シングルマールのカタフーラ母子


最後の子は見た目のおめめがちょっとヤバイんで配慮してサムネイル表示
Dogge_Merle_homozygot.jpg

3枚ともすべて出典;Merle (dog coat)(ウィキ英語版)




posted by あきこ at 10:43 | Comment(2) | 毛色の遺伝 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年02月16日

毛色遺伝子の優先度 2


犬の毛色の遺伝の話の取っ付き難さについて。
Aシリーズがアグーチで劣性でBシリーズはチョコ(レバー)か優性の非チョコで、
といきなり記号込みで優劣を語られてもなんのこっちゃと思う場合、
なんかわかりやすい図解があればいいのにと嘆いたことはワタクシもありました。
なのでウインドウズのペイントで作ってみました。(お手軽ー)
2014年01月22日の記事 毛色遺伝子の優先度などと合わせてご覧ください。

※※すべての記述において省略していますが「基本的に」「だいたいそんな感じみたい」
を頭にもお尻にもくっつけてお読みくださいますよう。
また、実際にこの順番で胚の発生が進むわけではありません(んなこたそもそも知らんがな)。
あくまでも理解の一方法としての提案でございます。


毛色遺伝子影響順.JPG


1番。まずAシリーズでユーメラニン(黒)とフェオメラニン(茶)の分布域を決めます。
4種類の対立遺伝子はどれも劣性の因子ですが、その劣性因子に優先度が決まってます。
ay ほとんどフェオメラニン
aw 1本の毛がしましま。根元(肌に近いほう)がフェオメラニン、毛先がユーメラニン
at タンポイント部分がユーメラニンで残りはフェオメラニン
a  最劣性で全身ユーメラニン、黒い犬になる(外見上のKシリーズとの区別は誰にもつかない)

横道:Aシリーズで決定された分布域のうち、フェオメラニンの明るさをどうするかCシリーズが関与。
C もともとのフェオメラニンのまま、茶色のまま(例 ダックスのブラタン)
cch フェオメラニンを薄くする、クリーム色  (例 ダックスのブラクリ)

2番。Aシリーズで決定された分布域のうち、そのまま従うか黒さを増すかKシリーズが関与。
KB  優性の黒、ドミナンブラック。Aシリーズで決められたフェオメラニン分布域さえも黒くする
kbr  ブリンドル。Aシリーズで決められたフェオメラニン部分に黒を増やす。増やし方は基本しましま
ky  Aシリーズに逆らわない、KとしてはAに何もしない

3番。Aシリーズで決定された分布域のうち、ユーメラニンの色調をどうするかBシリーズが関与。
B 黒い
b チョコ(レバー)色

横道:Aシリーズで分布が決まったユーメラニンのBシリーズの明るさをどうするかDシリーズが関与。
D  なにもしない
d  ユーメラニンを薄ーくする。ダイリュート、ダイリューション。
   黒のダイリュートはブルー、チョコのダイリュートはワイマラナーの毛色(イザベラとかライラックとか)

4番。Eシリーズは「拡張と制限」を担当していて、今までに決まったことを拡張したり制限したりの働き。
EM  ブラックマスク。Aシリーズで「顔面はだいたいフェオメラニン」と決めたのに、「いいや顔は黒くする」
   と言って(言わない)主に口元と耳にユーメラニンの分布域を勝手に増やす
EG  グリズル。この因子の持ち主は今のところアフガンとサルーキのみ
   (日本は別。ダックスやちわわにもある。ポメにもたぶんある。)
   EGはKシリーズがky/kyでAシリーズがat/atの時のみ富士額
E  今までにいろいろ決まったものにあまり手出しをしない(拡張するそうだがそんなにでしゃばらない)
e  最強。
  Aシリーズが黒と茶の分量を決めたりKシリーズがそれを覆して真っ黒にしたりがんばってるのに、
  Eシリーズの劣性因子 e がホモ接合するだけで( e/e )ユーメラニンを封じ込めてフェオメラニンのみにする。
  黒ラブ同士から黄ラブが生まれる、黒い犬同士から茶色やクリーム色が生まれる不思議はここ。

横道:Sシリーズはユーメラニンもフェオメラニンも分布も分量も無関係。
S  無関係じゃないね、やっぱ関係あるよねーごめんーと言う(言わない)因子。なにもしない。
si  どこが黒かろうが茶色かろうが襟首周りなどを白くする。絶対する。白毛は全身の2〜3割程度
sp  siと同じく絶対白くする。spが決めた部分を白くする。全身の4〜6割程度を白くする
sw  や、いっそのことほぼ白にしちゃうよボクはね、と言う(言わないってば)奴。全身の9割以上が白い

横道:Mシリーズは「メラニン」に対抗して勝つ因子。
最近発行された「よくわかる犬の遺伝学」/誠文堂新光社では「ユーメラニンの毛色だけを薄くする」と書かれてありますが毛色だけではなく、メラニンが関係する部分ならどこでも斑模様が出ちゃいます。わかりやすいのがM由来のブルーアイですね。
M  マール
m  非マール(マール柄毛色の無い犬種は基本的にみんな代々劣性m/mで遺伝してるんですねぇ)


さあ、いかがでしょうか。
こういう説明の仕方を他の人もしてくだされば、犬の毛色のマニアックさが薄まるのではと期待されま・・(笑

ワタクシなんて図をさらにわかりやすくするため色をつけてみましたよ。
毛色遺伝子影響順.JPG


え?もっとわかんない?おっかしいなぁぁあ。
だれかこの図を進化させてくんないかなぁ(涙





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posted by あきこ at 17:59 | Comment(7) | TrackBack(0) | 毛色の遺伝 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年01月23日

Eシリーズのe 後編


前の記事の続きで毛色遺伝子の e のお話。

犬の毛色(色素)遺伝子には優性遺伝するものと劣性遺伝するものがあり、
基本的には言葉の意味のとおりに親から子へと遺伝します。
遺伝とは親に似ているとか親と同じという意味ではなく
遺伝情報が親から子へ伝えられる事実を指しています。
白い子犬と黒い子犬が黒い親犬同士から生まれたら、どちらも親からの遺伝で誕生した、ってこと。
「優性」「劣性」という言葉と同様に思い違いしている人がけっこう多いです。
なんとブリーダーさんにも大勢います。

以前、年間100頭超の子犬を生産販売している自称プロブリーダーが、
子犬の顔が親犬のどちらにも似てないのは親からいろんなものが遺伝しなかったからだ!
と言い切った時もワタクシはカツゲンを吹いちゃいました(カツゲンいつも飲んでます)。
その自称プロさんは臍の緒の上手な切断処理に定評のある方でした(やっぱり)。
世の中そんなもんです。

えー、Eシリーズ最強説。
ブラックタンの犬を思い浮かべてください。犬種はなんでもいいです。
黒柴、ダックス、キャバリア、ちわわ、ミニピン、ポメ、プードル(ファントム)、
チワックスでもヨーチーでもマルシーズとかの一代雑種でも大丈夫です。
ワタクシはドーベルマンが浮かびました(耳は垂れてるほうが好きなんですが)。
atat dobie.jpg


ブラックタンはAシリーズがat/at、BシリーズはB/*、Cは今回無視してDシリーズはD/*、
そして重要なEシリーズはEM/*かE/*でKシリーズがky/ky。

at/at,B/*,D/*,EM or E/*,ky/ky
ってのが見た目でわかる「ブラックタンの犬」の色素遺伝子でして、
EシリーズはEMかEのどちらか1つがあることは間違いなく、EM/EMかEM/EかEM/eかE/EかE/eのどれか。
なぜなら、もしe/eだったらユーメラニンが制限されてフェオメラニンの一人舞台になる、
こんなふうに。
ee dobie.JPG

(ふざけてませんよ。真面目に塗りつぶしました)

Eシリーズがe/eな犬は一般的に「クリアレッド」と呼びます。
ワタクシはe-レッドと書いてイーレッドと呼んでay/ayのレッドと区別することもあります。
混ざり物のない、純粋な、Clear Red 、
ユーメラニンを制御したので毛先や差し毛が黒かったりしない赤。
赤ってか茶なんですけどね。
レッドとブラックタンが両方スタンダードカラーな犬種にはたいていe-レッドがいるみたい。
ミニピン、ダックス、キャバリア、ポメやちわわ、コリーやシェルティ、実はパピヨンとコーギーも。

優性ブラックKBはAシリーズの黒と茶の配分がどうであろうと真っ黒に塗りつぶし、
Eシリーズの最劣性e/eはその真っ黒を茶色に塗りつぶし返すんですよ。最強じゃね?
あ、SシリーズとMシリーズはさらにその上を行く形ですが、白斑とマールはどちらかと言うと柄物、
ユーメラニンとフェオメラニンを入れ替えるような働きはしないです。




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posted by あきこ at 23:17 | Comment(0) | TrackBack(0) | 毛色の遺伝 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Eシリーズのe 前編


昨日の記事の続きでEシリーズの劣性遺伝子 e について。

Eシリーズの対立遺伝子は4種類、優先度もこの順です。

EM  メラニティクマスク(ブラックマスク)
EG  グリズル(今のところアフガンハウンドとサルーキのみ特殊作用)
E   ユーメラニンの拡張(不完全優性)
e   ユーメラニンの制限

リトル博士がExtension座と呼び犬の毛色遺伝子の中で最も重要と考えていたEシリーズ。
なぜなら彼はKシリーズがあるとは思っていなかったので、各遺伝子座がそれぞれ表現してるのに、
E/EかE/eの犬とe/eの犬ではユーメラニンとフェオメラニンがひっくり返るだなんて、
驚くとともに「これだから遺伝は面白いんだ」と感じた・・かもしれませんすいません妄想でした。

さて、Eシリーズの原因遺伝子はメラノコルチンレセプターのサブタイプの1番、MC1Rだそうです。
レセプターは受容体、メラノコルチンとはメラノサイト刺激ホルモンと副腎皮質刺激ホルモンの総称、
色素のほかに体温や循環系や免疫機能の制御や調節にもざっと関わっていて、
犬は5番染色体、ヒトは2番染色体、マウスは12番染色体に位置するとゆー、
いろんな生き物の体内で多様な作用をになっているたんぱく質らしいです。

MC1Rが関連する毛色は馬とハムスターでもよく知られていて、
ゴールデンハムスターでは野生型E/Eに対し、e/eはキンクマと呼ぶ黒目のクリーム毛色、
馬では栗毛遺伝子ホモ接合型が栗毛、栗毛遺伝子2コにクリーム遺伝子1コでパロミノ(2コで佐目毛)と、
犬のe/eと同じようにユーメラニンを制御するように働くようです。

キンクマ(写真はウィキより)
escription	 "Peach" a pet Golden Hamster  Date	2 March 2007 Source	Taken by TetraHydroCannabinol Author	TetraHydroCannabinol


栗毛(写真はウィキより)
解説English: Hessian Warmblood Deutsch: Hessisches Warmblut 日付2011年2月13日原典投稿者自身による作品作者Krypt


パロミノ(写真はウィキより)
解説	 English: "Golden girl" – Horses (unknown breed, Isabelle or Palomino coloured): Mare with a foal, somewhere in Surrey, UK 日付2007年7月16日原典flickr.com 作者(a friend of) Kvetina-Marie


ユーメラニンを制御してしまう、つまり黒毛の発現を抑えて代わりにもう一つのメラニンを出す。
毛色部分の黒が抑えられちゃってほとんどありません。茶〜黄〜クリーム色のフェオメラニンばかり。
他のシリーズで決定されたユーメラニンをフェオメラニンに変更するのが e の仕事で、
劣性遺伝子なのでホモ接合(2コ揃うこと)でなければ表に出ない。

e/e犬の有名どころ4犬種も並べてみましょう。
いい夢見ろよ ゴル色またはゴールド
ee gol.jpg

ヨ、ヨダレヨダレ! アイリッシュセッター色またはレッド
ee Isetter.jpg

にょーん ビズラ色またはレッド
ee Vizsla.jpg

ちらっ イエロー(ひねりがなくてごめんよラブちゃん)
ee lab.jpg


これら4種は犬種によって(他の毛色遺伝子によって)濃淡の違いはあるけど基本的にみんな茶色系で、
ユーメラニンが限りなく抑制されていることがよくわかります。
え?わかんない?
じゃあ、この4犬種のEシリーズの特徴をあげてみましょっか。

ひげや眉毛は真っ黒かもしれませんが、体には黒い色の差し毛がほとんどありません。
e/eの遺伝子配列を持つ犬は色素ポイントが生涯を通して真っ黒ではなく、
生まれたてはピンク色の鼻をしていて数日から数週間でいったん黒い鼻になり、
その後だいたい年齢とともに鼻の色素が中央から抜けてゆきます。

成犬のパッド(肉球)は一見黒く見えますが毛をかき分けてよく見ると地面に着く部分は黒っぽくても、
パッドの付け根は肉が柔らかく色も薄めで使い込んだ部分だけが黒ずんでいるような印象です。
くちびる(ゴムパッキン部位)の色も鼻と同様に年齢とともに色抜けすることはありますが、
ほとんどのe/e犬の目のふちと爪は一生のうちの色合いがあまり変わらず「真っ黒ではない」色調です。

そろそろ寝なきゃ。
また明日ー。





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posted by あきこ at 03:03 | Comment(6) | TrackBack(0) | 毛色の遺伝 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年01月22日

毛色遺伝子の優先度


たまに思い出すようにしないと次から次へと忘れてしまうお年頃なので毛色話題。
犬の毛色遺伝子は今現在以下の12種類が基本になっとります。
「アグーチ」とか「ブラウン」てのは遺伝子座の名称、それと対立遺伝子、
その後の言葉は各遺伝子座の働きの説明(現時点でのワタクシの解釈)です。

1.A  アグーチ 1.ay 2.aw 3.at 4.a  ユーメラニンとフェオメラニンの分布域を決定
2.B  ブラウン 1.B 2.b  ユーメラニンの色調を黒かレバーかに決める
3.C  チンチラ 1.C 2.cch 3.ca  フェオメラニンの補完と希釈 ※原因遺伝子は未定
4.D  ダイリューション 1.D 2.d  ユーメラニンの希釈
5.E  エクステンション 1.EM 2.EG 3.E 4.e  拡張と制限
6.G  グレーイング 1.G 2.g フ ェオメラニンをグレーに変化させる(進行性) ※原因遺伝子は未定
7.H  ハルクイン 1.H 2.h  今のところグレートデンのみ特殊作用、ホモ接合は致死
8.K  優性ブラック 1.KB 2.kbr 3.ky  1と2はAシリーズの決定に優性
9.M  マール 1.M 2.m  ランダムに全身のメラニンに作用
10.R  ローン 1.R 2.r  霜降り状の細かい斑点
11.S  スポッティング 1.S 2.si 3.sp 4.sw  白毛の割合を決定
12.T  ティッキング  1.T 2.t  ローンと同じグループかもしれない

その昔リトル博士が毛色の解明をしていた頃、優性度合いはAから順と考えられていたのですが、
エクステンションの中身と優性ブラックの正体がある程度わかった現在では、
Eがおそらく最強(最強って)、その次に影響力が高いのがK、MとSはちょっと別物として一旦横に置いて、
E−K−A−B−C−Dの順で1頭ずつの犬の毛色が決まるんじゃないかなーと思われます。
このわかりにくい説明をフリーサイトからの写真でさらに混乱させてみましょう(鬼か)。

犬の毛色自体を決定するAシリーズに存在すると考えられている対立遺伝子は4つとも劣性ですが、
その中にも優性度があって上に書いたとおりay−aw−at−aの順で影響力が強い→弱い、です。

たぶん左から1番目と5番目がat/at、3番目と6番目がay/at、2番目と4番目がay/ay
at-ay Shelties.jpg


aw/aw
awaw husky.jpg


Aシリーズでユーメラニン(黒)とフェオメラニン(茶)の分布域を決める、
aはフェオメラニン0、ユーメラニン100、
atはタンポイント部分がユーメラニン残りはフェオメラニン、
awは1本の毛にユーメラニンとフェオメラニンが分布する(たいてい毛先にユーメラニン)、
ayはほぼフェオメラニン、てな感じで捉えてOKです。

その犬がAシリーズの対立遺伝子のうち何と何を持つかで黒と茶の配分が決まりました。
そたら次にAシリーズで配分されたユーメラニンをどうするかBシリーズで決めます。
Bシリーズはユーメラニンだけ担当してるので茶色い部分はそのままです。
なのでチョコラブならこうなります。

b/b
liver lab.jpg


Cシリーズはリトル博士からの流れによるとCがそのまま、cchはフェオメラニンを薄くし、caはアルビノ。
いろいろと解明されたら中身について語ることにしてDシリーズ。
Aで配分されてBで黒かチョコにされたユーメラニンを希釈するかしないか決めます。
このDシリーズは油断するとすぐ弱っちくなるようで、日本で生まれるブルー系の犬が、
よく毛吹きがイマイチだったりハゲちゃったり皮膚も弱かったりしますね。
だからかはわからんけど、Dシリーズはユーメラニンを薄めたりしないD/D固定の犬種が多いのか、
Dとdが混在する犬種ではdは傍流になりやすいのかもしれません。

d/d
blue staffy.jpg


さてここでKシリーズの登場です。
なんてったって優性ブラックなのですから、今まであれこれと決めたシリーズに対しても優性なのです。
本当はAシリーズがay/ayなので茶色い犬になるはずがKB1つで黒い犬になるというそこそこの強さ。
優性ブラックKシリーズの対立遺伝子KBは優性なので1つだけで能力を発揮できます。

KB/*
KB Newfoundland.jpg


「*」と書いたのは、「なんなのかわからない」という意味で、Kシリーズ以外でもこう書きます。
KシリーズにはKBのほかにkbrとkyがあって、kbrは劣性の対立遺伝子でブリンドル、
kyは最劣性で、他のシリーズの邪魔をしないという性質を持っています。つまり作用せず。
1頭の犬が持つKシリーズの1つがKBであれば、もう1つがkbrでもkyでも真っ黒犬になり、
kbr2つならブリンドル、kbr1つとky1つでもブリンドル、ky2つで初めて「邪魔をしない」になります。
逆に言うと1頭のブリンドルの犬のKシリーズはkbr/kbrなのかkbr/kyなのかわからないということ。

kbr/*
kbr Greyhound.jpg


kbrともう1つが何なのかを知るには、この犬の両親犬やこの犬の子から確定できることはあるけど、
最劣性のホモ接合でなければふつうは1頭の犬の毛色を見ただけでは正確にはわからないもの。
たとえばフレンチブルドッグはブリンドルが基準カラーの1つですが、
ブリンドルの両親から生まれた同胎の犬たちが全頭ブリンドルだったとしても、
それだけでその犬たちが全部kbr/kbr決定とはいえないってことです。

ky/ky
fawn boxer.jpg


kbr/*
blindle boxer.jpg


ボクサーはフレブルよりさらにブリンドルとブリンドルじゃないのがはっきりしてて、
色調の濃淡はあれど基本の毛色はブリンドルとフォーンだけなので(白は別で)、
kbrの捉え方のモデルさんにおピッタリなはず。

以下の4点はボクサーの繁殖者に昔から伝わる言い伝え(笑)的なもの。
・ブリンドルはフォーンに対して優性
・フォーン×フォーンは100%フォーンが生まれる
・ブリンドル×ブリンドルからはフォーンも生まれる
・ボクサーではブリンドルを優性B、フォーンを劣性bと表してのパンネットスクエアが知られている

つまり現代風に訳すと、
・kbrはkyに対して優性(ボクサーのKシリーズはkbrとkyだけ、KBを種内から除外して固定された犬種)
・父犬がky/kyで母犬もky/kyなら生まれる子犬はすべてky/ky
・ブリンドルとはkbr/*なので、両親のどちらかか両方が「*」がkbrであればブリンドルしか生まないが、
両親とも「*」がkyなら子に継ぐのはkbr/kbrとkbr/kyとky/kyの3通り
・先人ブリーダーが毛色遺伝子の正体の科学的な判明前に仕組みを正しく理解して繁殖に役立てていた 

なのですねぇ。
勉強熱心な先人ブリーダーはどの犬種にもいるみたいで、
犬種ごとの独特な呼び名があちこちについてるのからもわかります。
(シェルティなんて「ヘテロセーブル×ピュアセーブル」ですよ!?ふつう意味わからんて(笑))
ところでそろそろ飽きてきちゃいそうな長さになってまいりました。
写真を探しながら記事を書いてるんでかれこれ2時間くらい経ってましてワタクシも飽きてきてます。
眠いことだし最強Eシリーズとその他については続くことにしましょう。

つづく。





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2013年12月23日

白色の耳と難聴


犬の毛色の劣性遺伝と劣性遺伝する遺伝病を混ぜるなキケン話のつづき。

2013年12月08日の記事 劣性カラー
に関するリクエストをいただきまして小躍りしながら書いてます(書きにくい・・ちょっと盛ってる)。
みき(授乳中)さん、ありがとうございます。んっちゅーキスマーク

「犬の劣性遺伝する遺伝性疾患は、毛色因子とはまるで関わりがない」は、
小さい字でこっそり書いたとおり正しくは「基本的に無関係」で、
爪の色が白かったり鼻の色素が薄く肉色(一部か全部がピンク色)だったり毛色がクリーム色だとしても、
爪も鼻も毛色も真っ黒な犬より遺伝病が出やすいことはない、です。

ラブラドールの色違い3頭のうち色合いが薄いイエローの遺伝性疾患のリスクは黒とチョコと同じ、
全身白一色のちわわと黒一色のちわわが持つ遺伝病因子の内容の毛色による差は無い、
同胎兄弟のダブルダップルダックスとブラックタンダックスの両親がPRAクリアであれば、
ダブルダップルがPRAを発症する確率はブラックタンと同じでゼロ。という意味です。

マールやダップルの白い部分が耳にくると難聴が多いのも、基本的にはそれと同じ。
犬の難聴の原因は少なくとも難聴になる遺伝子と症候群性と内耳の蝸牛のメラニン不足問題が知られていて、
「先天性遺伝性感音難聴遺伝子」が原因ならどんなに黒々していても難聴となるそう。
犬の遺伝性難聴はずいぶん前からいろんな犬種で研究されていて、
2010年のオーストラリアンスタンピーテールキャトルドッグ(長っ)の、
50家系の聴覚障害のBAERテスト(脳幹聴覚誘発反応検査)結果では不完全浸透劣性と判断された模様。
(マニア向け;不完全浸透常染色体劣性遺伝とはメンデルの分離の法則にきっちりあてはまらない例で、
アフェクテッド同士から発症ナシが生まれてそれとキャリアー間の子がアフェクテッドみたいな)

症候群性は書ききれないのでウィキをチラ見してみてください。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%81%BA%E4%BC%9D%E6%80%A7%E9%9B%A3%E8%81%B4
これは対象がヒトだけどまあこんな感じです。
耳に関係ないところになんらかの原因があり、症状のひとつに難聴もある、的な。

スタンピーを含むオーストラリアンキャトルドッグの899頭(なぜあと1頭・・orz)の調査では、
顔面に白色部分のある、パッチ無しのメスの発症が高かったそうで、耳の色素については言及ナシ。
なぜかと言うとこのケースが「内耳の蝸牛のメラニン不足」にあたるわけで、
その前に「内耳の蝸牛」とはなんぞ。
いつものステキな図をここで載せたらめんどくさい話がますます混乱するといかんので、
やさしいワタクシは良いリンクを探してきました。ふふん。

子犬のへやさん 犬の体図鑑 犬の耳・聴覚 
耳の形の説明の次の、犬の耳の解剖図
http://www.koinuno-heya.com/zukan/hearing.html

ね?耳そのものよりも顔面のほう、目の周囲が近いんですよね。蝸牛。
耳が白いことが原因で難聴になると言われているのは日本ではおもにダルメシアンとダブルマール、
話を難聴に限ると実はポイントは耳ではなく顔だったということになりそうですね。
キャトルドッグたちは霜降りの細かい水玉ローン柄がじゃまくさいので白いと思いにくいけどね。

顔の表面までメラニンが作られなくても内部には届いてる可能性はあるしそれは見た目ではわからんから
顔のそのへんに色素がないことと蝸牛のメラニンがうまいこと発生しないのはイコールではないけど、
ダルメシアンでは首から上に必死のパッチがあれば難聴でない確率が断然高いと昔から知られているし、
内耳にメラニンが行き渡らなければ顔面にも当然色素が無い、と考えることができそうかなと。

ここまで書いてなんのカテゴリだかわかんなくなってきましたが、
首から上に白色が多い2色以上の犬は、体内のメラニンの分布の影響で難聴のリスクが高まる、
しかしその原因を毛色遺伝子に求められないケースのほうがおそらく多いだろう、
そして劣性遺伝の遺伝病と毛色因子はほぼ無関係と覚えて大丈夫です。





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