初版が1978年なんですよ、この本は元々。
犬の行動学 (中公文庫)
1頭の種オスと3頭のメス(うち1頭はオスの姉妹犬)から4,000頭の犬を繁殖させたビーグルの犬舎で、近親繁殖からの繁殖業の初期の頃に発生した“不快な歯茎の病気”に関する話です。
(何十年も前の外国の出来事なので繁殖方法など詳細はツッコミ禁止ですよー)
第五章 純血種としての犬 より一部引用引用おわり。
『主として、下顎の歯槽が腐り、海綿状になった骨の腫瘍が発現する、というものです。
このような犬たちにおいて、歯肉の壊死、化膿、口内出血が認められました。
二人は最初、この病気は餌からくるものと考えましたが、この病気に罹った犬たちの血統を調べたところ、この疾患は複数因子による遺伝病であることをつきとめました。
というのは、この病気はある特定の血筋にしか発生していなかったからです。
したがって、速やかにこの血筋は繁殖から遠ざけられました。
このようにして、この遺伝性疾患は除去され、四千匹の内、たったの二一匹がこの病気に罹っただけですみました。
原因が判り、繁殖家としての旧態依然とした誇りや不正直、あるいは、際限のない金銭欲を捨て去れば、物事はこのように簡単に運ぶのです。』
際限のない金銭欲、ってまた上手いこと言いますね(笑
で、現在の情報に照らし合わせれば、これは低カタラーゼ症にほぼ当てはまります。
そうであれば今では単一遺伝子のARと判明していますが、遺伝子検査は今もどこの国にもなかったと思います。必要性もないだろうし。
現代の犬の遺伝子検査の有無と遺伝病の発症コントロールは、だから別物なのです。
遺伝子検査をしていれば良い繁殖者だ、って考えのおかしさがここでもよくわかります。
救いようがない変なタイトルですが低カタラーゼ症紹介の過去記事
2014年01月27日 繁殖犬のあご溶け病
http://kotavi2002.seesaa.net/article/386200283.html
“不快な歯茎の病気”という表現を読み返してみて、思い当たったことがありまして、
上記の例のようにビーグルや、あととにかく国内の人気犬種に絶対現れているはず、
だけど動物病院で低カタラーゼ症と診断された犬の話は聞いたことがない・・・
ってことで“犬 口内炎”で検索してみました。
わぁ。予想はしてたけど、ヒットの連発だぁ。
治りにくい口内炎とか潰瘍性の口内炎とか腫瘍ではないから安心だとか、
ステロイドと抗生物質とストレス除去の毎度おなじみ3種の神治療だらけー。
ほーらごらん、小型の人気犬種が次々に・・・・・・。
遺伝のいの字もカタラーゼのカの字もない。知名度があがるまではいつもこう。
SA皮脂腺炎もポメはげも糸アレルギーもパテラやHDですらそうだった。
犬の遺伝病の知名度があがるのはどんなときだと思いますか?
誰かは気付いてるだろうけど一般の飼い主さんに情報が行き渡るまでが遠すぎる。
ってわかってるから、原因をつかみきれずにいる人を見かけたら情報提供してるんですけどね。
獣医なら人医の文献も探せるから低カタラーゼ症の可能性がゼロかどうかくらい調べてみる価値があるかもしれませんよ、的に。
最後になりましたが以下が事例です。
なんか医療従事者みたいだから通じるかと思ったら甘かった。
即効でコメント削除されました。
https://ameblo.jp/cocoreo526821/entry-12222492428.html
遺伝病に負けた?いいえ〜世間に〜負けた〜〜〜〜 犬ランキング