2018年08月17日

「避妊去勢は飼い主のエゴですか?」

1つ前の記事のその後編

2011年5月にトピック作成してみました
同じくmixiの“ミニチュアシュナウザー愛好会”コミュニティ

総コメント数61の全ページ表示のURL ※量的には小分けとほとんど変わりなし
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=62728750&comm_id=14883&page=all

上と同じトピック コメント数50件ずつ表示スタイルの先頭
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=45918543&comm_id=14883&page=1&from=first_page


飼い犬の避妊去勢を不自然だからしないと考える人々に、
犬は人間とは違って発情と生殖行動が常にイコールな動物だから、
身体の機能を正常に維持したままで周期的に発情するのは放置?
って矛盾してない?と聞いてみても誰にも伝わらなくて苦笑。

なのでまとめ直してみました。
(mixiのトピックは別に読まなくても支障ないです)

犬の不妊手術は不自然だからしない・したくないといったお考えをお持ちの方、
よければもう少し詳しく教えてください。

・避妊去勢が飼い主(人間)のエゴであるならその理由
・愛犬のために不妊手術をしない擬人化ではない理由
・不妊手術ナシ繁殖制御が自然と考える理由
・不妊手術の主目的は病気予防ではなく繁殖コントロールでは


ワタクシはそこそこな人数の方々とこの件について会話をしていますが、
(会話?議論?微妙・・)
不要な臓器は無いはずだとか言って未不妊状態を自然っと仰る人から、
浅慮じゃなく無知じゃなく思い込みじゃない意見を聞けたことがないのですよ。





   ブロラン

posted by あきこ at 21:30 | Comment(0) | 不妊処置−避妊と去勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月18日

デメリットの皮膚病も根拠ナシ

[去勢避妊] ブログ村キーワード

話題がホットなうちにまとめておくほうがよさそうですね。
心の友よ。ネタ提供に感謝だわ。

「去勢手術後に皮膚の状態が変化した(悪くなった)」と思える例に対しての意見。

ネット検索してみたらガセネタの氾濫っぷりに驚きました。
ひどいわこりゃ。どこもかしこも。
避妊去勢のデメリットを調べようとしている人が騙されるのも無理ない。
無理はないけど冷静に考えてみて。
お医者さんじゃないんだからホルモンの何もかもを知れなんてもちろん言わないけど、
「医学的根拠が有るのか無いのか」くらいは気にしようよ。

-----

避妊去勢をしたせいで皮膚病になる的に書いているサイトが現在多数ありますが、
獣医学的根拠が何も示されていずただの噂レベルの憶測によるものだったり、
別のサイトに書かれてある文章の一部をコピペしたようなものだったり、
主に腫瘍が原因のアンドロゲン過剰やエストロゲン過剰状態による性ホルモンバランスの乱れの病気の例を勝手に避妊去勢に置き換えたアタマの悪い創造だったり、
果ては卵巣と子宮を取り違えているのに気づかず尤もらしく説明してみるなど、
残念ながらザンネンなサイトばかりが目立っていますね。
ページ内のその他の部分はそれなりに正しい情報もあるから余計タチが悪い。
(パナ爺氏のように全体的に偏っているとその意味では返って親切です)

あちこち読んでこの問題の原因は素人考えのこじれだと思われました。
ほら見ろだから浅慮だと何度、、っと言いたくなりますが、
や、でも、このブログよりもずーっと本格的っぽいデザインのサイトばかりだから、
あっちやそっちに書いてあることが本当っぽく見えてもしかたないね(笑

ひとつ例をあげてみましょうか。
「犬のホルモン性脱毛」で検索。
上位ヒットしたサイトはペット生活さん。獣医師監修っとデカデカと書かれていますね。
必要箇所のみ引用します。
http://pet-seikatsu.jp/articles/55848
犬のホルモン性脱毛症の原因について
性ホルモンによるもの
先天的な卵巣異常、もしくは後天的に起こる精巣腫瘍や避妊去勢手術に伴うホルモンバランスの変化などによって性ホルモン分泌に異常が起こり脱毛が起こることがあります。
避妊去勢のせいで脱毛が起こる例があると書かれていますね。まことしやかに(笑
次にこちらをご覧ください。
光が丘動物病院グループさんの獣医師が書くブログ
http://makasetakunaru-kyoseitohinin.net/2970
ホルモンの影響による皮膚の脱毛。 それって避妊が原因なの?
動物病院で犬が「ホルモンの影響による脱毛」と言われた場合、精巣や卵巣を中心に作られる性ホルモンの病気を指していることはほとんどありません。
犬では性線以外の内分泌器官から分泌されるホルモンによる脱毛症の方が一般的だからです。

んね?素人考えのこじれでしょ?

えー。
話の流れで去勢メインになっていますがメスの避妊も大部分が当てはまります。
オス犬の去勢手術で極端に減少するホルモンとはアンドロゲンとテストステロンがほとんどで、
(正確にはテストステロンはアンドロゲンに属するステロイドホルモン)
男性ホルモンという言葉が一般的でしょうが犬の話なので雄性ホルモンのがいいかな。
まず大前提。
雄性ホルモンには「皮膚の状態を健康に保つ」、
みたいな作用がそもそもありません。

上記で紹介した獣医師監修じゃなく獣医師が書くほうでもこの説明がありますね。
少量の女性ホルモンも精巣から分泌されるそうですが元々少量なので割愛します。
精巣の他は副腎からも分泌がありそちらは去勢手術をしても当然影響はありません。

この副腎からも分泌されるという点が実は重要なポイントでして、
生命維持に直結する体調管理の面に必要な分は副腎から分泌されている、
のが常識と言えばいいのか当然と言うか当たり前田のクラッカーです。
生殖器(この場合精巣と卵巣)から分泌される分は、量は多いけれど使い道が生殖オンリーなのです。一応「基本的には」っとしておきます。

そして「量が多い」とは言っても四六時中分泌されっ放しではありません。
発情期が明確な動物は発情した時のみ性ホルモンが多量に働くんです。
メスなんかとくにそうですよね。発情サイクルによってホルモンに出る出ないがあるのに。
この説はその仕組みが全解明はされていませんがふつうに誰もが知っています。
科学的なことはわからなくても感覚的に世界中で長い間知られているのに、
近頃の日本の一部の犬の飼い主だけが擬人化や過保護をベースに大騒ぎ・・・・・・。

「ホルモンは生命維持に不可欠」を素人考えでこじらせると、
去勢で雄性ホルモンの分泌量が減少→バランスが崩れた!っとなり、
誰も彼もがまるで事実のように「ホルモンバランスが崩れる」と口にします。
元々ヒトの更年期の期間に分泌が増えたり減ったりを繰り返す「病的に不安定な状態」をバランスが崩れると表現しているだけなのに。
一度切除したらその後増減せず減ったままの状態の動物に対しては言葉が不適切だと早く気づいてください。
言葉が実は不適切だと前提そのものからして間違えて捉えている可能性があるので、
避妊去勢に反対だと言うなら尚更、自分の認識を客観的に見直してから再度ホルモンバランスについてを考えてみるといいですよ。
だって愛犬のために最善だから不妊手術に反対してるんでしょ?
それって揺ぎ無い根拠があるからなんでしょ?
だったらそれが浅きゃ意味ないじゃんよ。しっかりしなさいよ。



今日UP分の記事は別に用意してたのになぁ

posted by あきこ at 15:00 | Comment(12) | 不妊処置−避妊と去勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月06日

避妊去勢アンケート2017 6/6

全6回にわたってブログネタを頂戴いたしました今回の投票集計、
コメント紹介の最後は「すでに手術済みだ」の2件です。

・雌雄多頭の為と病気予防に当然と思いました。

仰るとおりだと思います。
アンチ避妊去勢(今回の無礼者の個人のHNではなく全体を指しています)さんなら、
「雌雄多頭の為」を「飼い犬の交尾も管理できないのか」と受け取る人もいますよね。
アホかっつの。
からだの機能的には正常な発情期を周期的に来させておいて、
その発情に関わる自然な行動すべてを不自然に止める、絶つ、邪魔する、etc
オマエもそうされてみろっつの。


・病気になるリスクをなるべく回避するためには去勢に賛成。家族として迎えたのなら健康を一番に考えるのが飼い主の義務。

しつこくてごめんなさいね。
じゃああなたが賛成しているのは去勢じゃなくて性ホルモン由来疾患予防手術じゃないの?
ってどうしても考えてしまいます。
コメント欄が狭いからとりあえず1個書いただけかもしれないってことは理解しています。
だからコメントをくださった個人宛ての私信じゃなくそう考える飼い主さん全体に。

それじゃあ、たとえば腫瘍マーカーのスーパー版みたいなのが将来発明されて、
性ホルモン由来の病気は99%の精度で早期発見できる!
みたいな世の中になったとしたら未去勢でいさせることを選択するのですか?
仮説ですよこれ。仮説ですけど早期発見&投薬治療で精巣腫瘍撃退、が可能なら?


飼い犬に幸せな毎日を送ってほしいという望みや保護者としての責任で、
○○をしたら避けられることに間違いないのなら取り入れようかと考えますね。
オス犬の去勢手術では精巣に関するすべての病気の発症を完全に防げます。
タマ(精巣)を取るんだから当たり前ですよね。

ほかには「男性ホルモンが長く多く分泌されることが発症の大きな原因になる病気」や、
「治療に精巣切除(去勢)が有効な病気」の発症をかなり〜ほぼゼロまで下げられます。
会陰ヘルニア、前立腺肥大、肛門周囲腺腫(腺がんも)が代表的。

それからワタクシもですがポメ飼い歴が長いと常識の、ポメはげ、
アロペシアエックスは去勢反応性皮膚炎とも呼び治療の手始めに去勢が提案されます。
未去勢犬が皮膚病になり去勢したらそこに反応して脱毛が改善する、っというものなのですが、
ネットで回り回るうちに「オス犬は去勢をするとハゲる」と逆を信じる人が出ます。

そして先日の英語長文サイトの表とはこれまた逆の説になりますが、
アトピー性皮膚炎も含むある種の免疫疾患、繰り返す外耳炎なんかもそう、
あと水頭症などの脳神経の病気が原因のてんかん、それ以外の原因不明のてんかん発作、
(ほかにもあるけど羅列してもしようがないので以下省略)
といった「病状になんらかの周期性がある」系のさまざまな病気では、
心身への多大なストレスを根本的に取り除く意味で去勢避妊が治療の選択肢に出てきます。
※もちろん対症療法です。ほかに治療の手立てがないケースなど
基礎疾患が重く去勢手術ができなかったり手術の影響が大きくない場合はもちろんあるけど、
手術をした後は発作が減ってきた、検査の数値が安定した、的な例も山ほどあります。

話は「病気治療」だけど、ヒトの目に見えにくい部分である心身へのストレスについて、
思いをめぐらせるきっかけになってくれるといいなぁと思います。
あ、あと、病気の話のこのあたりはそれなりに長い期間や多い頭数を見ているなどで、
一般飼い主にも正確なところを充分把握できる問題ですから論文は貼りませんよ(笑


最後に、ちょっとオトナの余裕で笑えるかもしれない話を。
このアンケートの結果のページの右上の図形、
今まで気にしたことなかったけど今はじめてよく見てみました。SS貼ります。
年齢別の色分けの色は固定じゃないので見るときそこ注意ね。
jyuv.jpg


こういうものに全員が年代を正直に入れるわけではないって知ってるけど、
それにしても、若者たちよ。
悩むことはいいとこだ。悩め悩め。そして経験を積むんだ!(←アラフィフの貫禄 笑
(ワタクシも設置時投票したはず。40代でデータに入ったはず)



正しい答えにたどり着くには時間がかかるってことか


posted by あきこ at 16:44 | Comment(0) | 不妊処置−避妊と去勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月04日

避妊去勢アンケート2017 5/6

ブログ復活したと思ったら更新される記事は去勢と避妊の話ばかり。
ごめんね、リアルタイムで読んでくれる人は飽きちゃうでしょうがもうちょい我慢してね。

さて。
「信頼できる病院が無い」

・デメリット(問題点) 術後、亡くなってしまった。獣医に原因を尋ねても思い当たらないなど言われ、信頼できる獣医がいない。

心のそこのさらにまた奥底からお悔やみを申し上げます。
手術前に悩んでいる段階の飼い主さんにはいろいろとお話もしますが、
愛犬が亡くなるということはこれ以上ひどいこともわるいこともないですから、
そのご経験になってしまわれたかたにはただただお悔やみを申し上げます。
コメントを入れてくださりありがとうございました。


「何が良いかわからなくて悩んでいる」
にコメントを書いてくださったかた、本当にどうもありがとうございます。
その後お悩みは解決されたことでしょうが、あなたさまのその疑問を、
ここで取り上げさせていただくことで他の誰かの助けになるかもしれない。
なので返信の形をとりながら皆さんのコメントをお借りしています。

・避妊することにより発生率の高まる疾患を懸念しています。

当ブログのこのカテゴリで何年間も同じことをお伝えしているつもりですが、

避妊手術が何かの病気の発生率を

高めることは無い
みたいですよ?

ってかあるわけないじゃんそんなん。昔っからさ。

そういうことが本当にあるのならもっと前に世界中でいろんな人が気づきますって。
人間でも動物でも医療に関することは基本的にそうでしょ?
まず先に事例がある。それで長年の経験で疑問だったことが科学的に明らかに、
というなら話はわかりますよ?それが物の道理だし。
「犬やほかの飼育動物を去勢避妊したら○○病になる」って無いでしょ?
基本的に。落ち着いてよく考えてくださいよ。
beth.jpg


で、そう誤解される根拠になってしまっているのは前記事にあげたような英語の論文だけど。
まずね、その研究をし過程と結果を論文に書いた獣医師・研究者本人は、
そりゃ現代の最新研究のように言う(冒頭に書く)に決まってるじゃないですか。
他の誰も気づいていない自分だけの着目点と新たな切り口、みたいに。
ってか、論文ってそもそもそういうものですよね。

後ろ向き研究なんです。単に。
他からの情報を翻訳して再利用するなら読みあげるだけじゃなく読み取らなきゃ。
(ワタクシ自身もさらに注意できるよう精進したいです。はい)
後ろ向き研究の否定ではないので誤解しないでくださいよ?
あまりにも表面だけを鵜呑みにした怪情報がネット上に出回りすぎているんです。

これ系の「犬の性腺除去の影響で発生したと考えられる病気、ほか」の説は、
ネットで読める言語のものは今回改めてかなり目を通しました。自分基準ですけどね。
獣医師とか獣医学博士とかもっとスゴイ肩書きの人が書く獣医学論文は、
今の時代はインターネットで閲覧することが可能です。一般人でも。
左サイドバーで未紹介の役立ちそうなリンクをいくつか貼っておきます。

Association for Veterinary Dermatology
http://www.wavd.org/

European Society of Veterinary Dermatology
http://www.esvd.org/

American Veterinary Medical Association
https://www.avma.org/Pages/home.aspx

J-Stage
https://www.jstage.jst.go.jp/browse
(最後のは玄関は英語ですが日本語の論文も多数あります)

自分で確認のためにネットでの情報に触れてみての結論は、
犬の不妊手術のデメリットとされる「不妊手術のせいで○○病になる」説については、
研究対象の頭数が多い英語圏での調査はほぼ全部が後ろ向き研究でした。やっぱり。
研究の是非を問うためではなく飼い犬への処置を迷う飼い主さんの状況把握の手助けのために、
後ろ向き研究についてブログ記事にしています。


英語をスラスラ翻訳できちゃう賢い印象の日本語のサイトがこれを発信していて、
余計にタチが悪いなっというのもこの件に関するワタクシの正直な感想です。
ネット上に残った情報はほぼないけれど、今はなくなったアノブログ。
アノブログがこの問題を無責任に広めたことに関係ないとは思えないですよ。
ほらこんなところにその欠片が残ってる<去勢のデメリット
https://matome.naver.jp/odai/2140522378147630601
外国語が得意なライターが多いからそれだけで鵜呑みにさせてしまい、、、、、、まあいいや。

-----

愛犬の不妊手術をどうしてもしたくないという考えは、
それはそれでいいんじゃないの?だって本人の考えでしょ?って思います。

ただし自分がしたくない理由を他に探すのは探し損になるよ、って何度も書いてます。
これくらいは理解してほしいものです。
いま現在、犬では不妊手術をしたことで発生する病気は知られていません。
逆に発症をほぼ完全に(確率としても)ストップできる病気は複数知られています。

いくつかの病気で罹患リスクがあがるかもしれないという研究は多数ありますが、
性腺除去による疾患発症確率の正確な研究は結局はいまだ存在しません。

ですので手術をすると以下の病気に罹りやすくなるという情報がネット上にありますが、
骨肉腫、甲状腺機能低下症、股関節形成不全、前十字靱帯断裂、リンパ腫、血管肉腫、肥満細胞腫、急性膵炎、免疫系の病気、他
これらは現時点では避妊去勢のデメリットにはなり得ません。
上記の病気と避妊去勢の関係性について科学的に解明されたことはありません。

つまり「骨肉腫やリンパ腫や血管肉腫だけは罹らせたくないから避妊去勢しないでおく」
と考えている飼い主さんがもしいたら、デマに流されちゃってるから気をつけて、です。

数少ないデメリットのひとつの肥満については前に書いた記事をどうぞ。
2011年10月26日  こんな時こんな症状 避妊去勢の素朴な疑問




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posted by あきこ at 12:34 | Comment(4) | 不妊処置−避妊と去勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月02日

勘違いに注意・避妊去勢のデメリット

日本語に訳して説明されているサイトを貶すようで腰が引けながら、、
わざわざ英語の長い論文を読みこんで厄介な病名も調べ、
自サイトにその紹介をされている人々と根底の原動力は同じつもりです。
悪意はまったくありません。視点は常に公平を心がけています。

和訳されているサイト管理者さんは不妊手術が悪いとはどこも言ってませんが、
そう誤解してしまう読者が発生してしまい、たまにうちに流れてきます。
せっかく縁あって流れてきてくれたのなら変に意固地になってないで、
公平な目線で自分の推薦論文を読み直してもう一度コメントくれりゃいいのに。

なのですがまあいいや。
先日当ブログにいただいたコメント内で貼られたURLをまずは再掲します。
http://www.dogsnaturallymagazine.com/three-reasons-to-reconsider-spayneuter/

英語で長文です。
ワタクシはまずは最初から最後まで読みます。読めと言われればまずは素直に。
で、読んで最初に浮かんだ感想は、これは元は論文形式だということです。
論文形式ならば「参考文献」がほぼ必ずあるものですがこのサイトでは省略されています。
この前の「後ろ向き研究」のようなことがこの話題にはつきものなので結構重要なのですが。

というわけで元論文を探そうと検索したら最初の1ページに和訳されたブログが出てきまして。
拝見した瞬間、和訳で太字になっている股関節形成不全と十字靭帯断裂を含む関節疾患が、
不妊手術のせいで起きる病気だと信じ込んだ人がうちにコメントをしたのだなと思えました。
(その後レトロスペクティブの訳しかたがPCのページごとの翻訳機能を使ったものだと感づいたので、高い確率で和訳サイトの表面情報を鵜呑みにしちゃった被害者さんと確信しました)
その人だって悪気なんかない読者さんだと感じていますよもちろん。

それからリンパ腫(リンパ肉腫と訳されているかも)、
血管肉腫、
肥満細胞腫、
という犬に発症が多い3種の腫瘍が並び、
「不妊手術した犬がたくさんこのがんになった、未不妊はちょっとしか罹らなかった」(大意)
という方向に文章は結ばれています。
不妊手術した犬がたくさん認知障害、行動障害、甲状腺機能の低下を患い、
不妊手術なんかしない犬がそういう病気に罹る確率はとても低い!とも書かれています。

股関節形成不全はもう説明疲れを起こすほど今までいろんな所で書いていますが、
たくさんの勉強熱心な飼い主さんたちが調べたり考えたりした結果、
生後7週などのあまりにも小さいうちに生殖器を除去すると悪影響が高そうだけど、
小型犬なら1歳、大型犬でも2歳には骨の成長は完全に終わるので、
成長が終わった後なら発症は不妊手術の影響があるとは思えない、が主流です。大まかに。

前十字靭帯断裂はこれが遺伝病だという事実が単に広まっていません。
ヒトでは事故で起こる断裂が多いからそのせいだとは思いますが。
ちなみにワタクシはこれも股関節形成不全も骨格等の遺伝の問題と捉えていますので、
避妊去勢は関係ない、というのが現時点での結論。

で、こういう表現は今までに他でもたまにありますが、失礼ながら要はこういうことですよね。
(ワタクシ的に有名なのが例のローラさんの論文)
第一に、ほぼ全部遺伝性疾患のリストに載っている病気。(訳者はそこまで確認していない)
次に、本文で不妊が推奨されていても訳されない、後ろ向き研究に関する記述なども詳細は和訳されないこと。(なので「よく読んでない」とコメントします)
最後に、つまり不妊手術をしなくていい理由の根拠がほしい人がこのテの英文を持ち寄る。
Always. Every time. Forever. いつも。

表面だけ見て不妊手術のせいで発生する病気があるに違いないと勘違いで思い込んで。
犬ではリンパ腫と血管肉腫と肥満細胞腫が遺伝性疾患と判明している例が多数ありますが、
そのことについてはどうお考えなのですか?って聞きたいよ。
ある病気の発症に強く作用する遺伝子の存在は見ざる聞かざる調べざるで、
性ホルモンが減ったときにだけその遺伝子が活躍するとでも思うのか???
どんな機序やねん
なんというアホな説をデメリットと信じているのか早く気づけばいいのに。



もう1つ。「避妊去勢のデメリット」検索で1ページめに出るサイトで、
上記の例と同じくらい和訳が完璧なものだから、
そのサイトの表面の情報だけを見て未不妊万歳って思い込んだ人が最低1人発生しています。

元サイトはこれ。英文の長文。
https://bmcvetres.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12917-016-0911-5

この表も上記からの引用です。
Table 2.jpg


表をまるごと翻訳してみました。
Table 2 訳.jpg


翻訳中にちょっとだけ興味深い現象が起こったのでお知らせします。
この表の「病名」は全部で12個ですね。
ワタクシは上から11個めまで辞書を見ずに訳せました。
つまり上から11個めまでは犬の遺伝病のリストに載っている遺伝性疾患ってことです。
最後の12個めだけがわからなかったのでWeblio 翻訳を使いました。
Pyometra (PYO) ⇔ 子宮蓄膿症ですってよ。

それから、統計学に明るい人なんかには当然のことでしょうが、
この表を見るときに気をつけたほうがいいとワタクシが思うポイントは、
まずは「Percent in study population」。
おそらく誤解されやすい部分だと感じたので直訳せずあえて「調査全犬中の有病率」にしました。
犬全体のパーセンテージではなくて「その調査をしたときの全体」に過ぎないですからね。
元サイトの「表1」に出ているように単に「この犬たちの来院理由の病名(診断名)を確認した」が分母になっています。保管されているカルテを見たんでしょう。

犬の不妊手術に関する後ろ向き研究を見せていただく際のだいじな注意点、
100頭なら100頭の子犬の飼い主さんを選んでから不妊手術や病気発症を追うのか、
病気になった成犬の不妊手術歴をチェックするのか、この違いは非常に重要ですよね。

一番上の「アトピー性皮膚炎」を例にとると、パッと見はとんでもない結果に思えます。
メスは避妊してしまうと発症率が9〜10倍になるかのような印象。「83」と「745」。
オスの数も含めた全体の「有病率が1.82%」です。
『犬全体では100頭に1.82頭の割合でアトピー性皮膚炎に罹るが、
避妊をすると発症率が跳ね上がる!?』
という誤解を招きかねないって話をしています。
この調査はカリフォルニア大学デイビス校の獣医学教育病院の記録ですから信憑性もあるし。

でも、よーく読んでみると、そこの病院に来た患畜犬が分母なんです。またもや。
そこの病院に来ないけどできれば一緒に調査したかった犬が100頭か100万頭かは不明。
患畜犬の頭数は90,090頭とかなり多いから公平な調査に感じられる、
けどよく読めば病院に来てくれた犬のプロフィールアンケートだったわけで。


もうどう〆たらいいのかわからなくなってきた大長編。
犬の避妊去勢のデメリット情報を他にご存知のかた、
いらっしゃいましたらどうぞ教えてくださいな。これでいいか。
あと、よく嫁。




犬ランキング


-----
2箇所の日本語のサイトを改めて晒す気はないんです。正直な所めんどくさいから。
でも1箇所めはコメント欄にURLを載せていますからそれ見りゃわかります。
2箇所めは子犬のへやさんです。
子犬のへやさんはとても充実した素晴らしいサイトです。

ただ、自サイトが常に検索上位にくるよう相当力を入れておいでなので、
相応の責任もついて回るもの、、っとワタクシは個人的に感じます。
翻訳内容は正しいし無責任に未不妊をヨシと書いたわけではない、
でも後ろ向き研究関連の記述はなく、不妊手術のせいで免疫系の病気発症リスクが高くなるのは事実だと書いてしまわれました。
>「逆に発症リスクを高めているという事実が明らかになりました」

間違いじゃないし嘘でもないんです。元サイトにもその記述はある。
だけど。

ワタクシの目には「ある部分の説明が省かれただけ」ですが、
未不妊万歳の理由を探している人にとっては勘違いを助長させるマイナス情報、、、、
になってしまっているのではないでしょうか。
参考 http://www.koinuno-heya.com/news/2016/december/19.html

おそらくね、「リスク」というカタカナ英語が、本来の意味と少しズレた使いかたをしていることに、
一般人は気づきにくいのだと思います。
「メタボ」までひどくはなくても誤認識に共通点があるんじゃないかと思ってます。

posted by あきこ at 18:26 | Comment(0) | 不妊処置−避妊と去勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月28日

避妊去勢アンケート2017 4/6

お知らせ
どうも「後ろ向き研究」が伝わりにくいようで以前の記事に追記しておきました。
後ろ向きな性格よね〜ってハナシじゃなくてそういう名称の研究方法が存在するんです。
ってか記事本文の文脈で読めば気付いて各自検索なりするだろうと思ってました。ふぅ。
2014年02月22日「避妊去勢の弊害???」です。
http://kotavi2002.seesaa.net/article/389394067.html
-----

2つ前の記事の続きです。(1つ前の記事の続きがあったらヤダ)

「繁殖の予定があるからしない」
に1件コメントをいただいていました。どうもありがとうございました。

・飼っている犬種が大好きだから、ドッグショーに関わったり、スタンダードを勉強したり…その犬種に関わるみんなの努力で、骨格も性格も健康的にも、本当に良い犬のみ残していけたらいいなと思っています。現実はなかなか厳しいものがありますが。


コメントをくださった時はブリーダーであったおかたでしょうね。
もちろん現在もそうかもしれませんが。
ちなみにグンマー大ファンなんです。ワタクシ。
愛する人々がグンマーで生まれたり育ったり住んだりしているので(うふっ


ワタクシ自身が以前他人さまとの会話でお相手にこう申し上げました。
ワタクシごときに乱繁殖呼ばわりされるのがそんなに不愉快ならば、
良い犬を生み出すことをあなたのブリーディングの理想にしないでください。
不幸な犬を作出しないことを夢として掲げ、絶対に叶えるぞというお心でいてください。

お相手のかたは1犬種のみを繁殖され向学心をお持ちで、
いわゆるトップブリーダーの先生&大先生との仲も良好で、
年間繁殖回数はやや少なめでデジイチ撮影の在舎犬の写真がキレイな、
その犬種の子犬がほしい一般飼い主さんには「ブリーダー」としてウケのよさそうな、
あー。
自らをシリアスブリーダーと名乗っておいでのかたで。

「呼ばわった」理由は、

(このブログを読んでくださるかたの中にはワタクシとのお付き合い(ワタクシのお守り?)が、
それなりに長いこともあったりしてこの話のでどころがピーンと来ちゃうでしょうが。
お相手のかたの名誉を事実以上に貶めないよう少々フィクション混ぜますが大目に見てね)

あー。「呼ばわった」理由は、その犬種をブリーディングしてるなら理解していて当然の、
犬の育種家としてブリーダーを名乗るなら知ってて当たり前の、
ある意味非常にポピュラーな遺伝性疾患を、、、、、まあバラ撒いたわけです。
悪気なく。

最初から悪意があってバラ撒いたわけではないらしいのですが、
遺伝性疾患だと知った後に何もしなかったのです。


ふだん犬の病気とは無縁なふつうの飼い主さんなら、
主症状は皮膚病のその病気は苦しむ犬を間近で見ないとわからないかもしれません。
でもブリーダーとして作出した犬がそうなってしまったのなら、わかった時点で、
すでに譲渡済みだからとか譲渡先が将来性のある若いブリーダーだとか病気を発症した犬の祖父母犬以上(の祖先犬)を作出した先生&大先生の立場がああだとかこうだとか遺伝じゃないかもしれないって書いてあるブログを鼻息荒く貼ってみたりとかキレてみたりとか(キレたいのは犬だわアホめが)・・・・・・・・・・





ふんがぅおおおおーーーーーーーーーーッ!!!!!!!!!!




・・失礼いたしました。
コメントをくださったかたへの叫びではありません。つい。

ま、このブログで病名を伏せてもいまさら意味がありません。
アカラスです。

「現実はなかなか厳しいものがある」には人として理解できます。
もうこのへんで自粛します。はい。


-----
後日談

ブリーダーって氏名とか簡単にポロポロわかっちゃうんですよね。
まあ動物取扱業者なんだし当然なんですよね。
それはいいんだけど久々にチェックしてみたら、取扱犬種増えてました。(え
上記の自称シリアスぶりぃだぁ。

(メイン犬種は伏せたままにしておきますが小型です)
メイン犬種のほかにちゃっかりトイプーの子犬も売り出してら。
プードル売り頃続いてるもんねー人気1位保ってるしー。
毛色は期待を裏切らない赤系。
赤系なら多少質ひくくても病気っぽそうでも何でも売れるから?

メインがトリミング犬種なら百歩譲ってプードル追加もまだわかるが・・・・・・。
総合するとヘドがでちゃいそうですわ。ちゃんちゃん。




なんのブログだよこんなバナーで 笑

posted by あきこ at 23:00 | Comment(0) | 不妊処置−避妊と去勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月25日

避妊去勢アンケート2017 3/6

1つ前の記事のさらに続きです。

「避妊去勢は不自然だからしない」に1件のコメントをいただきました。
誠心誠意お答えいたします。

・避妊去勢が全く何の影響もないということはないと思います。性ホルモンは犬の成長には不要なのでしょうか。

仰るとおりだと思います。
と言いますのは避妊去勢が犬のからだに全く何の影響もないということはないからです。
誰もが知るホルモン分泌の1点だけでも何らかの影響があるだろうことは当然予想できます。
当ブログではバカの一つ覚え的に登場する「外国の論文」は手放しでは信用できませんが、
ふつうに日本語で「思春期 性ホルモン」あたりで検索すればなんとなくメカニズムがわかる気がします。成長と性ホルモンの関わりが。
生物としての基本システムはヒトも犬もそんなに変わらないですからね。

それから当ブログではこれまでに一度も「去勢避妊は安全だ」的な発言はありません。
ワタクシはそんなふうに考えるわけがないから口が曲がっても言いません。
と言うかそんな説はほかでも見たことがありません。
あちこち調べて(勉強して)愛犬の不妊手術を決断された飼い主さんは、
不妊手術に伴ういくつかのデメリットより多数のメリットをとったということなんですよ。


ワタクシの能力ではうまく短くまとめられないのですがこういうことです。伝わるといいな。

まず。外科手術で臓器を切除することは「人工的」なことですよね。
自然か不自然かの自然ではなく自然か人工かのほうの自然。
それぞれ違う意味合いなのに犬の不妊手術の話をすると、なぜか皆さんごっちゃになるんです。
混ぜこぜにしないで考えられる人はいますが少ないです(ワタクシの経験からの印象)。

愛犬の不妊手術を納得済みで済ませているかたもぜひ今一度考えてみてください。
納得済みではあるけれど健康な臓器を取るのは本来は不自然とちらりと思っていませんか?
犬のお悩み相談サイトのようなところを見ていたらそう思えちゃって。
本当は「人工的」なことをしたのに心のどこかに「不自然さ」への罪悪感がある、的な。

この部分が最大の落とし穴になっているとワタクシには感じられます。

第2に、犬という生き物があまりにもヒトに近すぎて錯覚を起こしがちです。
種族として近いわけじゃなく心を寄り添わせ共感してくれる動物だから、
あと単に号令と行動を組み合わせて覚えるのが得意なものだから言葉も通じる相手という錯覚。
要は世界で一番擬人化されやすい生き物が犬で、つい擬人化してしまう飼い主さんがものっすごく多いんです。
(余談ですがワタクシなんてこれまでの人生でたぶん300回以上「擬人化」って書いてます。
「それ擬人化になっちゃってますよ」とか「してはいけない擬人化とするべき擬人化は〜」とか)

擬人化してませんというかたに簡単なテスト「不妊手術をちょっとでも不自然と思うか?」

つまり犬が繁殖期のある動物だということをないがしろにしているわけです。
別種の生き物なのにそこを見ていない。
人間である自分を基準にものごとを考えるのは別にいいんです。
それをそっくりそのまま別種の生き物に当てはめるのは間違いでしょ?ってだけで。

繁殖期が明確な動物の特徴は、毎繁殖期ごとに子を産み育てることです。
何でもいいからご自分の知る野生動物で想像してみてください。
ツバメは元気でいれば毎年同じ巣を使いたがるんでしたよね。
奈良の鹿の子ジカはそのほとんどが毎年の初夏に産まれます。

ツキノワグマは3〜4年に1回交尾出産をしますが子グマが巣立つまで3年かかるからです。
イヌ科動物のキタキツネは厳寒の2月が結婚の季節、雪が解けだす春に毎年子ギツネを産みます。
同じくイヌ科のホンドタヌキも毎年子育てをするのが自然です。

もっと犬に近いオオカミやジャッカルやコヨーテの繁殖生理も調べてみてください。
環境が整っていさえすれば性成熟後は死ぬまで毎年繁殖をおこなうのがわかります。
犬は人間と暮らすようになって生活環境が安定したとたんに繁殖回数が増えました。
繁殖回数つまり発情期が増えるのは野生動物を家畜化するときの最大の特徴です。


交尾をせず出産につながらない発情期

自然下の野生動物にも稀にそういうことが起きます。
自然災害で生育環境が侵されたりエサが足りなくて個体の成長に影響するとか、
あとだいたい土地の開発が関わる人間の愚かな生態系の破壊とかで。
または病気などですね。発情しなかったり来た発情が不発なのは。

家畜化によって安定した食住環境を人間から与えられた動物のひとつが犬なんです。
家畜呼ばわりするなとか関係ない話はしないでくださいよ?

わかります?繁殖期のある動物が繁殖期に繁殖できないことの不自然さが?

天変地異とか未知の病原菌とかそういう特殊な事情以外で、
「ある発情期は繁殖して別なときは繁殖を休む」動物って、いますか?
いないでしょ?それか知らないでしょ?

それから交尾と出産と子育てを成功させるための行動。
発情期に相手を見つけるために性成熟直前から放浪するのが自然です。
他犬にマウンティングして抑えつけ自分の地位を確保しておくのが自然。
犬がいないからって飼い主の足にまたがる犬はものすごく不自然ですね。
クッションやぬいぐるみへのマウンティングを許す飼い主さんの不自然さは恐ろしいくらいです。あり得ないほど不自然。犬じゃないなんて。

それで、どうして発情期に交尾をさせないよう阻止するんですか?
妊娠出産をいつの発情期にさせるか人間が決めるのが自然ですか?
無責任な繁殖なんかさせないという飼い主さんもいますが空で終わる発情期ほど不自然なことは自然界にはありませんよ?

出産って言葉使ってますが子育てはオスも参加するのが自然です。
そのために親犬と人間から社会化されているのが自然の姿。
性成熟前後からトイレの失敗が目立っても自然。マーキングは重要な繁殖戦略手段。

-----

まだまだ止まらないけれどほんとに終わらないからこのへんにします。
× 避妊去勢は不自然だ
○ 避妊去勢は人工的だ

× 避妊去勢は不自然だからしない、発情は無視
○ 発情期のある動物は発情期のたびに妊娠出産を繰り返すのが自然


はぁ。伝わった?それともやっぱ無理?感想コメントをぜひお聞かせください。

つづく


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posted by あきこ at 21:40 | Comment(6) | 不妊処置−避妊と去勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月24日

避妊去勢アンケート2017 2/6

1つ前の記事のつづきです。

「言うほど病気は予防できないから」に2件コメントをいただきました。

・必要ない。繁殖云々にしたって室内で(1匹のみ)飼っているし、散歩時には犬に目を光らせて行為などさせないよう注意しているからまったく以って不要。

つまり「望まれない子を生ませるようなことはせぬ」と仰っておいでなのかな。
そこに注意して暮らすことができる飼い主さんって、たぶん大多数だと思いますよ?
当然ワタクシもできます。1匹が10匹でも未不妊の飼い犬たちを妊娠させずに飼えますよ?

だから問題はそこじゃないんですよ。ちょっと考えりゃわかるでしょうに。
人それぞれだから中には「飼い犬の交尾を止められないかも」の人もいるのでしょうが、
管理能力が劣る飼い主が飼い犬に避妊去勢を受けさせるとでも思うのか?

これから紹介するコメントがまだあるけどもう言っちゃいます。
避妊去勢をよくないこととし未不妊を選択する人は、
やっぱり偏りや不勉強な点が目立つんじゃ・・?言っちゃなんだけど浅慮だわ。


・病気予防でホルモン関係の健康な臓器を取る獣医は信用できません

あー。一部同感です。
病気予防が目的ならだから病気予防手術って言えよってね。

で、メスは卵巣と子宮をオスは精巣を切除するのが不妊手術なんだけど、
通常その切除する部位は「健康」です。
そこが健康でない場合の手術はふつう病気治療でしょうから。

健康なからだにメスを入れ備わっている臓器を取り去るって言いたかったのかな?
やっぱイマイチ不勉強な印象がどうしても・・。
っていうかさ、病気予防になるよ?実際に。
性ホルモン由来の病気の予防になるのは間違いないじゃん。この人何が言いたいんだろ・・。


「獣医や店など犬のプロに反対された」に1件。どうもありがとうです。
コメント内容と時期的に正しい情報というHNのかたでしょう。
詳細はこちら  http://kotavi2002.seesaa.net/article/389394067.html
正しい情報とか言っておいて中身をよく読んでいない模様が痛々しかったものです。

・ttp://www.naiaonline.org/pdfs/LongTermHealthEffectsOfSpayNeuterInDogs.pdfアメリカの有名な論文を読んで

飼い犬の不妊処置をしたくないならそれでいいんじゃないの?
どうしてろくに読めもしない外国の論文を探したがるんでしょうね。
単純な話、犬の避妊去勢がそんなに悪いものなら全世界で長い間実施されていることをどう考えているのか。

アメリカやらカナダやらのごくごく少数派の論文に頼らずに(どんな獣医が書いてるかも知らんくせに)、
自分はこう考えるから未不妊でいさせるんだ!って言えばそれでいいじゃんね。


「家族など周囲の人が反対している」にも1件。コメント感謝です。

・家族は「可哀想だから」という理由で

けっこう多いみたいですよ。家族の反対って。気を落とさないでね。
我が家もそうでした。男性陣がオスの去勢に猛反対。
結局は擬人化をこじらせた誤解がほとんどでした。

未不妊でいさせることの不自然さの説明が伝わるといいですね。
でもまず男性はタマを切除するという行為そのものにガクブルらしいです(笑
カッコわらいじゃねぇよっ!!って叱られそうだからこのへんで。

つづく


文字がかぶっていた箇所など微調整しました(結局このバナーが気に入った)

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posted by あきこ at 20:01 | Comment(0) | 不妊処置−避妊と去勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月23日

避妊去勢アンケート2017 1/6

いやいやいやいや・・。
つい最近別の場所でまったく同じことを書いたので控えようとしてたんだけど、
そうも言ってられないコメントをいただいてしまいましたねぇ(他人事
まーいーや

犬の避妊去勢、不妊手術はですね、一般家庭でペットとして飼うならば、
手術をしないでいるほうがカワイソウなんですよ。
それから不自然です。未不妊のほうが不妊済みの犬より不自然。不自然だから気の毒。
ワタクシは間違いなくそう思います。

-----
すでに何度も記事にしていますが当ブログ左サイドバーに長々と貼っております、
犬の避妊去勢に関するアンケート(投票機能)。作成者ワタクシ。
前回の集計が2013年10月末でした(ひえ〜〜4年も前か〜〜)。
ですのでそれ以降にコメントをいただけた分に対してお返事したりします。

ワタクシの大雑把なまとめ
第1回集計 2011年1月
不妊手術でホルモンバランスが崩れるという世の中に広く出回る怪情報に対し、
なんのホルモンがどう崩れるの?というワタクシの素朴で純粋な疑問、ほか
http://kotavi2002.seesaa.net/article/179813813.html

今も同じことを書き続けていますが(世の中に浸透しないから)、
病気予防のタメに不妊手術を受けさせたと仰るのなら、避妊・去勢ではなく、
前立腺疾患及び肛門周囲の各種病気予防術みたく呼べばいいのに(本心)。ほか
http://kotavi2002.seesaa.net/article/179677912.html

第2回集計 2013年10月

パナ爺氏に洗脳されちゃったかたがコメントをくださいました(笑
http://kotavi2002.seesaa.net/article/376947500.html

不妊手術したからこの病気になる←それ勘違い多くないですか?ほか
http://kotavi2002.seesaa.net/article/377038499.html

繁殖の予定があるという1行コメントにワタクシったら語るわ語る語りまくり(笑
http://kotavi2002.seesaa.net/article/377709739.html

麻酔が怖い←麻酔についてちょっと調べてみたりしませんか?ほか
http://kotavi2002.seesaa.net/article/378249407.html

ペットショップ出身だからこその選択。
生まれた子犬に責任と愛じy←結局一番無責任な意見の代表例、ほか
http://kotavi2002.seesaa.net/article/379038565.html

-----

ここから2013/11/16以降にいただいたコメントです、が、1個だけ。続きはまた明日にします。

「料金が高い」に投票とコメントをくださったかた、お礼が遅れてすみません。
できるだけ多くの飼い主さんの本心を聞かせてもらえたらっと考えて無期限設定しています。
ご協力本当にありがとうございました。

さて
・Americaの10倍は高い。せめて半分で外で繋がれる雑種が多く不妊手術を受けられる。家庭出産もへりうるからどこか安い病院の案内はありますか?

ア、アメリカのかたなのかな。
アメリカは州によって法律(条例じゃなくて)が違うこともあるそうですが、
愛護活動として遺産や寄付などを基金にした手術助成金のような制度や、
大学の獣医科や獣医師会と企業のキャンペーンみたいなイベントなど、
とにかく様々なことがあるらしいですね。安い理由のひとつには。

まあ、ヨソはヨソ、うちはうちです(笑
突き詰めると土台が違うんでそうとしか言いようがない感じ。

つづく



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posted by あきこ at 22:05 | Comment(0) | 不妊処置−避妊と去勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年02月22日

避妊去勢の弊害???


この記事の一つ前のものにいただいたコメントが大変興味深い話題なので別立てします。
どちらさまもお気軽にご意見ご感想をお寄せください。

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10月9日の記事を消した方が良いですよ。
下記の論文を検索して読んでみてください
犬の避妊・去勢による健康上のリスクと利点 ・・長期観点から統計調査・・
Laura J. Sanborn, M.S. 理学修士    May 14, 2007
ニュージャージー州立ラトガーズ大学 准教授 獣医学Chair(部門総括教授)
Larry S. Katz PhD(博士)

この論文は有名で勉強熱心な獣医は読んでいます。
避妊去勢手術による甲状腺の機能低下、アレルギー、特定のガンの発生、症状の重い認知症などetc…
Posted by 正しい情報 at 2014年02月21日 22:28
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10月9日の記事とは→ 2013年10月09日「犬の不妊手術 手術はしないのご意見 第2弾の2」


●正しい情報さん●

はじめまして、コメントありがとうございます。

>10月9日の記事を消した方が良いですよ。

いくらネットとはいえそんな卑怯な真似を他人に勧めちゃダメですよ。
まあ勧められても私は間違ったら謝罪と訂正をしたい派なので削除は極力避けていますが。

その論文は仰るとおり有名なので勉強嫌いな一般飼い主の私も当然目を通しています。
タイトルはLong-Term Health Risks and Benefits Associated with Spay / Neuter in Dogs
この論文がどこに出されたものなのか私はわかりませんが、全文が載っていそうなサイトを紹介します。
pdfです。
http://www.naiaonline.org/pdfs/LongTermHealthEffectsOfSpayNeuterInDogs.pdf

甲状腺機能低下症(Hypothyroidism)については6ページに記載がありますね。
「去勢犬は未去勢犬に比べて甲状腺機能低下症の発症リスクが3倍高い」の部分ですね。
この箇所の参考文献は「26」で、この話題はもともとNCBIに概要があるのでたまたま私は確認済みでしたが、
「87年から92年の間にアメリカのとある動物病院に甲状腺機能低下症の治療に来た犬」の内訳なんです。
つまりローラさんの論文のこの部分は、アメリカのどこかの地域の獣医師が6年間で3万頭くらいの犬を診察しました。
いろんな理由で受診した3万頭の犬のうち66頭が甲状腺機能低下症でした。
その66頭のうち不妊済み犬(オスメスの記述見当たらず)が40頭くらいでした。
と読めますね。

病気ごとに個別の断りがないため誤解しやすいのかもですが、
イントロダクションにあるとおりretrospective study=後ろ向き研究=過去の症例結果のまとめです。
未不妊オスメスに比べて甲状腺機能低下症発症不妊済みオスメスがここでは多かったのは事実でしょう。
ただ、この病気は犬では遺伝子検査対象の犬種がいて遺伝形式もほとんど解明されている遺伝性疾患なので、
去勢をしたかどうかではなく発症犬の血縁犬の情報が重要になってくると思われます。
発症の引き金の一つになるケースはあるかもしれない、しかし甲状腺機能低下因子の有無は不妊手術に直接関わらない、です。
少なくともローラさんの論文に年齢と犬種の詳細があれば記事にしたいと考えたことがあるので。

なぜなら、結論部分でも触れていますが、アメリカでは地域によって(?)早期不妊手術が一般的だそうです。
早期とは生後7週前後あたりを指すようで、この論文の他の項目には「生後5ヶ月より前の避妊」「伝統的な6ヶ月での去勢」「1歳前の不妊と1歳以降の不妊」など、
時期についての記述がいくつか見られ、さまざまな理由で犬の避妊去勢は勧めるが、
幼すぎる子犬ほどリスクが高まるのでより注意すべき、が主流なので。

犬の不妊処置に反対したくて高リスクであることを証明するナニカを探すのは自由ですが、
避妊去勢の弊害を手放しに褒め称える先進諸外国の学術論文は、探し損になっちゃいそうですね。


-----

ワタクシの説明が悪く誤解を与えてしまったので補足説明を追記します。2017/9/27

上記の甲状腺機能低下症の犬の研究は繰り返しますが後ろ向き研究です。
そこの動物病院に来なかった犬は数に含まれていないんです。
別の病院にかかった犬もいたかもしれませんし、病院で治療を受けない犬もいただろうという意味です。
不妊手術をした犬の甲状腺機能低下症の発症を追った研究ではなく、
甲状腺機能低下症の治療のために病院に来た犬が未不妊か不妊済みのどちらかなのか聞いた結果なのです。

この件のローラさんらの説はDavid L. Pancieraさんが1994年に発表したものを参照しているようです。
学術論文の全文はワタクシは知りませんが、概要だけでよければこちらです。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8175472
こちらからは不妊済み甲状腺機能低下症の犬の手術時期や発症時期など詳細は一切わかりませんし、
同じように未不妊発症犬の背景も細かいことは不明です。
ゴールデンレトリバーとドーベルマンが他の犬種の発症に比べて多かったとは書いてありますが、
小型愛玩犬より大型犬の飼育頭数割合が多い外国の話なので犬種に特別な意味を探すのは上記研究では無意味です。

また、たとえば(ほんとにたとえ話です)不妊済み発症犬の平均年齢が仮に未不妊群より高ければ、
それだけで一気にデメリット説がくつがえってしまう可能性があったりします。
不妊済み発症犬は平均して10歳以上、未不妊犬の平均発症年齢は2歳だった、だとしたらって意味です。
そんな詳細が何一つわからないままデメリットと決め付けるのは間違ってませんか、と。

ワタクシは一般家庭の飼い犬は不妊手術をしてあげるのが賢い飼い主の優しさだと考えています。
未不妊のオスメスと不妊手術済みのオスメスを複数頭子犬の頃から死ぬまで育てた経験に、
獣医学関連の本やこうしてネットで得た情報を合わせて自分なりに練りに練った結論です。
結論は現時点でのものに過ぎないので新説でひっくり返る可能性があります。

ワタクシはその可能性を楽しみに心待ちする性格の人間です。
なので(わかってくれる人はわかるしわかってくれない人は永遠にワタクシを疑うだろうが)、
避妊去勢を無条件で良いと信じ込んで他人にも勧めるみたいなことはワタクシにはあり得ません。
放置ブログの素人飼い主がナニを言ってるんだと思われるかもですが、
現時点でこのように考えるから飼い犬には不妊手術をしましょうと他人に勧めている責任から、
犬の避妊去勢手術による獣医学的なデメリットを常に正確に知りたいので。

追記、以上。
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2014年2月現在 新飼い主募集中  当ブログ内の記事  北陸わんの里親探し
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そらくんはセンター出身保護パピヨンです。新しい飼い主さんに出会えそうです。うまくいきますように。
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posted by あきこ at 00:26 | Comment(5) | TrackBack(0) | 不妊処置−避妊と去勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする